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【2020.05.08】「何を言ったか」と「誰が言ったか」、どちらが大事か。僕はかつて「前者であってほしい」と思っていた。

あっという間に金曜日。今週は平日が2日しかなかったからね~。

最終日である今日は、嬉しいことがいっぱいあった。いただいた嬉しいことも、踏み出せた嬉しいことも。


ひとつは、先日の配信番組への出演でご縁ができた書店員さんと電話でお話しできたこと。紹介させていただいた本のことをとても気に入ってくださり、その言葉を直接聞け、本当に飛び上がるほど嬉しかった。いまとても届けたい本なので、ご協力いただけることになったら最高。


もうひとつは、課題に感じながらも動けていなかったことに対して、一歩踏み出せたこと。そしてその反響が思っていた以上に良かったということ。

簡単に言ってしまうと、コミュニケーションをもっと取りたいと思っていた人たちに対して、選書サービスを始めることができた(まだ募集をかけただけだが)。マンツーマンで対話をして、その人の取り組んでいることや人生観をゆっくりと聞かせていただく。それを踏まえて、その人に届いてほしいと思った本を複数冊選書させていただく。というもの。

かつて「虹色選書」と称して、7つの質問に答えてもらい、それをもとに7冊の本を選書する、という取り組みを友人向けにやっていたことがある。その人にドンピシャの本だけではなく、新しい発見を得てもらうためにあえて少しずらした本も選んでいた。

書店営業時代の、フェア設計やそれに伴う選書も大好きだった。

そういう取り組みを通して、驚くような変化に出会ってきた。紹介した本をきっかけに人生の大きな決断をした人(本人がこの記事を読んでいるかもしれない笑)。青年海外協力隊で飛び込んだ異国の地で現地の人たちを中心としたボランティア組織を立ち上げた人。その本のなかで出会った言葉をお守りのように持ち続けている人。


本が持つ力はすごい。

「何を言ったか」と「誰が言ったか」、どちらが大事か。僕はかつて「前者であってほしい」と思っていた。言った人の地位によって言葉の価値が変わるなんて嫌だと思ったからだ。

けれど、実際にはその言葉を発したのが誰なのかは、とても大きな要因になる。僕が「一歩が大事だ」と言うのと、イチローが「一歩が大事だ」と言うのとでは、その影響力には天と地の差がある。

けれど、本の素晴らしさを知ってから、そんな「誰」問題が壁だとは思わなくなった(もちろん、どんなにすごい人が発したものであっても、中身も想いもない言葉が話者の地位だけでもてはやされるのは嫌だけれど。中身と想いあってこそ)。

ある人に伝えたいメッセージがあったときに、そのメッセージを発している著者の本を送ればいいからだ。僕が口にするよりもずっと響くであろう著者の本を、受け取ったその人が自分自身の手でめくっていき、自分でその言葉と出会い、与えられるのではなく自分で拾い上げる。自ら手を伸ばした先で出会えた言葉の威力を、僕は知っている。

僕が何者かになれなくても、何者かである著者の力を借りることができる。

これは本好きならではの力だと思う。自身が力を持つこと以上に、借りられる力をたくさん持っている人のほうが、多くの人の助けになれるのかもしれない。

だからこそ選書は好きであると同時に、葛藤やプレッシャーも大きい。

選書リストが押しつけがましいメッセージを発してしまっていないだろうか。
自身の好みに偏ってしまっていないだろうか。
もっとその人の機が熟してから出会ったほうが響いたはずなのに、時期尚早に出会わせてしまうことで本の魅力が薄れてしまわないだろうか。

選書は真剣勝負だ。でも、そんな葛藤を抱いているときほど、相手のことをじっくりと想像し、その人のことを想う時間にもなる。これはどんなプレゼント選びのときも同じだと思う。


たくさんの方からご応募いただけ、身が引き締まる。大変な作業になりそうだけれど、とても楽しみ。僕自身の選書の力を磨く機会にもなると思う。

そうして力を蓄えて、いつかもっと広い範囲の人たちの力にもなれたらいいなと思う。

今日は気持ちよく眠れそう。本の夢を見よう。

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