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【2020.06.17】身体に戻る記憶と、記憶に戻る身体。

朝起きてすぐに忘れてしまった夢を、夜布団に入って寝転がり少しすると、ふと思い出すことがある。「横になる」という、その記憶が埋め込まれたときと同じ体勢をとることが引き金になって、記憶が呼び戻されるのだと思う。

身体と記憶は、本当に密接に結びついている。夢を思い出したのは、「身体に記憶が戻る」ということだと思う。

同じように、季節に置かれた記憶も身体に戻ってくる。まるで待ち伏せをするように、その記憶は季節の曲がり角に身を潜めている。一周めぐってその季節の入り口に差し掛かり、それを身体が察知すると、一瞬にして足首を捕まえてくる。


そうして季節を訪れた身体に記憶が戻ってくると、その逆のことも起こり始める。つまり、その記憶が埋め込まれたときの身体状況が、いまの身体にも再現されてしまう。

これは、「記憶に身体が戻る」という感覚。主人は「いまの身体」ではなく、むしろ「過去の記憶」のほう。身体はそれに従わざるを得ない。

この否応のない身体の回帰に、何度も苦しんできた。


もうすぐ7月がやってくる。それを察知し始めた身体が過去の記憶にたどり着いてしまい、記憶のほうへ引きずられ始めている。

いまの自分の強さは、それをゼロに押さえ込む強引さではなく、その兆候を察知して調整できるしなやかさのほうにあると思う。睡眠をはじめ不調は出始めているけれど、負け切らないためのしたたかさを覚えてきた。

どこかは負けに譲っても、大事なところは絶対に譲らない。そのためにこそ、一部の敗北には固執しない。


身体に戻る記憶と、記憶に戻る身体。

引っ張られながらも、去年よりも少しだけ素敵な記憶に塗り替えていく。その積み重ねで、螺旋階段を登っていく。同じ平面座標の上を繰り返し通りながらも、少しずつ高度を上げて。

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