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【2020.04.22】ワッと驚く結論だけでは、もはや勝てないのかもしれない。

両眼を開こうとするとき、意識しないと同時には開けないということが最近わかった。

僕の場合、右の瞼のほうが開くのが早い。ゆっくり開こうとするとよくわかる。

右の眼が普段の視界の1/4くらいを捉えたところで、ようやく左の瞼が開き始める。左の瞼は、右の瞼を開く筋肉によって遠回しに引っ張られることで開かれていく、そんな感覚。つまり、左の瞼を開く筋肉はかなり楽をしている。顔のバランスが悪いということなのかもしれない。


なぜそんなことに気づいたのか。それは、「muon」という瞑想アプリを使っているときだった。

数年前から、「マインドフルネス」が人生の様々な場面におけるパフォーマンスに良い影響を及ぼすということが、科学的な証明をもって広がり始めた。呼吸法やある一点に集中する練習、そして思考を手放す訓練などはまったく宗教的な話ではなく、実践への抵抗感も少ない。

「muon」が提供してくれるエクササイズもそのようなもので、短いものは5分程度でできるので、ハードルも低い。

基本的に、エクササイズは目を閉じて行う。そのため、終わりのタイミングでゆっくりと目を開いていく場面が必ずある。瞼の不均衡に気づいたのはそのときだった。


「意識の一点集中」と「ゆっくりした動作」は、普段気づけないことをいろいろ教えてくれる。

動作でも思考でも、忙しない日々のなかで自動操縦モードになってしまっているものは多い。そうやって自動化されていくのは、その行動や思考を行う回数が多く、繰り返される手間を省きたいからなのだと思う。

そうであるならば、自動化してしまっているその行動や思考を見直し、改善することができればどうなるか? 行われる回数が多いのならば、ちょっとした改善が持つインパクトも大きくなるのではないか。

「特別」は「当たり前」の積み重ねで生まれる

これは社長がときどき言っている言葉。当たり前になっている行動や思考に注意を向けて、少しでも改善する。改善された「当たり前」を繰り返す結果、生まれてくる特別の質もきっと高くなる。

はたして瞼を開く動作の質が上がったところで何になるのか、それはまったく不明だけれど、ちょっとしたことに気づく習慣は大事にしたいと思う。


さて、今日は水曜日。ということは、日付をまたいだ瞬間、木曜日になる。

と、い・う・こ・と・は?

『キングダム』連載更新日である。

ここ一ヶ月くらい休載なく続いていて、メンタルがとても良い。物語も別の局面に推移してきたので、新しい展開にワクワクが止まらない。


『キングダム』と『100日後に死ぬワニ』、このふたつのメガヒットコンテンツには共通点があると思う。

それは、「結末が最初から示されている」ということ。

『キングダム』は、秦による中華統一。『100日後に死ぬワニ』は、100日後にワニが死ぬこと。

「どんな結末が訪れるのか」、それは物語を読むうえで読者がとても楽しみにしている要素なのではないか。けれど、それを最初にネタばらししてしまう。それなのに、なぜ面白く読めるのか。

それは、「何が起こるのか」は分かってしまっても、「どう起こるのか」に想像の余地があるからなのだと思う。特に『キングダム』を読んでいると、秦に絶望的なピンチが何度も訪れる。いまアニメでやっている「合従軍」編は、その際たるもの。この圧倒的なピンチと、それでも勝つという結論の合間で、激しい興奮が巻き起こる。

「えっ、これどう考えても凌げないピンチだけど、えっ、秦は中華統一するんだよね? ってことはここで滅びないよね? えっ、滅びるんですけど......これどう考えても滅びるんですけど......原先生、この先どんな展開にするのぉーーー!!!」

これはときとして、「結末は何が起きるのか」を予想する以上の楽しみとスリルを生む(もちろんそのためには、プロセスの描き方の力量が問われるのだろうけれど)。


「何が起こるのか」よりも「どう起こるのか」。WhatよりもHowが熱狂を生む理由としてもうひとつ考えられるのは、読者の予測の解像度が高くなることだと思う。

極端なことを言えば、「何が起こるのか」は「勝つor負ける」の二択で語れてしまう。これは解像度が低い。けれど「勝つ」という結論がわかっていると、読者の予測は否応なしに「どのように勝つのか」という具体的なディテールに及ぶようになる。

このディテール予測合戦が盛り上がったのが『100日後に死ぬワニ』だと思う。日々のTwitterの漫画投稿に紐づく数多の予測コメントこそが、このコンテンツの人気を高めた大きな理由ではないか、とも。


WhatよりもHowが興奮を呼ぶ時代。
ワッと驚く結論だけでは、もはや勝てないのかもしれない。

こんなくだらないギャグを言っている人間であれば、なおさら勝てないだろう。

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