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【2020.05.22】届かない夢とは「太陽」のようなものではないか。
今月から企画し始めた悪だくみが形になりつつある。苦手なことは任せながら、知らないことは教えてもらいながら、だんだんと輪郭が見え始めた。出てくるまでもう少し。
その日を待ち望めるものを持っていると、日々が潤う。これはたとえ「届かない夢」であったとしても同じだと思っている。
少し(いや、だいぶ)臭いことをいえば、届かない夢とは「太陽」のようなものではないか。
決してたどり着くことはできないかもしれない。それでも、間違いなく遠い自分のところまで、光もあたたかさも届けてくれる。
そうして日々が豊かになるのであれば、そんな夢を持つことにも大きな意味があると思っている。
いま追いかけているものはもうすぐ届きそうなものだけど、そんなふうに日々が潤っているので、なんだか他のことまではかどる。時間がかかってしまっていた原稿も2本、ようやく山を越えた感じ。すっきりした気持ちで週末を迎えられそうだ。
待ち遠しいものといえば、あれですよ。
『キングダム』
コロナの影響でアニメ第三期が止まり、連載もシーンがひと段落したため一ヶ月の休載期間中。
その期間の半分はもう過ぎたけれど、連載更新のない木曜日(日付変わった瞬間に読んでいるので水曜の夜)の虚無感はすさまじい。ここまで3週間耐えたけれど、慣れることなど決してない。
連載再開直前の水曜夜は、更新を正座して待ちます。
そんなふうに待ち望まれるコンテンツを生み出せる人をとても尊敬する。エンタメつながりでいえば、FINAL FANTASY 7 リメイクもそう。
発売発表が決まったときの海外のファンたちの反応を見せてくれる動画がYoutubeなどで流れている。
待ちに待ったものがついに......それを知ったときのこの人たちのリアクションを見ていると、涙すら出てくる。大げさでなく、「FF7、世界救うんじゃね?」と思ったほどだ。この動画を観るとすごく元気になれるので、実はよく観返している。
あんなふうに「待ってました!!」と思ってもらえるほどのものをつくってみたい。そんな憧れもある。いまの仕事の本質は著者の応援だけど、やっぱり読者にもそんな気持ちを持ってもらいたいな~と。
だからいま企んでいることも、影響の大きさはキングダムやFF7の比ではないけれど、お届け相手にとって期待以上のものにしようと日々妄想を広げている。
土日は読みたい本がてんこ盛り。あれこれ棚から引っ張り出してうっとりしているので、部屋がちょっと大変なことに......Zoom会議では映せないカオスが広がっている。
でもなんだろう、本が散らかっている様子って、ちょっと魅力的なんだよね。少なくとも、他の人の画像にそういう部屋が映っているととても親近感を持てる。
本の散らかり方の美学。
本といえば先日、とても興味深い話を聞いた。
その人はある作家さんが大好きで、世の中の課題面を映し出すその作品から世界が広がっていったという。そうして読み続けてきたのだけど、あるとき読んだその人の新作に対して、まったく別の感情を抱いたそう。
「課題を取り上げて訴えているだけじゃなくて、何かアクションを起こさなければだめではないか」
と。それからすっかり関心が薄れてしまい、本棚の一角を占めていたその作家の作品群を手放してしまったらしい。
一見すると良い話には聞こえないかもしれない。けれど、これは本当にネガティブなことなのだろうか。
僕はこの話を聞いて、「卒業」という言葉が頭に浮かんだ。
様々な課題を知らせてくれる作家。そこから様々な課題を知っていった読書。そうして成長していった読者があるとき次のフェーズに移って、もうその作家の教えを必要とはしなくなった。
多くの作家からしたら読み続けてくれるに越したことはないのかもしれない。けれどもしかしたらこの作家は、「どうぞ次へいってらっしゃい」と言っているんじゃないか。そんな空想をしてみた。
「いってらっしゃい」
この言葉は、「行って」「(また)いらっしゃい」を意味していると聞いたことがある。つまり、「また帰ってきていいよ」ということまで含んでいる。
手放し、次のステージへ進んで様々なことを学び、いつの日かまた出会い直す。
本はそんなふうにして、また読者のもとへ届くのかもしれない。
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