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【MOREMORE JUMP!】希望という名の呪い【遥編】

MOREMORE JUMP! のメインストーリー、かなり好きです。以下ネタバレ全開です。

今回はメインストーリーの遥編(遥、みのり、真依)の感想を綴ります。愛莉と雫の話もとてもよかったです。

あらすじ

この話は、アイドルである遥と、それを見て憧れや希望を抱くみのりの描写から始まります。幼少期、不登校になりかけていたみのりがテレビに映る遥を見てアイドルになることを決める。しかしみのりが高校生になったタイミングで遥はアイドルを引退します。理由は、同じグループASRUNに所属していた真依が遥に放った言葉。「あなたは嘘つき」と言われた遥は自分の正しさを見誤ってしまう。そこで自信がなくなった遥に、希望をたくさんもらったみのりが今度は遥を助ける。といった話です。

遥の呪い、真依の呪い

遥のアイドル時代のキャッチコピーは「今日より明日はもっといい日になる」「希望を持って頑張れば道は開けるから」

この前向きな言葉は、遥に憧れていた真依にとって希望となり、呪いになってしまいます。

ASRUNの遥に憧れてアイドルになった真依は、いつも遥の事を念頭に置いて活動していました。遥ちゃんを信じたから今の自分がいると1.2年目は順調に活動を行います。3年目にスランプに入っても遥の前向きな言葉を信じ、トレーナーの言葉も無視したトレーニングを重ねました。しかしその結果、手に入れたのはスランプからの脱出ではなく、アイドルにとって命である喉を崩壊させるという牢獄でした。

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真依は遥の言葉が絶対に正しいという、ある種の偶像崇拝をしていました。真依にとってのアイドルは遥だったのです。そんな自分が信じていた偶像の言葉は嘘だと遥に直接言ってしまう真依。これは間違いなく依存です。

そして今度は、この言葉が遥にとっての呪いとなってしまったのです。自分の言葉のせいで一人の人生を壊してしまったと思う彼女は、ステージで踊れなくなってしまいます。

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彼女も自覚している通り、真依の言葉は衝動的な責任転嫁。恐らくそれは遥もわかっているはずです。しかし、なぜ遥はここまで深い傷を負ってしまったのでしょうか。

それは「今日より明日はもっといい日になる」「希望を持って頑張れば道は開けるから」という言葉はあまりにも抽象的な表現で、具体性が一切なく、遥は「嘘つき」という言葉を通じてそれを理解してしまったのです。

漠然とした前向きな言葉+歌やダンスのうまさで評価されていた彼女は、自分がアイドルである本当の意味を見失って、アイドル活動をやめてしまいます。

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後日、真依は遥にずっと謝りたかった事を伝えるために、屋上で謝罪をします。ただ、そこで遥から返ってきたのは怒りでも憎悪でもなく、とても優しい言葉。

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この笑顔は完全なる嘘。真依を傷つけないための優しい噓。嘘つきという言葉を受けて、彼女は本当の嘘つきへと変わってしまったのです。

遥の傷の原因はあくまで自分にあるので、真依が謝る事にもう意味はない。遥は真依を見ていません。呪いをかけた本人自身も呪いを解くことができないという状態になってしまいます。これはもう大変な状態。

自分が蒔いた種

さてアイドルをやめてしまった遥ですが、この状態を逸脱させてくれた人がいます。それがみのり。

みのりは、小学生の頃にテレビに映る遥をみて希望をもらいアイドルになったという真依と同じ理由でアイドルになった人間です。

遥がアイドルを辞めた理由を聞いて、また遥をアイドルにしたいと思ったみのりは仮想世界を通じて初音ミクと鏡音リンに相談をします。

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気持ちを上げるためにライブをしてくれた仮想世界のミクとリンとともにみのりを包んだのは、無数に輝く青の光でした。この仮想世界は、みのりの想いも遥の想いも反映される世界となっており、この光は紛れもなく遥の想い。

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遥、ここでも嘘をついてしまっていた。未だ彼女の心は呪われている。遥の心の中のアイドルはまだ生きている。

その後みのりは遥のために、愛梨と雫(モアジャンメンバー)と共に仮想世界でアイドルライブを行います。青い光に包まれながら。

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ライブを終えたみのり達は、遥を助けるためにステージへと手を差し伸べます。そして「あなたが私の希望になってくれたんだよ」という、遥の曖昧だった言葉に具体性を持たせてくれる、一番言ってほしかった言葉をみのりは遥に伝えます。

ここでやっと真依がかけた呪いが解けたのです。遥が蒔いた種がみのりという花になって、自分の枯れた心に一筋の光を下ろしてくれました。

自分が蒔いた種に心を枯らされ、自分が蒔いた種に救われる。皮肉のようですが、世界はそのように出来ていることを教えてくれます。

感想

・真依とみのり、ほとんど境遇も考えも一緒なんですが唯一違う点として、みのりは依存をしていなかったところにあるような気がします。真依は完全に依存のそれで、みのりは純粋なきっかけとして作用していたって思います。

・「今日より明日はもっといい日になる」と言った遥が自信をなくしてアイドルとしての明日を閉ざす。そのきっかけは自分で蒔いた種だし、そこから救われたのも自分で蒔いた種っていう構造が凄くグロくて好きです。

・遥、学校でチヤホヤされるのが嫌だったはずなのに、初対面のみのりに優しくしてあげたっていうのは昔の真依に似ていたからな気がしています。遥も心のどこかで誰かに救ってほしかったんだと。

・真依の言葉は確かに言いすぎですが、自分が何年も信頼してる人の言葉がきっかけで人生が破壊されたらああなるのはわかる。一番人間らしいキャラクターかもしれないです。

桐谷遥の憧れだった人がみのりの母親説は結構好き


以上です。プロセカのコミュは人間のどうしようもない感情を上手く描いてくれるからすごくすきです。


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