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Secret


人間の想像力とは果てしないものです。

前人未到の大地、
鬱蒼とした森の中に建つ無人の洋館、
海底に沈んだ古代都市、
可愛いあの子の揺れはためくスカートの中。

視界に捉えられないものに対し、
期待や夢を抱くのは人間の性と言えるでしょう。

まだ見ぬ世界への期待、
抑えられない好奇心、
海の底まで手を伸ばしてしまう太古のロマン、
シマシマなのか、はたまた無地の白なのか。

好奇心は猫をも殺す。

しかし僕達は、
焦がれた憧れへ手を伸ばさずにはいられない。
隠されたもの、見えないものに
人間は強く惹かれてしまう生き物なのです。

そして、僕達のこの性質は日常生活においても
非常に有効です。

スカートの中も一例ですが、
マスクを着用したり、
長い前髪で顔を隠したりすると、
隠された美貌に期待を持たせる効果があります。

これは外面的な事象ですが、
内面をより魅力的に見せるためにも
活用することができます。

例えば、相手を惹き付けながら
あえて口数を減らしたり
全てを語らないことで、
ミステリアスな魅力を纏う事ができるでしょう。

あえて、隠す。

創作だけでなく、現実のあらゆる場所で
活用出来るテクニックの一つです。

さて、この“見せない美学”の
最も恐ろしく、それでいて最も魅力的な点に
ついて書き残しましょう。

それは、
“この技術を手にしたのが、僕達人間である”
という点に他なりません。

人間は、利口でいて狡猾な、
見えない牙を隠し持つ生き物です。

具体的には、あえて見せる為のパンツ、
“見せパン”
なんて猟奇的なものすら
生み出してしまうような怪物です。

もっと言えば、
ギリギリ見えないくらいがいい、
なんて意見を持つ人間もいる。
自身は強くスカートの中に隠された秘密に
惹かれながらも、あえてそれに手が届く手前で
おあずけを求めようとする。

見えそうで見えない。
それが一番いいのだ、と。

その焦燥感、高揚感すら
舌の上で転がして嗜んでしまう。

不合理、不可解なんて簡単に覆し、
その遥か先へ歩みを進めてしまう。
これが人間の最も恐ろしい所の一つです。

僕達は、これからも
未知への欲望に惑わされ続ける。
憧れに心を焼かれ、
願っては破れ、一つ叶ってはまた夢を見る。

そんな日々が、僕は好きで堪らないのです。

だからお姉さん。

どうか、その紫紺のスカートの
裾をたくしあげないで。
僕はいつまでも、
貴女の秘密に焦がれるガキのままでいたい。

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