SHIFT


一速

小鳥の囀りと爽やかな朝日で、
アラームも掛けずに優雅な朝を迎えたいものです。
バターを塗ったトーストにスクランブルエッグ、
フルーツの入ったヨーグルトに暖かいコーヒー。
そんな朝食をテレビでも見ながら食べられたら、
素敵だと思いませんか。

二速

ニュースキャスターの無感情なレポートを
聞き流しながら、花の咲いた青い庭を見ていたい。
たわいも無い話を聞いてくれる女の子がいれば、
それはそれは幸せそうです。
けれどもそんなのは幻想で、
今朝の僕はベッドまで辿り着くことも無く
ソファの上で眠りに落ち四肢を痛めました。
菓子パンを口に詰め込み、
眠い目を擦りながら仕事へ行く為に
愛車のギアは一速に入ります。

三速

夢と現実の区別もつかないような
人生を送りたいですね。
自分の経験と記憶で創り上げた幻想と
大して違わない毎日なんて、
それこそ夢みたいじゃないですか。
人生、不可解なこと、不合理なことありますが、
理想通り、描いた通りいかないこと、
そういうものにこそ価値があると
考える方もいるでしょう。
僕もどちらか、というとそちら側ですが、
しかしそれはそれで僕達の望む人生という訳で、
結局は夢の範疇なのかもしれません。

四速

朝が来なければいい。
そう願う瞬間があります。
社会なんてのは抑圧が全てではないですか。
銃を突きつけられ、
身体が別れてしまうほど強く鎖に縛られた中で、
自分に何か出来るか、何を成せるか。
そんな重圧の中だからこそ生きられる人間も
いるとは思うんです。ただ、
社会の重圧の中に生きる理由を求めることは、
なんだか餌を求める犬のようではないですか。

五速

貴女が欲しいのです。
僕の不足を全て満たしてくれる貴女が。
この先に続く未来に決して存在してはならない、
貴女を欲してしまうのです。
夢を叶え、悪意の捌け口となり、
間違っても僕を否定をせず、
それでいて深く愛を注ぎ、
挙句、酷く満たされていなくてはいけない。
そんな貴女が欲しいのです。
けれども、傲慢な僕はそんな貴女を人間だとは
認められないでしょう。
人間の形をした怪物。
なんて、恐ろしいのでしょうか。
しかしおぞましい彼女の姿は、
僕の望む幸福の形そのものなのでしょう。

N

僕達の人生にRは存在しない。
幸福が何だ、自由とは何か、
よそ見をしたところで景色は変わらない。
それでも、だからこそ、
僕達が前に進んでいることは確かなのでしょう。

一速

おはようございます。
良い朝ですか?

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