見出し画像

カラーダイヤモンド初級・色相①イエローダイヤモンドって、どうなの?

以前から他所でカラーダイヤモンドについて自由にあれこれ書かせて頂いてましたが、よく考えたら、基礎的な記載をすっ飛ばしておりました。

そのため、先ずは暫くの間「カラーダイヤモンドの基礎知識」的内容を書かせて頂きます。カラーダイヤモンドに精通された方には退屈かもしれませんが、よろしければお付き合い下さいませ。
先日、カラーダイヤモンドには様々なカラーが存在することをお伝えしましたが、その辺りを少し掘り下げてご紹介いたします。

今回は、カラーダイヤモンドの中でも産出量が多く、比較的安価と思われがちなイエローダイヤモンドについてのお話。

まず、その前に無色の「Dから始まりZで終わるカラースケール」を。
皆さんご存知のようにD~Fは無色、G~ほぼ無色、Kくらいから「faint yellow(かすかな黄色み)」を感じるようになり、
アルファベットが下がれば下がるほど、より黄色みを増していきます。

このスケール「N」あたりから「very light yellow(とても薄い黄色)」、「S」くらいからが「light yellow(薄い黄色)」で、誰の目にも黄色みが感じられる色合いです。

画像1

(注:この資料はわかりやすく、極端に強い黄色で表現されています。)

そして、とても大切なのは、このN~Zスケールにある very light yellow~light yellowのダイヤは、ファンシーカラーダイヤモンドではありません。
これらはあくまでD~Zの中で無色から外れた「黄色み」を感じる部類とされたダイヤモンドで、一般的には低級と認識され、価格も安価なものです。

誤解しないで頂きたいのは、私は、このスケールN~Zの薄黄色のダイヤモンドを安物で魅力がないと批判しているわけではありません。
何故なら、実際にこうしたダイヤモンドもジュエリーに加工されることは珍しくなく、それを好む方もいらっしゃるためです。
無色ではないけれど、透明度やカットの良い石はよく輝き、美しく、柔らかな黄色の石はYG枠にもよく合います。また、こうした石のメリットは、大粒石が安価で手に入ります。
ジュエリーの素材として、単に色が低級とされる黄色だからと、切り捨てるには確かに勿体ないでしょう。

しかしながら、大切なので繰り返します。

このスケールN~Zのlight やvery lightクラスのイエローダイヤは、「ファンシーカラーダイヤモンドの範疇にあるイエローダイヤモンド」ではありません

そのため、very light yellow やlight yellowのダイヤモンドを、堂々と「イエローダイヤモンド」の名称で販売されると、私はとても違和感を覚えますし、そうした業者は、単にカラーダイヤモンドの知識に欠けるか、もしくはやや信用に欠ける判断をいたします。

それでは、きちんとカラーダイヤモンドと呼べるイエローダイヤモンドとはどのような色かというと、GIAの「D~Zのカラースケール」に当てはまらない、明瞭なイエローカラーのダイヤモンドを指します。
これは単純明快に、以下「fancy」という冠の与えられたカラーグレードのイエローダイヤモンドに限ります。

※例えば、
fancy light yellow 
fancy yellow
fancy intense yellow
fancy vivid yellow 等 です。

画像2

(上はfancy intense greenish yellow )

イエローダイヤモンドはピンクやグリーンに比べると各段に産出量が多いため、入手しやすく価格も比較的安価です。
日本では、長年このN~Zスケールの黄色みのダイヤモンドが低級であるという認識が根強いかゆえ、未だ「ファンシーイエローダイヤ」は低級で価値が低いといった残念な見方をされることが少なくないよう思います。

しかし、fancyクラスのイエローダイヤモンドは、スケールN~Zの黄色みダイヤとは明らかに色質が異なり、美しい黄色の石は高価です。

他色に比べ産出量の多いカラーと云えど、トップランクの濃く鮮やかな美しいイエローダイヤモンドはやはり数が少なく、希少であるため高額で取引きされます。
近年、イエローダイヤモンドはティファニーが大々的に売り出した影響で一般認知も人気も高まり、カラーダイヤファンとしては、嬉しく思います。

個人的に、私はピンクダイヤモンドに比べ、供給も安定し、そこそこ大粒がお値打ちに入手できるイエローダイヤモンドを、カラーダイヤモンド初心者の方におススメしたいです。

画像3

一口にイエローといえど、青みを帯びたフレッシュなレモンのようにスッキリしたカラーもあれば、ややゴールデンがかった、あたたかみを感じさせるオレンジ系のイエローなど、その色合いはさまざま。

果実や太陽の光を思わせる明るいイエローのダイヤモンドは、身に着けると、元気をもらえるような気がして、私は好きです。

ちなみに、私は実のところ、カラーダイヤモンドを選ぶ際、グレード云々よりも「ご自身の目で見て気に入れば、light だろうがvery lightだろうが何でも、グレードはどうでも良い」というのが、過去、現在と一貫した主張です。

本来、宝石はパーソナルな趣味嗜好の最たるもの、誰しも好きなものを買って身に着ければ良いのです。

しかしながら、カラーダイヤモンドはその稀少性ゆえに、市場になかなか出回らず、圧倒的に他の宝石たちに比べ、情報量が少ないです。

高額品であるがゆえ、その本当の価値を理解していないと、必要以上に高いものを買わされたり、騙されてしまうリスクがゼロでありません。

そのため、私は、皆さんご自身で「カラーダイヤモンドの価値を判断できる最低限の基準」を、身に着けていただきたいのです。
そうして「気に入れば、グレードは何でもいい」と言えるまでになられたら良いのでないかと考えます。

そんな思いを胸に、少しでも皆様のお役に立てたら嬉しいと、私はカラーダイヤモンドのイロハを今後もお伝えしていく次第です。

私の長年の夢、それは、自分で仕入れた良質なカラーダイヤモンドを、シンプルで使いやすいジュエリーに仕立て、お値打ちにカラーダイヤモンドファンへお届けすることです。よろしければ、ご支援頂けますと幸いです。