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ファンケル総合研究所 サプリメント開発の舞台裏Vol.1

ファンケルのサプリメント

こんにちは、ファンケル総合研究所 note編集部です。
前回は肌研究の最前線と題し、ファンケルの化粧品事業に関わる最新の研究についてお届けしました。今回はファンケル事業のもう一つの大きな柱、サプリメント事業についてお届けしたいと思います。

1980年にファンケルは※無添加化粧品から始まり
1995年にサプリメント事業を開始しました。

※ファンケルの無添加とは、防腐剤、合成色素、合成香料、石油系界面活性剤、紫外線吸収剤を一切使っていないこと。


当時健康食品は「高価でなかなか手の届かないもの」でしたが
ファンケルは「安価で誰もが利用できる安価なもの」として世に送り出し、今日の身近な「サプリメント」の原型を作り上げました。

いざサプリメントを眺めてみると
「どうやって作っているんだろう」
と思うほど、精巧に作られていることがわかります。
当然ですが、どれもみんな同じ大きさ、重さで、外観に偏りがない。それが1つ2つではなく、何千何万と同じものが大量に生産されている。当たり前にに見えて、実は高い技術によって支えられています。

今回はサプリメントを設計する技術「製剤」にスポットを当て、
私たちが普段飲んでいるサプリメントがどんな過程を経て作られているのか、その技術の中に息づく「ファンケルらしさ」を明らかにしていきたいと思います。

ファンケルの製剤技術

編:ファンケルのサプリメントを裏から支える技術は「製剤技術」と呼ばれるもので、こちらはファンケル総合研究所内に在籍する製剤・加工技術開発グループが担っています。
 今回はそのグループメンバーの中でも若手の平田愛菜さんにインタビューしていきたいと思います。
 平田さんこんにちは!

平田:こんにちは、平田愛奈と申します。2017年に新卒としてファンケルに入社しました。入社後、研修期間を経たのちに製剤・加工技術開発グループに配属され、5年が経過しました。

製剤技術を担当する平田さん

■平田さんプロフィール
趣味:食べること
この仕事の面白いと思うところ:検討を重ねたものが商品になっていくこと

一児の母として育児と仕事を両立させながら、グループの主力として活躍中。困難な仕事も粘り強く達成していく、ファンケル総合研究所に欠かせない頼もしい研究員。

製剤技術とは

編:早速ですが「製剤・加工開発グループ」とはどのような業務を担当しているグループなんですか?

平田:簡単に言えば、サプリメントを「形」にする業務を担当するグループです。
 サプリメントは商品の企画(商品名や、誰のどんな悩みを解決するものか、など)が決定した後、研究所にて
・処方技術
・製剤技術

という2つの技術を用いて商品化されます。

まず処方技術とは、より効果的に企画を実現させるための成分の選定と含有量を決定する技術です。
 例えば食事の糖や脂肪の吸収を抑えるサプリメントを作りたい!という企画があるとします。つまりカロリミットですね!。
 それに対して、サプリメント成分であるキトサン・桑の葉・茶の花を〇〇mg摂取すると、食事の糖や脂肪の吸収を抑えることができる、と科学的根拠を以て成分設計をするのが処方技術の役割です。

編:料理のレシピみたいですね!

平田:その通りです。そして製剤技術はそのレシピに沿って、具体的なサプリメントという「形」に加工する技術です。上記のカロリミットの例であれば直径8mmの一錠あたり241mg、1回3粒という「形状」を決定するのが製剤技術の役割です。

編:なるほど、サプリメントを具体的な形にしているのが平田さん達なんですね。

平田:はい。でも、ただ形にしているだけではありません。
製剤技術とは
「飲みにくい成分を、飲みやすい形に設計する技術」
と表現することができます。

※「サプリメントにおける製剤技術」に限定した表現です。
医薬品における「製剤技術」とは異なる部分があります。

 サプリメントの原料って味が良くないものが多いんですよ。例えばビタミンCは酸っぱすぎて食べられたものではないですし、コラーゲンも特有のクセがありとても不味いです。カロリミットの3種の成分も例外に漏れず美味しくないです(笑)。だから錠剤という「味を感じにくい形」にする必要があるんです。
 錠剤にするだけでは味が出てしまうものは、さらに表面にコーティングをして、より難なく飲めるようにしていますに。
※先ほどのカロリミット、中途半端な241mgという重さですが、錠剤は240mgちょうどで、コーティングで+1mgとなり合計241mgになっています

 また、そもそも粉は舞ってしまったり扱いが煩雑なので、固形にしてあげることで利便性が高まります。

 このように飲みにくい・扱いづらい原料を、難なく摂取できるように形状をデザインする技術が製剤技術であり、そうして生まれたのがカプセルや錠剤です。

編:これまであまり意識していなかったですが、扱いづらい成分を、便利かつ不味い思いをせずに飲み下せるのは助かりますね。そう考えると製剤技術って素晴らしいです。

平田:そうですよね。でも「飲みにくいものを飲みやすく」という行為は意外と身近なものです。例えば、私今子育て中でなのですが、1歳の息子に粉薬を飲ませるのに、ミルクに溶かして飲ませています。これも一つの製剤技術です。

編:確かに。飲みにくい粉を飲めるようにしていますね。

平田:扱いにくいものを扱いやすく、という行為もよくやっていますよ。白いご飯、特に炊いたばかりのご飯は、素手では扱いにくいですよね。

編:・・・おにぎりですね!軽く握ってあげるだけで、箸がなくても扱いやすく、食べすくなりますね。

平田:「製剤」という名称だと、聞き慣れず縁遠いものに思えてしまうかもしれませんが「飲みにくいものを飲みやすくする」という製剤の本質的な部分は、私たちの生活の至る所に息づいています。

サプリメントの形

編:改めて見ると、ファンケルのサプリには錠剤や液体の入ったカプセルや粉体のものまでいろいろな形がありますね。どうしてこんなにバリエーションがあるのでしょうか?

平田:はい、原料の特性やご使用いただく状況に合わせて、より適した形状を選んでいるためです。原料の特性で言うと、コラーゲンみたいな粉の原料であれば錠剤やハードカプセル、魚油であるDHAはソフトカプセルを使用することが多いです。また、水がない状況でもご使用いただけるよう、いつでもどこでも水無しで、味を楽しめるドリンク剤やチュアブル錠もラインナップしています。これらサプリメントの形状を「剤形」と呼びます。

様々な剤形のサプリメント

編:確かに色々な剤形があるなと思っていましたが、そういった背景があったんですね。ファンケルのサプリメントを見ていると錠剤が多いなと感じますが、理由があるのでしょうか。

平田:そうですね、下のグラフを見ていただくと分かりますが、ファンケルのサプリメントの半分が錠剤で、他の剤形よりも圧倒的に多いです。

平田:錠剤は身近な剤形なので、比較的抵抗なく摂取いただけることもありますが、それに加えて製造コストが抑え易いため、より安く提供できるという利点もあります。こういった事情から、まず錠剤にすることを第一選択肢として考えて、製剤化に取り組んでいます。

最もポピュラーな剤形【錠剤】

ただし、配合量が多い場合、錠剤にすると粒数が多くなってしまうものは、より大容量にできるハードカプセルを選択することもあります。また、生きた菌は錠剤にする際に死んでしまうため、内脂サポートなどはハードカプセルを採用しています。

大容量化でき、生きた菌も配合可能【ハードカプセル剤】

 DHAやルテインのような油原料は液体のため錠剤という形は適していません。そんな油の成分には周囲を水性の膜で包むソフトカプセルを選択します。

油成分をそのまま充填可能な【ソフトカプセル剤】

また、コラーゲンを3000mg 配合したい!というような多量に配合したい場合(錠剤の場合は最大でも1000mg程度が限界です)は、ゼリーやドリンク製品として設計したり、溶け易い粉にして顆粒剤とすることもあります。

最も大容量化できる【ドリンク剤】
そのまま飲んだり、溶かして飲むことも可能な大容量剤形【顆粒剤】

 その他にもチュアブル錠や例外もありますが、基本的にはこういった考えの基に剤形は決定されます。

編:色々な形があるけれど、何の意味があるのか?と不思議に思っていました。成分の特性に応じて、色々なバランスを考えた上で剤形が決められているんですね!

 

Vol.1 まとめ

・サプリメントは商品の企画が決定した後
処方技術=科学的根拠を以て企画を実現する成分・成分量を設計する技術
製剤技術=飲みにくい成分を、飲みやすい形に設計する技術
という2つの技術によって作られている。

・サプリメントの形は、原料の特性や使用状況に合わせて形状が決定されていて、錠剤・顆粒剤・ハードカプセル・ソフトカプセル・ゼリー・ドリンクなどがある。

・生産性とコストの観点から、錠剤がサプリメント剤形の第一候補となる。

次回予告
サプリメントの中でも最もポピュラーな剤形「錠剤」にスポットを当てて掘り下げます。粉が一瞬で錠剤になる様子は必見です、是非ご覧下さい!



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