見出し画像

ファンケル総合研究所 サプリメント開発の舞台裏Vol.4

ファンケルサプリメント 安心安全への思い

編:第4回目を迎えた「ファンケルのサプリメント開発の舞台裏」。
ここまでサプリメントの形がどのように決められているのか。サプリメント形状の中でも最もポピュラーな錠剤にスポットを当て、どんな過程を経て作られていて、どんなハードルを乗り越えて作られているのかをお届けしてきました。
 やっと錠剤の形になった錠剤ですが、平田さん。ようやくこれで製品化でしょうか?

ようやく完成した錠剤(イメージ)

平田:ここまでで原料を錠剤の形にすることができました。ただ、このままだと「錠剤になりました」というだけで、「ファンケルの求める安心安全品質」が達成できているかどうかは分かりません。厳しい目で確認していく必要があります。

厳しい目で錠剤の品質をチェックする平田さん

 例えば、錠剤は1000kgで固めているので、飲んだ後お腹でしっかり溶けるだろうか、というのは確認が必要です。

編集:確かに。錠剤がお腹で溶けずにそのまま出てきてしまっては飲む意味がありませんし、体に負担になりそうです。そういった点がしっかり確認できていないと、安心安全の品質が達成できているとは言えないですね。

平田:実際にファンケルでは「崩壊試験機」という機械で、お腹で溶けるかどうかをしっかり確認しています。研究所で崩壊試験を実施している様子がこちらです。

この試験は全ての製品で実施しています。さらに賞味期限2年の間変質はないだろうか、お客さまの手に届くまでに破損したりしないだろうか、などなど達成すべき項目はまだまだあります。これら全ての項目をクリアし、大量生産できないと製品化には至ることはできません。
 全てを満足しつつ、可能な限り粒は小さく。これは製剤技術者が常に頭を悩ませている命題ですね。

編:形なったと思いきや、まだまだハードルがありますね!これを全てクリアしつつ、できるだけ小さくする、なかなかにハードな業務ですね。

平田:そうなんです!特に、体内で溶けることと、お客様の手元まで壊れない丈夫さは両立が難しい。しかも賞味期限内の成分低下や変色は珍しくありません。まさに試行錯誤の連続です。過去に私が手がけた「睡眠&疲労感ケア」という製品では、ファンケルの基準を満足するクオリティに至るまで、試行錯誤を200回以上繰り返しました。

編:200回以上!それは相当な試行錯誤ですね!まさに「ここまでやるか」という世界観です。

平田:そしてファンケルは上記の崩壊試験機をはじめ、丈夫さの判定には医薬品製造に用いられる専用機器を使っています。そしてこれらを用いて厳しく判定し、合格したものしか世に出していません。
 サプリメントはそもそも食品なので、医薬品の基準に準拠する必要はないのですが、ファンケルは20年以上前からこのような専門の設備を導入し、最大限お客さまのために取り組み続けています。

編集:まさに「正直品質」!

平田:ありがとうございます。そして先ほどお伝えした「お腹で溶ける」「変質しない」ということは、お客様にとっては当たり前のことで、当然守らねばならない必須条件です。お客様からは見えにくい陰の努力ですが、決して怠らないのが「正直品質」です。

 これら踏まえた上で、前回紹介したようなコーティング技術など、様々な技術を駆使してできるだけ飲みやすく、小さくする。ファンケルのサプリメントは品質を守りながらも飲みやすく設計されています。そしてここまでやり切って初めて、お客様のもとに製品をお届けできるんです。


形状に込められた技術

平田:ちなみにこのディープチャージコラーゲンの錠剤を見てください。ちょっと形が違うのですが分かりますか?

ディープチャージコラーゲンの錠剤

編集:微妙に違いますね。丸っこいと言いますか、でも小さく設計されているせいか、ちょっと具体的にどう違うとは言いにくいのですが…

平田:そうですよね、そこで分かりやすく説明するために、3Dプリンタで大きさを8000倍にしたモデル錠剤を作ってみました!ディープチャージコラーゲンの形と一般的な錠剤の形の2つを用意しました。のどうでしょう、これなら違いが分かるんじゃないでしょうか?

編集:大きいですね!これは飲めないです、小粒化だけでなく巨粒化までされているとは(笑)。確かにこの大きさだと形状の違いがよく分かります。コラーゲン錠剤の方が少し厚いですが、その分丸みを帯びています。天面は緩やかな曲面ですが、途中から急な曲面になっていて、より球体に近い感じがしますね。

平田:その通りです。この錠剤は従来の形状よりも飲みやすい「2段R錠(にだんあーるじょう)」と呼ばれているものです。おっしゃる通り曲面(R面と言います)が2段階になっているので2段R錠です。錠剤の角がほとんど無いのが特徴で、この形状にすると、嚥下するときの喉の引っ掛かりを軽減できます。

編集:そうなんですね、確かに丸っこいほうが喉の通りは良さそうです。

平田:ただ、丸い方が飲みやすそう、というイメージだけでは本当にそうなのか?という疑問が残りますよね。人それぞれ感じ方は違いますし、実際に厚みだけ比べると従来錠剤の方が薄い(同じ重量で比較した場合)。 
 そこで、本当に飲みやすくなっていることを、ここで一目瞭然にご覧に入れたいと思います。

平田:私たちの喉は、ものを飲み込む時、常に穴が空いているパイプを通過させるのではなく、このように普段は閉じている通路をぜん動運動によって
しごき落とすことで通過させています。

ヒトが錠剤を嚥下する様子

このとき、錠剤と喉の間に起こる摩擦や引っ掛かりが、飲み込みにくい、と感じる原因の一つです。
そこで、錠剤が狭い喉を通過する際の摩擦や引っ掛かりを、この8000倍にしたモデル錠剤と、このみかんネットで再現したいと思います。

編:実演ですか、楽しみです!

平田:みかんネットにそれぞれの錠剤モデルを入れて持ち上げます。
そしてみかんネットの端をつかんで持ち上げて、どちらの方が早く落下していくか比べてみましょう。
より摩擦が少なく、飲みやすい形の方が早く落下するはずですよね。
ではやってみましょう、ヨーイ、ドン!

編:確かにディープチャージコラーゲンの方が早く落下しましたね!摩擦も少なくスルスル落ちていく感じが、飲みやすくなっていることを感覚的に伝えてくれました。こんな細かいところまで工夫がされているんですね。

平田:はい、お客様から目立ちにくいところでも、もっと何かできるはず、の気持ちでより良い製品になるように尽力しています。

Vol.4 まとめ

・錠剤は「飲みやすく設計し大量生産できる」というだけでなく、お腹で溶ける、賞味期限内品質を保てる、流通に耐える丈夫さがある…etc、というファンケルが求める安心安全品質を守るため、数々のハードルを乗り越えなければならない。
・錠剤を小さくするだけでなく、形状の工夫でも飲みやすさを向上させている。

次回予告
 ようやくゴールを迎えた製剤開発ですが、ファンケルのサプリメントは他にはない「体内効率技術」という思想があります。これまでの内容のワンランク上を行く技術、お客様が「欲しい!」「飲んでみたい!」と思うような魅力的な製剤技術について、最新の製品事例を交えてお伝えします。



 



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?