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チューダーのマスタークロノメーター化

 チューダーから突然新作が発表された。

ブラックベイ セラミックとマスタークロノメーター化

 ブラックベイシリーズの「ブラックベイ セラミック」というモデルになる。その名の通りケースにセラミックが使われており、ストラップや裏から見えるムーブメントに至るまで全て黒で統一されている。


 外観も特徴的だが、私としては最も驚いたのはMETASのマスタークロノメーター認証を取っているということだ。これにより、COSC(クロノメーター認証)以上の精度と15,000ガウス以上の耐磁性が確保されている。


 今までオメガの製品しか取得できていなかったマスタークロノメーター認証を、初めてオメガ以外のブランドが取得したということに注目している人は多いだろう。


スペック・価格

 スペックは200m防水で、70時間のパワーリザーブ。その他は概ねマスタークロノメーター準拠となる。

 ストラップは、レザーにラバーのライニングが施されたストラップと、ファブリックストラップが付属する。どちらもケースの色に合わせて黒色になっている。
 メタルブレスレットではないのは色を考慮してかと思ったが、ブラックベイダークというモデルで黒のステンレスブレスレットを使っているので、今後出てくるかもしれない。

 このスペックで税込512,600円なのだから、価格的には同じマスタークロノメーター認証されたオメガのシーマスター ダイバー300M(ラバーベルトで税込572,000円)に十分対抗できると思っていいだろう。


マスタークロノメーターの波及

 今回チューダーがそうしたことで、他のブランドにもマスタークロノメーター化が波及してくるのではないだろうか。

 まず、チューダーがマスタークロノメーター認証モデルのラインナップを拡充してくることは間違いないだろう。

 そして、チューダーのムーブメントはケニッシというロレックス傘下の会社が製造している。そしてケニッシは他のブランドにもムーブメントを提供している。ブライトリングシャネルノルケインフォルティスなどがそれにあたる。
 マスタークロノメーター認証はムーブメント単体ではなく、ケーシングされた状態で試験されるので、ケニッシからムーブメントを提供されただけで取得できるわけではないだろうが、これらのブランドが挑戦してくる可能性は高い。

 その他の自社でムーブメントを製造しているブランドにとってはどうだろうか。私には障壁が高いのか分からないが、すぐにできるようなものではないと思っている。

 また、ロレックスの動向にも注目すべきだろう。ロレックスはチューダーの親会社にあたるが、認定は自社の高精度クロノメーター(Superlative Chronometer)を使っている。その日差精度はマスタークロノメーターの+/-0から+5秒に対して、+/-2秒と許容範囲が1秒狭い。また、姿勢差もマスタークロノメーターの6姿勢に対して、7姿勢で試験されている。
 このようにマスタークロノメーターよりも厳しい認証ではあるが、耐磁性の項目だけはない。試験しなくともロレックスの耐磁性は高そうではあるが、仕様化する動きになってきてもおかしくはない。COSC認定をやめて、マスタークロノメーターで耐磁性を認定した後に、高精度クロノメーター認定を通すのか、もしくは自社認定に耐磁性加えるのか。そういう方法になるかもしれないと勝手に予想している。


ブラックベイ セラミックの乾燥

 肝心のブラックベイ セラミックについてだが、個人的に残念なのが、ブラックベイにデイト表示が無いことだ。ダイバーズモデルにデイト表示なんて余計だと思われるかもしれないが、日付を腕時計で確認する私にとっては無いと不便なのだ。
 もちろん無ければ無いで慣れるかもしれないが、それなら値段は上がるがオメガのシーマスター300のような他の選択肢も出てきてしまう。


 現行でデイト表示付きのマスタークロノメーター機は、オメガのシーマスター ダイバー300Mがあるのだが、文字盤の波模様やベゼルに表記されている数字が目立ちすぎだったりといまいち気に入っていない。


 今回のブラックベイ セラミックの発表で、マスタークロノメーター認証のモデルが増えてくると予想できる。チューダーはもちろん、ケニッシがムーブメントを供給している腕時計ブランドに期待し、そして私が気に入るダイバーズウォッチが出てくることを祈っている。



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