小説「光と影」韓国へ渡る:10
⑵ 出会い ⑤ 東京でのひととき
次の日は、各ペアーで東京を案内することとなっていた。
富雄は女性をエスコートするなど生まれて初めてであった。高校時代は、男女共学ではあったが、これといってデートに誘ったり誘われたりすることもなかった。女性に興味がなかったというわけではなかったが、大学に入るまでは、交際はなかった。
バスが再び正門から入ってきた。
彼らは、その晩都内のビジネスホテルに泊まっていた。そして、そこに荷物を置いてきた。昨日の様子とは違い、服装もラフな格好であった。そして、韓国人学生はお互いに、慣れ親しんでいた。
バスの中から大きな笑い声が聞こえてきた。それに反して日本側はおとなしかった。富雄もそこまではしゃぐタイプではなかったから、韓国人学生のはしゃぎぶりに、肝を抜いていた。
その中にユナもいた。
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