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◆ 話のネタ ◆No.26 『おもてなしの心』 最高のお茶出し!

 今から、25年前、銀行の営業職の時、新規に取引を開始頂けた、全国ブランドの和菓子屋さんで学ばせて頂きました “おもてなしの心” をご紹介します。
 
 取引開始となった頃、本社の応接で社長、専務とよく打合せをしました。 本社は、自社ビルで、ビル全部を利用しており来客用応接は、5Fにありましたが、構造上窓のない部屋になっておりました。 
 
 初めて訪問した時から、気が付いていたのですが、お茶を出していただく秘書の方の所作が、『これ以上は、ない!』というくらい、完璧かつ優雅なお茶出しで、いつも驚いていました。
 
また、経営者との打合せが予想以上に長引いたら、ドンピシャのタイミングで、毎回コーヒーを出して下さるのにも驚かされました。 その上、応接室を出てエレベーターまで経営者も見送りして下さるのですが、いつもぴったりのタイミングで、秘書が笑顔でエレベーターを5Fに止めて、待ってくれているのです。
 
 
 応接室の隣が、経理、秘書室、事務室が一緒になっているのですが、応接室には、窓がないため外部から状況は、分からない造りになっており、もちろん隠しカメラがあるわけもなく、本当に “魔法にかけられている” ようでした。
 
 後日、親しくなって “魔法の秘密” を、社長に聞いてみました、
すると・・・・・
 
 お茶の出し方ですが、豪華な応接机、椅子の洋間に秘書の女性が、絨毯の上にひざまづき、蓋付きの湯呑茶碗を茶たくに乗せ、茶たくを右手で持ち、左手を右手首に添えて丁寧にゆっくり静かに目の前に置いてくれます。
 
「社長、私も銀行の営業として仕事上、多くの会社で、お茶を出して頂きましたが、御社のお茶の出し方は、最高に優雅で美しく完璧です! 
また、秘書の方も、洋室なのにひざまづいてから、丁寧にお出しして頂いております。 どのようにして、このお茶出しができるようになったんでしょうか?」
 
「ああ、そうですね・・・ 手前どもは、和菓子を作ってお客様にお買い上げ頂いております。 その時に、大切なのは、“おもてなしの心” です。 

今の、若い人にひざまづいて、お茶を出すように指示しても、誰もそんなことは、聞いては、くれません」 

「でも、実際は、されているではありませんか?」
 
「そうです、手前共は、どうすれば、一番美しく、優雅なお茶をお出しできるか考えた時に、接待のプロ中のプロは、“高級クラブのママ” という考えに至り、ママを弊社に講師としてお招きし、“お茶出し作法” をご教示頂きました。」 
 
「それは、すごいですね! それで、その内容は、どうだったんでしょうか?」
 
「はい、ママが秘書達に、教えてくれたのは、まず、
『私達は、日本人です。日本人の所作が一番美しく見えるのは、和服を着ての所作です。  皆様方は、スカートとブラウスの洋装ですが、こころで、あたかも和服を着ているのと同じように思い、所作もそのようにすると、 非常に美しく見えます!

『ほんとうは、両膝ついて、障子を両手で開けて入ってくるのですが、ドアですので、そこは普通に入ってきた後、お茶をのせているお盆をわき机に置きます。 和服を着ていれば、テーブルの所で、両膝をそろえてひざまづきます。 そして、丁寧に茶たくを右手で持ち上げ、着物であれば、右手の袖がブラブラしますので、左手で、その袖をおさえる感じで、右手首に添えて、お客様にお茶をお出しする。 そうすると、もっとも美しいお茶出しができると思います。』 
 
「実際に、ママが解説してくれた後、実演してくれ、非常に美しく全員が、心から納得したので、あのようなお茶出しができるようになったしだいです。」 

  「本当に、素晴らしいですね!」 
  「ありがとうございます」
 
 
 後日、「専務、いつも、お話が終わって、エレベーターのところに行くと、秘書の方が、エレベーターを5階で止めて笑顔で待っていて下さいます。 また、応接でのお話が、長引いたりしたら、ドンピシャのタイミングで、コーヒーをお出し頂けるので、何時も、“魔法にかけられたみたい” で、感心、いや感動しているのですが・・・・応接には、窓もなくカメラもなく、一体どのようにされているんでしょうか?」
 
 「ああ、それはですね、秘書達も自席で仕事をしているので、お客様が
いらっしゃった時に、ずっと、そばで対応するわけにもいきません。 
また、いちいち、応接室から、電話をして、エレベーターをよんだり、
コーヒーを頼んでも、タイミングは、合いません」 
 
「そうですよね・・・・それでは、一体・・・」 
 
「それは、このテーブルの下に、ボタンをつけているのです。 

  1度押すと『お茶』
  2度押すと『お客様がお帰りになるので、エレベーターを』 
  3度押すと『コーヒー』 
という風にしているのです」 
 
「すご~い! すごい発想ですね! 感心しました。 そう言われてみたら、時々、専務がテーブルの下を撫でているような所作をされていたことを思い出しました」
 
「そうです、その時、ボタンを押していたのです。 秘書達もこの工夫で、自分のデスクワークに集中できるようになったと喜んでいます。
 
        この  ”おもてなしの心" を一番大切にされているこの会社 は、
        わずか2代で日本を代表する和菓子屋さんに成長されました。

◆ おまけ 1.  勤務していた銀行の窓口カウンターでも、良くできる女性は、お客様からは、見えませんが、カウンターの下に小さな鏡を自分でセットして、毎日、笑顔の練習もしています💛
(超激務ですが、仕事中にお客様から写真を撮ってもらったりラブレターを
 もらったりすることもあるそうです・・・)

◆ おまけ2. リッツカールトンホテルのコールセンターにも同様に鏡が
セットされており電話対応ですが、笑顔の練習をされています。顔が見えない電話の方が余計笑顔で対応しているか注意が必要なためだそうです。

◆ 毎週、金曜日に発信予定です。
    次回予告:No.27  超能力は、存在するのか?

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