高校野球、秋はエース投手の力が重要な理由



初めに

 先週は仙台育英が東北に貫録勝ちし、今年もそれなりに盤石!!みたいに書いたのですが、あっさり次戦で敗れてしまいました。やはり秋の大会はチームの完成度がまだまだ低く、不確定要素が多いです。

 そんな中でも、昔から「秋の大会はエース投手の力」とよく言われるような気がします。これはその通りだとずっと思ってはいて、理由としては
 ①日程が夏に比べて緩い
 ②センバツ出場を目標とした時に、必ずしも優勝する必要はない
この2点だと考えてました。ですが先日の仙台育英ー東北を見た際に、他にも理由があってだなと感じたので、今回はそれについて書いて行きたいと思います

日程が夏に比べて緩い

 夏の地方大会は夏休み序盤に行われることから、平日でもガンガンに試合が行われます。近年はかなり緩和されてきているとはいえ、終盤戦ほど連戦や中1日での試合が多くなるため、複数の投手が必要になったり、投手の疲弊をカバーするためにそれなりの打撃力が必要になります。また、最後の夏なのですべての高校が一同に会してトーナメントを行うため、優勝するためには2-3週間の間に平均すると5試合、多いところでは7試合前後戦う必要があります。こうなるとやはり優勝するためにはエースの力だけでは厳しく、もう1枚~2枚の投手の力がどうしても必要になります。
 
 一方、秋大会は2学期が始まったタイミングで行われるため、基本的には土日祝日での試合となり、連戦はほとんどなく、あったとしても次の試合まで5日間は空きがあることになります。地域によっては平日も行われるようですが、授業の関係もあるためそこまで厳しい日程にはなりません。
 その中で日程を消化する必要があるため、多くの県で「地区大会予選」といった形式をとっています。例えば神奈川県では、各地区(横浜、川崎、北湘etc)で、3-4チームでのリーグ戦を夏休み中に行い、その上位1-2チームが県大会のトーナメントに進出する形式です。
 ですので、トーナメントで行う試合数も自ずと夏に比べて少なくなります。このため、強力なエース1枚が比較的毎試合ベストコンディションで投げて戦うことが可能なのです。

センバツ出場を目標とした時に、必ずしも優勝する必要はない

 秋の大会の各チーム最大の目標は「センバツの出場権獲得」でしょう。この目標を達成するに当たっては、北海道・東京を除いては必ずしもトーナメントで優勝する必要はありません。
 
 ・県大会で決勝に進出して地域大会の出場権をとる
  (3位でも可の場合あり)
 ・地域(関東、東北etc)大会で決勝に進出する
  (地区によってはベスト4でOK、運しだいでは1試合勝つのみの場合も)
 
 これがセンバツほぼ確定の条件です。ですので決勝は必ずしも勝つ必要はない(大敗はご法度ですが・・)ため、極論、トーナメントとしては実質1試合少ないという考え方もできます。1試合、それも超強豪との試合が1試合少ないというのは、エース1枚のチームにとっては大きなメリットではないでしょうか

 ここからは先日の試合を見て感じたことに移ります。

打撃陣が試合慣れしていない

 近年高校野球は信じられないくらいハイレベルで、選手の作戦遂行能力や打てない時でも足、小技、選球眼を絡めてあの手この手で得点をもぎ取ることを多くのチームがやってきます。ですが秋の時点でこれができるチームはほとんどなく、やはり単純な打撃力、盗塁、バント、よくてヒットエンドランくらいのものです。そうなると力のある投手が崩されるポイントは夏に比べて少ないです。
 また、データ面でも夏に比べて圧倒的に少なく、作戦の濃度としては薄くなりますし、たとえ濃い作戦を立てれたとしても選手の遂行能力が追いつかないことが多いでしょう。

守備力が不安定

 秋の段階ではまだまだ守備力が不安定で、特に夏と顕著な差なのは送球と細かい連携です。送球はセンバツでも夏との大きな差として取り上げられ、秋、春、夏と時系列でみていくと球児の成長・洗練していきかたの度合いはほんとにすごいです。
 となると連携でのミスが出る機会自体を減らすためにランナーを出す回数が少ない、送球のミスが出る機会を減らすために前にボールを飛ばさせない投手の力が夏よりも勝敗を左右する比重が高くなります。
 ランナーを出しながら粘って・・の流れでは、守備の乱れが絡んでくるリスクが夏に比べると格段に高いと言えるでしょう 

環境の変化~残暑~

 一方でエース1枚では厳しいと感じる環境の変化も出てきています。それは「残暑」です。先週の試合は9月中旬ながら35℃に迫る暑さで、足を攣りそうな選手が複数出ていました。9回を投げ切るのはかなり厳しいさすがに県大会終盤や地域大会になれば涼しくなっていくでしょうが、序盤で実力校と当たってしまった際に、この暑さでエース1枚が投げ切るのは難しいのではないかと感じさせられました

 秋大会は夏と違った魅力があり、秋を見ておくことで夏の成長を涙ながらに感じる事もできると思います。この先地域大会、神宮大会とありますのでうまく時間を見つけて足を運びたいなー。。

終わり

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