「君となら恋をしてみても」を見た話と自語り

君となら恋をしてみても、というドラマが放送されていたとき。当時の私は他のBLドラマにそれはもう熱を上げていた。好きなアイドルグループのメンバーが主演をやるということでなら恋を気になっていないわけではなかった。むしろ逆だ。けれどリアルタイムで見るタイミングをいつのまにか失い、気付けばTVerからは消え有料のサービスへと姿を消してしまう。当然だ、ずっと無料でドラマを公開していたら何の配信サービスも成り立たなくなってしまうだろう。わかっている、わかっているのだが。私だってなら恋を見たい。

とは言え私も学生でありポンと有料のサービスを契約出来るほどの財力はない。だが普段Xでフォローしている方たちがみんな揃ってなら恋を絶賛している。気になって気になって仕方がなかった私は、ふとある必殺技(と言えども無いものを必死に埋めているだけだ)を考えついた。そう、漫画アプリで原作を読むことだ。
早速普段愛用している漫画アプリで必死にチケットを貯め、ありがたく無料の恩恵に預からせてもらいながら原作を読み進める。先生、ありがとうございます。一話から読み始め、そして無料の範囲の最後まで行き着いた。

え、面白すぎないか?

それはもう衝撃を受けた。繊細な漫画のタッチと魅力的なキャラクター、心の奥深くに触れるようなやさしい言葉たち。深く感動すると同時に、直感的に思ったのだ。「現実に表れたこの漫画が見てみたい」と。

そのタイミングを狙ったかのように、家族が見たいものがあるという理由でU-NEXTを契約したことを伝えられた。神は私になら恋を見せてくれようとしているのか……?とない事実が頭の中をよぎる。全五話という短すぎる話数を見て一話を見る前からなら恋ロスを感じつつも、早速私は一話からドラマを再生した。

よ、良すぎる〜〜〜〜。

本当に、本当によかった。今までで見た漫画の実写化の中でトップクラスに良かった。ここで全ての魅力を語り尽くすことは到底出来そうにもない。言語化するのが難しい心の震えもある、しかし、全五話のドラマを見ただけなのにも関わらず最終回の夕陽を見ていて涙が溢れたこの感情だけは残しておきたいと思う。

まず言いたいのは、このドラマは本当にやさしい。登場人物やそのクラスメイト、そして家族のすべてにいわゆる「悪役」がいない。龍司の家族と一緒にご飯を食べる天のシーンのやさしさは永久に語り継いでいきたいと思うほどに心を打つ。その奇跡的なほどに繊細な感情は漫画と何ら変わりなく、それでいて三次元の江の島の美しい情景があまりにもマッチしていて、どうしようもないくらいに感情が動かされた。

ここからはとてもどうでもいい自語りなのだが、自分がゲイだということを明かした天に対し、龍司が「茶化さなくていいっすよ」と言ったシーンが私はとくに心に残っている。私自身バイセクシュアルという性的指向を友人に茶化して語ったことがある。
性的指向のことに関わらず何事に関してもそうだが、正面から向き合わないこと、真面目に語らないことはとても楽だ。語る側は相手の反応が自分の傷つくものであったとしても一歩引いて冗談だと流すことが出来るし、語られる側も取り合わないことで自分の心の揺らぎを防ぐことができる。何事も真剣に向き合うことは大なり小なり人の心に負担を与えることもあるだろう。しかし、それは本当に相手を知ることになっているのだろうか?心を繋げたと言えることなのだろうか?
楽な道に逃げることは苦痛を伴わない。しかし、相手に伝えてもいいと思った、その希望を捨てる準備をしながら話していること同意義なのだろうと、私はこの作品を通じてしみじみと感じている。

龍司と天はその後、さまざまな出来事を通じて心を通わせていくことになる。最後の花火大会のシーン、そして天の思いが通じる瞬間はすべての人間に一度見てほしいと思う。こんなに純粋でまばゆい愛を私は知らない。

最後にはなったが、なら恋の良さを定期的に発信してくださっていた方々には本当に感謝したいと思っている。私がこんなに素晴らしいものを知るきっかけをくださって本当にありがとうございました。

韓国配信も始まったようだし、これからさらになら恋に人気が出るように深く祈っていようと思う。

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