意思決定 [自論]


ここ1.2ヶ月、内定先選びに脳のリソースの8割を割いてきた。

一応それなりに考え抜いて意思決定をしてみたものの、全くもって自信がない。

意思決定は本当に難しい。

その決定が、自分の人生を何らかの意味で大きく変化させ、その変化が不可逆的なものであればなおさらである。

思い返してみると、僕はこれまでの人生で、本当の意味で意思決定をしたことがなかったのかもしれない。

小粒ではあるが、受験という一般的には分岐路と目される道も経験してきた。しかし、僕は社会的に整備されたレール(進学校→四年制大学→大学院)の中で、どっちのレールを選ぶかを考えていただけだった。

どのレールを選んだところで、やがて同じ駅に導いてくれる。到着経路が少し変わるだけで、レールの選択により目的地が変わるようなことはなかった。(京浜東北線と山手線、総武線と中央線の関係に近い)

そもそも、幸いなことに、自分はそこまで優秀ではなかったため、選択できるレールの候補も少なかった。(中学受験・大学受験・大学院受験すべて1校しか受かっていないのは今考えると中々怖い)

しかしながら、今回の就職先の意思決定は今までの路線選びとは訳が違う。少なくとも、精神的に未熟な僕にはまともに処理しきれないほどの重さを感じた。

人生において初めて重めの意思決定をしたことを記念して、ここでは今回の意思決定の方法論とその限界を残しておこうと思う。

まず、僕の普段の意思決定スタイルについてだが、ありふれているが以下の2ステップを辿ることが多い。

[理性による判断]
①目的の確認
②そこから評価軸を導き出す
③それらを、目的へのインパクト等を勘案して重み付けする
④評価する

[直感による判断]

たとえば、どの塾に行くかを決める場合このような具合になる。(ここでは、塾は一つしか入れず、転校はできないものと仮定している)

[理性による判断]
①僕の目的は◯◯大学に合格することである。

②そのためには、本番で英数国で8割を獲得し、理科社会で7割を獲得する必要がある。また、後者は自助努力で達成でき、配点も低い。以上のことを考えると英数国で安定して8割を取ることが最優先事項である。また、本番で8割を取るには、実力(基礎の理解と問題への応用力)と、それを本番での発揮する力の2つにおいて習熟していなければならない。このようにして考えていくと評価軸は

(1)英数国の基礎講座の充実度
(2)良質な問題演習・解説の機会
(3)入試本番の情報や模試の量

の3つくらいに集約される。

③また、周りの話を聞いてみると、基礎力はもちろん重要だが、入試において何よりも重要なのはどうやら「本番でいつも通りの力を発揮できるか」らしい。また、問題演習や解説はいくらでもそこら辺に転がっている。よって

(1)英数国の基礎講座の充実度 ◯
(2)良質な問題演習・解説の機会 △
(3)入試本番の情報や模試の量 ◎

といった形に重み付けできる。

④以上のことを踏まえると、どうやら◯◯塾がよさげである。

[直感による判断]
実際に行ってみたが、大きく違和感を感じることはなかったのでここでいいのではないか。よし◯◯塾にしよう。

といった具合である。

今回の就職先選びの上で僕を悩ませたのは、先に述べたように「意思決定の人生への影響力と、その不可逆性」による精神的な重圧もあるのだが、1番は理性による判断結果と直感による判断結果が、正反対の帰結をもたらすことであった。

目的から下ろして、評価軸と重み付けをしてみる。[年収、仕事内容、将来性、ワークライフ、社風]などの評価軸とその重み付けが棚卸的に出てきて、一応の合理的な判断が出てくる。しかし、どうしても、直感が違うと言ってくるのである。

なぜこんな事態が生じるのか?
おそらくは、評価軸選定における網羅性の不足と、重み付けの不適切さに由来しているのだと考えている。

特に、評価軸の重み付けは本当に難しい。どちらの方が重要であるか(序数的な順序)は比較的簡単にできるのだが、その差がどれくらいなのか(基数的な順序)を考えるのが難しい。

りんごよりオレンジの方好きな人がいたとして、オレンジがりんごの何倍好きかを問われると即答はできないだろう。

このように、僕の意思決定スタイルは、自分自身が十分に理解していない領域では
・軸の網羅性の不足
・重み付けの困難さ
・それらに由来する理性と直感の矛盾
が生じ、困難を極めるのである。

色々と述べてきたが、結局どうしたのかというと、僕は理性に基づいた意思決定を優先することにした。

僕にはまだ自分の直感を信じきれない。

この意思決定が良いものだったのか、あるいは良かったと思えるようにできるのかは、結局のところあとから振り返ってみないと分からない。

意思決定はむずかしい。


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