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初めての3Pそ〜ぷ感想序章「アベルとカイン編」

「戦いは、常に万全の状態で始まりはしない」

その日、私は師の言葉を思い出していた。

暮方の事である。一人のキモオタが、新宿の駅下で雨やみを待っていた。

何故かと云うと、この二三年、魔都新宿には、地震とか辻風とか火事とか饑饉とか云う災いが続いて起った。

洛中がその始末であるから、なんとなくマッチングアプリで会う約束をした女を待っていた私の元に来るのは最早狐狸や盗人ばかり。

そして待ち人はとうとう来ることは無かった。

焦躁と言おうか、嫌悪と言おうか。
酒を飲んだあとに二日酔いがあるように、
マッチングアプリにはそれに相当した時期がやって来る。
それが来たのだ。これはちょっといけなかった。

それで始終私は街から街を浮浪し続けていた。

何故だかその頃、私は見すぼらしくて美しいものに強く惹き付けられていたのを覚えている。

ジェンダーレスで先進的な百合映画「大室家」だとか、よそよそしい笑顔を向けながらハイレグ水着を着るブルーアーカイブのキャラクター、汚いネズミの肉が干してあったりコンドームが転がしてあるのを眺めながら、ソープランドの煌めくネオンが覗いていたりする裏通りを練り歩きながら思考を紡ぐ。

私はポルノが好きだ。射精そのものは結果として、あの色鮮やかな青、肌色、焦げ茶色。
それはまるで中山寺の下で楽しんだ花火大会や枯れすすきを連想し、祭りの喧騒の中口に入れたラムネのような甘い幼少期の記憶を思い起こすからだ。

とは言え、この荒んだ私自身の心を慰めるためには思い出だけでなく贅沢ということが必要であった。

高すぎず、と言って贅沢なもの。
美しいもの、と言って無気力な私の股間にむしろ媚びて来るもの。

そう言ったものが自然私を慰めるのだ。

ふと横を見ると、そこに私が今求めている言葉がそこに書かれていた。

「3P今なら20000円!」

──────その日、少年は運命に出会う。

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