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X32悲喜こもごも

【注】この文章はあくまでも個人の感想です。

 先月から連休中まで、イベントのPAをずっとやっていて、そこの卓(ミキサー)がベリンガーのX32という機種でした。

 ベリンガー、まあそこそこ安くて使えなくはないけど、まあ、自前機材としてドヤるには抵抗がある、という、ニトリみたいな位置づけというのが、大体音響とかやってる人たちの共通認識ではないでしょうか。(なお、その下のランクというか、「あれば仕方なく使う」「ものによっては使える」というイケアぐらいの位置づけにあるのがサウンドハウス:通称「成田」というのが私の認識です)。

 X32、出音は悪くありません。そこは確かに「お値段以上」だと思います。現在の価格は円安の影響でさすがに「ちょっと待てい(千鳥ノブの声で)」と言いたくなるような価格になっていますが、それでも機能の割には安く出た当初はもっと安かったので、中小規模のライブハウスとか個人の音響屋さんなんかが割とこぞって導入したのもあり、そこそこ出くわす卓ではあると思います。まあ、そういう意味ではいい卓だと思いますよ。エフェクトもまあ、覚えれば扱いやすいし。

 ただ、細かいところの詰めの甘さが使えば使うほど気になるのです。
ほぼ一か月使って気づいただけでも以下の点が気になりました。

①自照式ボタンと液晶のバックライトの光量が足りず、屋外現場だと表示がほんとに見づらい(テントの中でも見づらい)。液晶やLEDのブライトネスを調整できるメニューはあるけど、昼だと最大光度で見えません。

②設定値の刻み幅が謎。私は数字あんまり見ないからいい(数字は目安でしかないという思想)けど、気にする人は気にするんじゃないかな。

③マスターのフェーダー周りが他と同じデザインで埋没して見えるので危険。せめて色を変えるとか、もう少し離れててほしい。
LRマスターのミュートボタンはマスターの左隣に位置するDCA8にリバーブをアサインしてたこともあって間違って押しそうで危険だったので、ペットボトルのふたをテープ止めして、物理的にカバーして触れないようにするという、デジ卓なのにきわめてアナログな手段で対処。(自分の所有機材だったら、多分誤動作防止カバー:アクリルのふたみたいなやつ 付けます。)

④カスタムフェーダーという概念がない。なんのためのデジ卓なのか……。右の8本にDCAでまとめたのは一応持ってこられるけどそれだけ。
→個人的にはこれが一番気になりました。

⑤盤面上のボタン配置と画面に表示されるUIとの整合性がチグハグ(例えば、レイヤー選択ボタンが上下△▽なんだけど、画面に表示されるレイヤー番号は横に並ぶ、つまり上下を指定するボタンで選ばせるものを横に並べてくる謎UI。「レイヤー=層」だから上下ってのは、まあ言いたいことはわからなくもないけど、それやるなら画面のレイヤー番号を縦にするか、数字を並べずに現在選ばれているレイヤー番号だけ表示するか、レイヤーボタンも左右◁▷で統一するかだと思うんだよね)

 結局こういうのが積み重なって操作性が悪く、すぐに対応しなきゃならん時などにミスを誘発する作りになっていると思います。実際最初のころ「ミスった?」みたいな場面いくつかあったし。まあ、お前が慣れろよって話なんでしょうけど、ミキサーって、PAオペレーターにとっての楽器同然のものなので、自分にとって使いやすい、手になじむってかなり重要。出音が嫌いじゃないだけに、「惜しい」と思う卓なように思います。

 私が何も考えずに触れて手になじむのはアレヒスのQuかなあ。あれ、すごい。とりあえず見ればわかるから。

盤面はもちろん、画面UIまでとりあえず見ればわかるのが神。

というかアレヒスのGL3300というアナログ卓で大体のこと覚えたのもあり、アレヒスにはちょっと思い入れがあったりします。

最初見た時、ビビった。これまだ現役なんだって。アナログ卓で一番好きかもしれない。

 そして、エフェクトの扱いやすさで群を抜いているのはヤマハ。ヤマハのエフェクトは「このくらいでこんな音になる」っていうのが大体想像つくから。ヤマハの特にリバーブの扱いやすさは異常。大好き。ぶっちゃけもっといい音するエフェクトはあるんだけど、現場で「大体の音の想像がつく」っていうの、かなり大事。ただ、いろいろできすぎてド陰キャUIになってるヤマハのデジ卓はなんとかしろよな。

仲良くなればめちゃくちゃ頼りになるけどな。

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