32歳女、歯の治療に200万円かけた挙げ句義歯になるかもしれない
気が狂いそうである。
成人の歯は、親知らず4本を除くと通常28本あるそうだ。
わたしには18本しかない。えっ?18本しかないの?
数えてみてびっくりした。10本抜いてんの?そのうち4本は抜いた記憶がある。6本はいつ抜いたのかも、なんで抜いたのかも覚えていない。そんなことある?
事故にあったとか、薬の副作用とか、ほかの病気の弊害とか。
矯正でどうしても抜かなきゃいけなかったとか。そういうんじゃない。
全部虫歯。虫歯が悪化しすぎた。そのせい。
要因は様々考えられる。
小さい頃から歯が弱く虫歯になりやすかったし、磨き方も下手で染め出し液を使えばクラスでいちばん真っ赤になった。歯医者はとにかく痛い思いをする場所という認識しか無いのでなるべくなら近寄りたくなかった。人生を通してお菓子や甘いものが好きで、かつ少食のくせに燃費が悪いから間食が多かった。ブラック企業で働き始めてからはストレスの穴埋めに間食がさらに増えた。疲れて歯を磨かずに寝落ちすることも多々あったし、忙しさにかまけて歯医者からさらに遠ざかった。行くのは本当にどうしようもなく痛くなってから。当然そんなの、手遅れだ。
まさにフルコース。歯医者が聞けば頭を抱えるであろうフルコースである。そんな生活を当たり前のように32年続けてきて、今更ながらにハッとした。このままだとさすがにヤバいんじゃないか?
断っておくが、寝落ちさえしなければ歯はきちんと磨いていた。毎日3食後。磨けていたか、は別として、磨いてはいた。
ここから導き出される結論は、『重要なのは磨いたかではなく磨けたか』ということだ。当然である。
内訳書いちゃう
200万円の内訳はざっくり下記の通り。
・インプラント(歯根2本、上部構造3本分):100万
・根管治療(自費):20万×3本
・ブリッジのやり直し(自費):40万
これらは予定も含むので、実際にはこれより減ったり増えたりするかもしれない。だがこのレベルの金額が必要なことは事実である。
わたしは決して高給取りなわけではない。年収は平均的、生活レベルもおそらくは平均的な一般人だ。
新卒の頃からこつこつと貯めたボーナスの半分かそれ以上が歯に消えることになる。何かに使う夢を持っていた貯金ではないが、ただし少なくとも歯の治療で大半が持っていかれることになろうとはいかな口座とて想像していなかっただろう。
「でもさ、逆に何に使うあてもなく多少の貯金があったから今こうしてバカ高い治療費を払えてるわけじゃない?それは良かったことだと思おうよ」
「そうかな……、そうだよね、確かに……」
↑この事態になってから毎日繰り広げてる脳内会話です。だから言ってるだろ気が狂いそうだって
治療が順調じゃないんだよねえ
今がどんなに悪い状況でも治療経過が良好で未来に希望が持てるのであれば、わたしもこんなnoteを書くためにアカウントを取ったりしなかっただろう。
経過がまったく順調ではないのだ。
■右下大臼歯、根管治療(自費)
根管治療を繰り返していた(らしい)歯。
らしいというのは記憶がないからである。オブリビエイトでも掛けられたんか?
根尖性歯周炎(細菌感染によって歯根が化膿する病気)になったため再根管治療が必要なのだが、「保険診療では無理」とさじを投げられ自費となった。
自費での再根管治療が終了し次は被せ物の型取りです、という段階で膿がぶり返した。というよりむしろ、治療前より腫れている。明らかに膿が出ている。
これ、治療中に破折したんじゃ?そうなれば抜歯しかない。11本めの。
■右下小臼歯、ブリッジ
上記の根尖性歯周炎を患うのと前後して、ブリッジの浮く感じが気になった。
ブリッジの支えとしていた歯に根尖性歯周炎が認められ、「もしかしたら破折しているかも」との見解を得た。
破折していたら抜歯しかない。12本めの。
11本めと12本めが隣り合っているので、そうなればもともとブリッジで治療していた欠損含め一気に3本を失うことになる。助けてくれ。
なお、もし破折しておらず治療可能だったとしても状態が良くないので、再根管治療(自費)+ブリッジ(自費)で40万かかる。
※おそらくこの部分に関しては保険診療でも可能な範囲だとは思うが、治療の成功率を高めるために自費を選択する予定です。
■右上大臼歯、根管治療(保険)
二次虫歯が深く、神経を抜くことになった。
「この歯はちょっと神経が入り組んでるから保険診療だと無理かも」と言われたが、あまりに自費続きのわたしを憐れんだのかとりあえず保険の範囲内で何とかしましょう、ということに。
結果、1週間経過しても2週間経過しても軽微な痛みと違和感が取れない。
■左下大臼歯および小臼歯、インプラント
3本連続欠損部。一次手術は終わり、あとはアバットメントと上部構造をつけるだけなのだが、問題が起きた。
欠損期間が長かったため、かみ合わせが崩れ上の歯が落ちてきているのだという。
インプラント医「このまま上部構造入れるとかみ合わせが悪いし上部構造も薄くなって割れやすくなるから、エナメル質の範囲で上の歯を削りましょう。完璧にはならないけど多少はマシになります」
主治医「かみ合わせを合わせることが大事だから、上の歯は神経取って被せ物にして高さを合わせましょう。上部構造が割れて作り直しになったらそれだけで50万くらいかかるし」
わたし「根管治療は嫌だ……でもかみ合わせが合わないのも嫌だ……上部構造作り直しで50万?ふざけるなよ」
こんな感じで揉めている。
■左上、大臼歯
インプラントのかみ合わせで揉めているまさにその歯が歯髄炎にかかった(らしい)。
らしいというのはわたしが現実を受け入れられていないからである。
レントゲンで見ても虫歯の影は見られない、だが自発痛がある。これは細菌感染したかもですね、との主治医の意見だ。
主治医「奥歯だし、根管治療は自費のほうが良いかもね」
わたし「根管治療は嫌だって言ってるじゃん(泣)」
こんな感じで揉めている。
■左下、前歯
歯髄炎(略)
現実を受け入れ(略)
虫歯の影は見られない(略)
この問題が起きている前歯は、ちょうどインプラント予定の欠損部の隣。下の歯でも犬歯というのだろうか?まあ、その部分である。
その隣の前歯は根尖性歯周炎を発症して以前に抜歯済みだ。つまり、この歯は孤立歯である。
『根尖性歯周炎を発症して以前に抜歯済み』の前歯についても問題があった。
骨の中に膿が残っているのだという。
口腔外科医「膿、残っちゃってますね。あと何らかの原因で抜歯後に骨が元に戻らずに出っ張ったままになってる。緊急性はないけど、顎の骨を削って膿を出してあげる必要はあります」
わたし「そんなことある??」
口腔外科医「たまにありますよ(ニコ!)」
いっそレアケだって言われておおごとになりたかったよ。
以上がわたしの現状である。フェイクは無い。主治医が見たら身バレするレベルでありのままを記した。
右下大臼歯の根管治療および右下小臼歯のブリッジが上手くいかなければそこはすべて抜歯、わたしの下の歯は前歯だけになる。
失った奥歯を一気にインプラントにするのはさすがに金銭的負担が大きいので、おいおいは考えるとしても右下はとりあえず義歯を入れることになるだろう。
義歯か。
現在インプラント治療中の欠損部は、抜歯後に義歯もインプラントも嫌で歯医者から逃げたせいで長い空白期間が生まれてしまった。
そのことを死ぬほど後悔しているので、今回は万が一抜歯となったらすぐに義歯を入れようと思う。
ちなみに、そのほかの歯がまったく健康というわけではない。遅かれ早かれ治療しなければならないと思われる歯はほかにもある。
歯は一生もの
とはよく言われるけれど、30代でその実感がある人はどのくらいいるのだろうか。
おそらくそんなにいないと思う。なぜなら、たいていの30代はここまでひどい口内環境をしていないだろうと思われるからだ。
わたしは強烈に実感している。
歯が健康であれば、わたしは200万もの大金をかけることも、32歳で義歯を入れる選択を迫られることもなかったのだ。
歯は一度削れば元には戻らない。
一度取った神経が再生することもない。
神経を取ればその歯は弱くなり、わたしのように根尖性歯周炎や破折が起こり、行く末は抜歯である。
もちろん予後が良く、神経を取っても死ぬまで問題ない人もいるだろう。だが、保険診療の根管治療の成功率はおよそ40〜50%だという。半数以上の人がその後何かしらのトラブルを抱えることになるわけで。
今、猛烈に反省をしている。
行動を改めた。回数は1日5回。普通の歯ブラシ、フロスと歯間ブラシに加えてタフトブラシ、歯周ポケット用のタフトブラシを使用。朝昼は15分、夜は30分かけて歯磨き。
それでも、歯医者では「歯周ポケットが深いね」と言われる。
もう今更なにをしたって無駄なんじゃないか。そんな思いで絶望的になった。
窓の外から、近所の小学生たちのはしゃぎ声が聞こえてくる。
もしわたしがあのくらいの年齢からもっと歯磨きを頑張っていたら、今頃こんなことにはなっていなかっただろうか?
ラジオから流れる溌剌としたアナウンサーの声は耳に心地良い。
この人は、寝落ちして歯磨きを怠ったことはないのだろうか?仕事中に間食をして、そのまま業務に戻ったことは?みんな、そんなに完璧に歯を磨けているのだろうか?わたしのように歯に悩む人生を送っている人は?わたし以上に状態の悪い人は?
右も左もトラブルを抱えているせいで食事が思うようにできず、お粥とプロテインとサプリメントで生きながらえている。
165cm、標準体重59kg。食事を普通にできていた頃には標準体重に近い56kgあった体重は、49kgまで落ち込んだ。
体力も落ち、疲れやすい。健康のために朝30分おこなっていたウォーキングにも行けなくなった。
趣味にも集中できない。どうかすると友人へのLINEすら返せない。ラジオのスイッチをつけ、『たまむすび』が3月末で終わることを嘆き、のろのろと仕事をする。治療がいつ完了するか、この生活がいつまで続くかわからない。
本当に気が狂いそうだ。
皆さん、気が狂う前に歯医者に行って治療とクリーニングと定期検診を受けましょう。
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