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たまに自分で書いた小説でもあげようかと思います。良ければいいねをしてくれると嬉しいです。そんな感じです。

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【短編小説】 I was all you needed. “僕が君の全てだった。”

「写真みたいに綺麗だね」 遠くの夕焼けの景色を見ながら、真子がそう呟いた。 いつもそうだった。彼女とはなかなかそりが合わなかった。 僕が真子と出会ったのは9月の中頃で、別れは思い出せない。その頃はまだ夏の嫌な暑さが残っていた。僕が小学生の頃は果たして9月でこんなにも残暑さが滞留していただろうかとその時に回顧していた気がする。そのくらいの季節だ。 「真子、夕焼けが見えるよ。」 昼からあったであろうまだ消えない入道雲と、赤やけ色に染まる空。彼女とその景色を共有したかった。 「ほん

    • ずっと夢を見て

      大人になってから心の奥底から感動したことなんて、恐らく片手で数えるほどしかないと思う。道端に咲いている花が綺麗だとか、都内のビルが密集しているところに美しさを感じたりするような感動は、私の中では小さな感動として位置づけられる。 ここからは、一生忘れられないような心が大きく動かされる感動を「濃い感動」、小さな感動を「薄い感動」と表記する。 薄い感動は日常に蔓延っていて、印象に残らずすぐに忘れてしまったり、心がたいして揺さぶられないものであると定義する。 一方、濃い感動というのは

      • ココアが飲みたいあなたは中国出身

        鈴の音で目が覚める 見慣れない光景 くろい朝 混沌とした記憶を片手で握りしめ 仕切りのカーテンを開け 荷物をまとめる 早くここを去りたい ふと壁にある一枚の絵に目を奪われる そこにはタバコを咥えたオリオン座の絵が飾ってある タバコを吸ってからでも遅くはない そう自分に言い聞かせる コーヒーも飲みたい 彼女は深い眠りの中 もし彼女が起きていたら 僕とは反対にココアを飲むだろう ココアを頂戴 ココアをたくさん 流行りの飲み物よ ※※とのこと

        • 待ち合わせ

          今日はあなたと待ち合わせ いつものあの場所待ち合わせ いつもとおんなじ景色でも いつもと変わらぬ別れでも 今日は君との待ち合わせ 知らない街での待ち合わせ 帰らぬ日々へとなろうとも 会えないこともなんのその 今日も誰かと待ち合わせ 人にもまれて待ち合わせ 冴えない日々は色づいて もう会えないねと手を振るの

        • 固定された記事

        【短編小説】 I was all you needed. “僕が君の全てだった。”

          You wouldn't get it.

          どこをぶつけても痛くないのさ 前だけを見て歩きたいのさ 君がそばにいてくれるなら 明日なんて怖くないのさ 見えないものもないのさ 美しい過去が支えてくれるから にせものなんてないのさ 大声で叫べばいいのさ どうせすぐに忘れるのだから 道端に生えてる雑草がさ 僕に聞いてくるのさ 好きという概念がわからないから バカにされてもいいのさ 信じ続ければいいのさ 君には理解できないから

          You wouldn't get it.

          お前は知るのか

          お前は知るのか 季節の終わりに散る椿の 美しさを                              カネコアヤノ  爛漫

          お前は知るのか

          A Scarecrow Manみすぼらしいカカシ男

          濃い灰色の雲が空を覆っているものの、その隙間から太陽の光が強く地面に反射する。空からは数滴の雨が降り注いでいる。田んぼからまっすぐ伸びている稲穂から雫が何度も落ちて個から集団へと消えていく。 「旅人さん。どちらへ行かれますでしょう。そちらはちと険しい道のりだ。」 カカシ男は生まれつきの笑顔の表情を一切変えずに旅人に話しかける。そして旅人も怯まず答える。 「そいつは知らなかった。行く場所なんか特に決めてはいないんだがね。ここに来るまでに随分と体力を使った。少し楽な道を行きたいね

          A Scarecrow Manみすぼらしいカカシ男

          こちら古本屋深夜営業部

           真っ暗になると無性にどこかに行きたくなることがある。この感情や衝動は潜在的に遺伝子に刻み込まれた人間の本能なのだろうか。あるいは私自身やその他個人個人に後天的に宿された’’ここにいてはいけない’’という危機感のようなものなのか。ここでいう真っ暗というのは、大雨や嵐が作り出す暗澹とした曇り空によるものでもB29が作り出す黒煙によるものでもなく、太陽の光が惑星の自転や公転によって作り出される地球の半分に日が当たらなくなることで起こる「夜」という現象によるものを指す(深夜)。この

          こちら古本屋深夜営業部

          窒息死

          夜中に飲んだラム酒の甘たい香りで目が覚め、キャスターが付いた扉を勢いよく蹴りあげ動き出した。 人間不信になりかけの青年のように体に力が入らないものの、ふとペンを手に取り、握りしめる。 もう趣味じゃない服が山積みになった光景をよそに書きたいことを羅列し、速度オーバーの車の音を交奏曲に仕上げるかのように、趣味の範疇の作品を書き上げる。 若い男女の笑い声が幻聴か現実でなっているものかを聞き分けながらバスであの子と喋った記憶を回想する。 自分自身に、心は肉体よりも崇高で、それを許す人

          窒息死

          【詩】忘れられないの

          あしたあえる ぼくのまえにすぐきみはあらわれて はなれたはずなのに まためぐりあう さえないひびにひかりはさしこんで けしわすれたでんきのすいっちを ひとつひとつと けしていく けしおえたころに またきみはいなくなって くらやみのなかで きみをおもいだす またみつけてしまった そこにはいないはずなのに

          【詩】忘れられないの

          【詩】 死なないネコ

          ふみふみしたよ グーンと伸びたよ 明日だって明後日だって ふみふみグーン いっぱい遊んだよ さっきみたいにはいかないぞ しろいわたわたもっとよこせ はしゃぎすぎて カレンダーがたくさんめくれたよ 明日もできるかな あるくのしんどいな もしもしもしもし もう歩けないや

          【詩】 死なないネコ

          【短編小説】かくれんぼ

          「いーち。にーい。さーん。」 声が公園の壁に反射し、近隣の住宅まで響く。 「どこに隠れた!」 通りすがりの会社員の顔の表情が少しだけオビを弛ませたように柔らかくなっていくのを感じた。 「こうじみいつけた!」 鬼役と推測される少年が、恐らく誰も見つけていない状態で一か八かの言葉を吐いた。少なくともこうじくんという友達がいて、どこかに隠れているのだとわかった。 公園内のベンチで腰をかけている僕を尻目に小手先の技が通用しなかった鬼役の少年は勢いをつけて公園内を激しく駆回り、隠れてい

          【短編小説】かくれんぼ

          【短編小説】夢現(ゆめうつつ)

          朝、目が覚めるとぼんやりとした今日の用事を思い出す。脳は機能しているものの、夢と現実を区別するのに意識を使い、徒競走でスタートダッシュを失敗した小学生の如くゆっくりと動き出す。友人と会う未確定の約束があったなと気づく頃には、コーヒーが無意識に注がれていて湯気と煙草の煙が入り交じり換気扇へと帰着していく。窓の外からは騒がしい声と車の排気音で埋め尽くされ、時刻を見ずともあらかたの時間が知覚できた。 「今日はどこに行くのもやめよう。」 そう思った。 1度転んでしまっては立ち上がるの

          【短編小説】夢現(ゆめうつつ)