仮説思考と仮説検証
おはようございます!株式会社ベーシックに9月に入社し試用期間明けたてホヤホヤの前川と申します。
2024年アドベントカレンダー17日目を務めさせていただきます<(_ _)>
軽く経歴について触れますと、就職氷河期世代の当年46歳のおじさんで、formrunのデータ構築推進グループのマネージャーを務めております。
ベンチャーキャピタルのインキュベーション部門に新卒で入って以来、文化で言えばブラック企業からホワイト企業まで、規模で言えば個人事業主から東証1部の大企業まで多種多様な企業でお仕事をしてまいりました。
そんな私がとあるRが頭文字の会社で叩き込まれた仮説思考と仮説検証についてご紹介を致します。
(因みにnote書くのは初なのでお見苦しい点などは笑ってご容赦ください)
1.今求められる仮説思考と仮説検証
一寸先は闇という諺があります。「ほんの少し先のことでさえ予測はできない」という意味ですね。3年前の自分は今の自分を想像できましたか?私はベーシックでお仕事しているなんて想像もしてませんでした。
では、自分たちのビジネスが今後どうなるか想像できるでしょうか?難しいですよね。自分たちのビジネスがどうなるかを考えるには分からない事がたくさんあります。これが「不確実性が高い」状態です。
一方で、将来どうなるかは分からないけど、ある数値については何故そうなるか分かっている状態、これを「解像度が高い」状態です。
そして、ある数値について何故そうなるか分かっているところもあるけど、分からないところが多い状態、これが「解像度が低い」状態です。
仮説思考と仮説検証は、この「解像度が低い」状態を「解像度が高い」状態に改善させ、ビジネスの「不確実性が高い」状態を改善させるための「スキル」になります。
今回の記事ではこの仮説思考と仮説検証について概要をお話したいと思います。
2.変数と定数を理解しよう
2-1.変数と定数とは何か?
仮説思考と仮説検証を語る上で外せないキーワード、それが「変数」と「定数」です。自分達がコントロールまたは変化させられる指標を「変数」、コントロールも変化もさせられないものを「定数」といいます。かっこよく書くと「Controllableな指標 = 変数」「Uncontrollableな指標 = 定数」です。
2-2.定数を動かすのは無理ゲーなのでやめましょう
ビジネスに携わる人は須らく顧客と自分達の未来をより良いものにしようと日々お仕事に励んでいるわけですが、この「定数」をなんとか動かそうと試行錯誤を繰り返しているシーンを何度も見てきました。
例えば(実際にあったわけではないですが)カスタマーの喉が渇く瞬間(=ニーズが発生する瞬間)をコントロールする事は一般的にはできません。これは「定数」ですね。
一方で、カスタマーが検索した結果画面に自分達のプロダクトの広告を表示する事はできます。お金をかければ頻度も調整できます。これは「変数」ですね。
前述した不確実性が高い中で戦っていくには、少なくともこの「定数」に対するアプローチを続けるドン・キホーテ(ドンドンドン♪ドン~キ~♪のドン・キホーテではなく、セルバンテスのドン・キホーテの方です)になってはいけないわけです。動かせませんから時間の無駄なわけです。
というわけで、大事な大事な前提条件として、不確実性を下げ、解像度を上げる対象は「変数」でなくてはならないのです。
3.仮説とは何かについて考える
3-1.仮説とは何か?
さて、仕事をしていると1日に1000回は耳にする「仮説」とは何でしょうか?
仮説とは、課題に対して「こうすればこうなるだろう」といった予測や、「これが成立するからこうだと言える」といった説明をするための枠組みを指します。(シレっと出てきている「課題設定」も真に重要なのですが、この余白はそれを書くには狭すぎるのでまたの機会があれば)
ビジネスの世界には「答え」がありません。なので、自分達で「答え」を探さなければならないのですが、直前に書いた通り「答え」はないんですね。従って我々は「これは答えに限りなく近いのではないか?」と自分達が考える「仮に立てた説」をもって進んで行かなくてはなりません。
この「仮に立てた説」が「こうすればこうなるだろう」とか「これが成立するからこうだと言える」に該当するわけです。
ビジネスで何かを行う時、雷に打たれたような衝撃と共に名案を閃くなんてことはほぼ起こりえないわけで、我々はラマヌジャンではないので当然それには再現性もないわけです。よって一般人の我々は、地道に仮説を立てて、一歩一歩仮説を検証して、着実に解像度を上げて不確実性を下げていく事で進んでいくしか戦う術を持たないわけです。
では、その大事な大事な仮説の立て方について概要を解説します。
3-2.帰納法的仮説の立て方
帰納法的仮説の立て方とは、特定の事象に対してFact = 分かっている事を列挙して、その共通点を洗い出すことで他の事象にも適用できると思われる「仮説」を導出する思考法です。
マーケティングの世界でよく用いられる思考法ですね。この時注意しなければいけない事に、Factが間違っていると結論が変わる事や共通点を見出す際に論理の飛躍がある、共通点から仮説を導出する際に論理の飛躍があると意思決定を誤るリスクがあるのでロジックの精査が重要です。
3-3.演繹的仮説の立て方
演繹法的仮説の立て方は、得たい結論が先にあり、それがどのようなFactがあれば成り立つか?を考え、その際に既に分かっているFactに加えて「まだ分かっていないが成立すれば結論が成り立つFact」を仮説として設定する思考法です。一般的な演繹法とはちょっと異なりますが、ビジネスにおいてはこのような考え方はとても有効です。
この時注意しなければならない事が、因果関係までは説明できないことがあります。例えば(凄く単純化して)売上と口コミ数が連動しているデータがあったとします。これは販売された商品数が増加したから口コミが増えたのか、口コミが多いから売上が伸びたのかはよく考える必要があります。Factとして時系列の概念を入れないと分からないですね?このようにFactが集まれば証明ができるようになります。
4.仮説検証とは何か?
4-1.仮説検証の前提
仮説が立てられたらもちろん検証を行います。この時、忘れがちな前提が仮説が証明されたとしてもそれは「答えに辿り着いたわけではない」ということで「蓋然性が高まった」にすぎないということです。
この時、注意しなければいけない点として「どの程度蓋然性が高まったか」は極めて冷静に判断が必要です。批判的な姿勢で仮説の検証プロセスを確認していくことが大事です、
※ちょっと用語の解説をしますと、蓋然性とは「確からしさ」を意味します。
4-2.仮説検証の目的
じゃあ仮説検証なんて意味ないじゃん、とはなりません。
冒頭に書きましたがビジネスは不確実性と低解像度の塊です。そんな中でビジネスを成功に導くには、ビジネスを航海に例えると海図とコンパスが必要なわけですね(プロダクトなどのビジネスの根幹は船、一緒に働く人は船員)。
仮説思考に基づいた仮説検証はこの海図とコンパスにあたります。海図とコンパスも持たずに航海に出る人はいないでしょう。One Pieceでもルフィ達はサウザンドサニー号に乗って、ログポースの指す方角へ舵を取りますよね。つまりそういう事です。
5.終わりに
最後に仮説思考・仮説検証で大事な心掛けについて書いて終わりたいと思います。
幸運にも仮説検証の結果、仮説が証明されたらビジネスを前進させる事ができるでしょう。
しかし、世の中そんなに甘くなく不幸にも仮説は往々にして棄却されます。この、仮説が棄却された時に仮説の何が間違っていたのか?逆に仮説のどこまでは正しそうなのか?の振り返りを行い、兆しがどこにあるのかを得、仮説をブラッシュアップし、新たな仮説に繋げ、検証を行うというサイクルを繰り返す事が不確実性を下げ、解像度を上げる営みの本質です。
余談ですが、これはAIには代替できない類のものなので、身に着けることができたらきっと将来役に立つと思いますよ。
明日の担当は!?
明日はSLG事業部の高橋奏人さんがCSサポートについて語ってくださいます。乞うご期待!