見出し画像

【日本全国ローカル梅】#1 十郎梅(神奈川県小田原市)〜神奈川が誇る美人梅

初めて「ローカル梅」を意識して漬けたのは小田原産の十郎梅。近所のスーパーでも生梅は買えるが、その殆どが和歌山や長野、群馬等県外産。せっかくなら住んでいる神奈川県産の梅も入手したくなり、探して買えたのが十郎梅だった。

十郎梅の特徴は、まず何よりもその美しさだ。箱を開け、冒頭写真の艶やかでまんまるな実を目にして思わず「美人ちゃん…」とつぶやいてしまった。それほどつるつるで綺麗。香りも上品だ。どこか平安貴族を思わせる、重ねの衣に焚き染めたお香のような、古風で奥ゆかしい香り。
梅干しを漬けるにはまだ少し青かったので、梅漬け用の分を除いて数日間追熟させてもやはり美しかった。なんと言っても色が綺麗。こんな風にむらなく艶やかに追熟される梅はあまりない。この深く濃い色がまた美しい。やっぱり美人ちゃん…

まるですもものような艶やかさ

この十郎梅で梅漬け(塩分8%)と塩や梅酢の量を変えた梅干し3種類(いずれも塩分8%見合い)を漬け、シロップ煮と梅シロップも作った。

加熱処理した卵の殻を入れてカリカリ梅に
呼び梅酢に梅ボーイズさんの梅酢を使った。梅酢だけでも漬けてみた

着手したのがまだ涼しい時期だったので全て低塩で漬けたところ、下漬け中に微量のカビが幾度か発生。都度カビ部分のみ注意深く取り除き、周りの梅もホワイトリカーで洗った。数回カビが出た分は天日干し⇒梅酢戻し⇒二度目の天日干しと繰り返し天日干しを行い、結果味の濃い美味しい梅干しに仕上がった。手はかかったがやはり可愛いよ十郎梅。

できたて(干し上がり)ほやほやの頃。ふっくらと丸く可愛らしい。現在は梅蜜が出て色も濃く、より梅干しらしい見た目に

そんな十郎梅の梅干しの特徴は、やはり独特の芳香だと思う。幼い頃咳止めにはちみつ漬けを飲んだ、実家の庭のかりんの実とよく似た香りだ。皮と実の間から漂って来るような、若干蝋にも似た芳しい感じの香り。それが口に入れた瞬間、真っ先に感じられる。

味は見た目通りのまろやかさ。尖ったところがなく食べやすい。神奈川県内の梅としては杉田梅も有名だが、こちらは酸味がたいへん強い超個性派。比較すると十郎梅は穏やかで丸みがあって優しい。今年はいろいろ試したが、十郎は余計なものを入れず、シンプルに塩だけで漬けるのがいちばんだと思った。来年は塩分10〜12%、副材料なしでシンプルに、一部はしそ漬けにして漬けようと思っている。

梅漬けや梅干しも美味しいが、十郎梅の美しさと上品な香りはシロップ漬け(白ワインを使って煮た。美味しかった)やスイーツにも向く。おそらくジャムも美味しいだろう。来年は熟した実でぜひジャムも作りたい。

神奈川県内のデパート・スーパーでは十郎梅の梅干しを時々見掛ける。機会があれば是非この美人梅と出会ってみて欲しい。美味しいですよ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?