動力設備の計画1(基本設計)
掲題について記載します。
動力設備は一般的に以下の流れで計画します。
①情報収集
↓
②機器類の平面プロット
↓
③盤の受持ちエリア及び盤配置決定
↓
④盤図の作成、配線種別記載
①情報収集
機械設備機器表、建築動力、施主要望機器、その他機器仕様書等の電源種別・電源容量・電源供給位置・電源供給方法・発停方法・電源バックアップ必要時間を収集します。
電源種別は単相(1Φ)か三相か(3Φ)
電源容量は定格値(分かれば使用最大値も)、単位(WかVAか)
電源供給方法はケーブル直結か、コンセント渡しか、機器に制御盤があるか
発停方法は、電気側でスイッチやセンサー、フロートスイッチを設けるか、電気盤での制御を要するか、電気での対応は不要か
電源バックアップ必要時間はそもそもバックアップが必要か、法的バックアップ時間でよいか、施主要望停電補償時間があるか
またバックアップは自家発でよいか、(瞬停対策が必要であればUPSの設置を検討)
といったところを収集していきます。
②機器類の平面プロット
収集した情報より電源供給が必要な機器のプロットを行います。
機械設備からは機器プロット平面を受領し、作成予定の動力図面に貼付(諸官庁案件では機器プロットを基にJISシンボルに置換)、建築電源は機器設置ヵ所に電動機シンボルをプロット、その他機器で制御盤持ちの機器は別途工事盤をプロット、コンセント渡しの機器はコンセントシンボルをプロットします。
機械設備機器についてもコンセント渡しであればコンセントを機器にプロット、電源直結であれば、ボックスや接続点の丸シンボルをプロットします。
その他、発停方法によりスイッチ、センサー、フロートスイッチが必要あればそのプロットを行います。
リモコン配線やシャッター操作器用のボックスが必要あれば、取付ボックスとしてプロットします。
発停方法や取付ボックスは他セクションの要望有無によって要否が決まりますが、一般的に以下でプロットします。
ファン…倉庫や常時運転しないバックスペースにはタンブラスイッチ(動作表示灯付)(1Φ100Vに限る)、トイレや更衣室等の使用時間が限られる室はセンサー(1Φに限る)、厨房等遠方で操作したいファンの操作は動力押ボタン(3Φに限る)を設置します。
フロートスイッチは排水ポンプ(湧水、汚水、雨水等)の釜場に設置します。ポンプを電気工事で制御する場合は概ねフロートを5個/ヵ所(表記はFS5)とし、制御が機械工事であれば2個/ヵ所(表記はFS2)を設置します。FS5の内訳はコモン、空転防止、1台運転、2台運転、満水でFS2はコモン、満水が一般的です。
(ここでフロートとする理由は、電極を釜場に設置すると落葉等によって極間が接触し、誤検知を起こす為となっています。)
受水槽や消火水槽、消火補助水槽等には電極を設置します。受水槽は給水ポンプ制御用で大体LF5を槽毎に設置します。2槽式であれば2ヶ所設置します。これは、給水ポンプの制御と、水槽の水位検知を目的としています。消火水槽、消火補助水槽はLF3とします。(満水が不要であればLF2)これは槽の水位検知を目的としています。
自動制御工事がある場合は不要なものもあるので、機械設備担当と協議します。
厨房機器、フォーク充電等、コンセント渡しが主体になる機器は容量に合わせた電流値のコンセントを設置します。三相コンセントのシンボルに必要電流値の規格を傍記します。
コンセントの電流値規格は15A、20A、30A、50A、60A(100Aもあるが使用する機会はほぼ無し)となっているので、使用電流値が分かる機器はその電流値の直近上位を選定します。使用電流値が不明な機器はkW×4=使用A値として、その直近上位値を選定します。
60Aを超える機器はコンセント接続ではなく、手元開閉器を設けて接続します。
手元開閉器は30AF、50AF、100AF、225AF、400AFとし、使用電流値またはkW×4値より上位のAF値を選定します。
コンセントも手元開閉器も湿気や水気のあるヵ所に設置する場合はWPを併記し、防水型を使用します。
機器に機側盤がある場合は施主要望が無い限りコンセントや手元開閉器を設けずに、機器へ電源を直結します。
各シンボル記号はJISをご参照ください。
平面図作成留意点
機械設備用の電源で単相の衛生器具類への電源は一般的にコンセント図面に記載しますので、動力図には記載しません。
ファン、室内機、全熱交換器等の単相電源は動力図や電灯図、コンセント図のいずれかに記載します。決まりはありませんので作図しやすい図面に記載することでよいかと思いますが、ファンは照明との発停連動やスイッチの位置合わせの観点から同図に作図するよう要望を受けることがあります。
長くなりましたので、以降別記事とします。