【簿記2級】(40)個別原価計算

個別原価計算とは
受注生産を行う製造業では、営業がお客さんから注文を受けると、その注文内容を記載した「製造指図書」を発行し、工場に命令を出す。製造指図書別に製造原価を計算することを「個別原価計算」といい、製造指図書ごとにかかった原価を「原価計算表」という。

製造直接費の賦課
製造直接費はどの製品にいくらかかったかが明らかな原価なので、その製品に集計する(賦課or直下

製造間接費の配賦
製造間接費はdの製品にいくらかかったかが明らかではない原価なので、作業時間や直接労務費などの基準(配賦基準)に基づいて各製造指図書に振り分ける。
〈製造間接費の配賦方法〉
まず、製造間接費の実際発生額を配賦基準合計で割って「配賦率」を求める。
製造間接費配賦率=製造間接費実際発生額÷配賦基準合計
(例)製造間接費の実際発生額は2,000円。なお、製品①の直接作業時間は25時間、製品②の直接作業時間は15時間。
⇒製造間接費の配賦率=2,000円÷40時間=@50円
製品①:@50円×25時間=1,250円
製品②:@50円×15時間=750円

製品が完成し、引き渡したときの処理
原価計算表の備考欄には月末の製品の状態が記載されるが、製品のステータスによって以下のように記載する。
〈完成して引き渡しが完了している場合〉
完成・引渡済」と記載する。
〈完成しているが引き渡していない場合〉
完成・未引渡」と記載する。
〈完成していない場合〉
未完成」と記載する。

〈勘定の記入〉
①製品が完成したら、その製品の原価を仕掛品勘定から「製品勘定」に振り替える。
②完成品を引き渡したら、その製品の原価を製品勘定から「売上原価勘定」に振り替える。

予定配賦率を用いる場合
①予定配賦率の決定と予定配賦
・製造間接費を各製品に配賦する際、実際発生額を待っていると計算が遅れるため、実際配賦製造間接費を予定配賦する。
・まず、期首に1年間の製造間接費の予定額(製造間接費予算額)を見積もり、「基準操業度」で割って予定配賦率を求める。
予定配賦率=製造間接費予想額÷基準操業度
※基準操業度・・・1年間に予定される配賦基準の数値(予定配賦基準値)
(例)当期の年間製造間接費予想額は21,600円、基準操業度は540時間(直接作業時間)である。なお当月作業時間は次のとおりである。
No.1:25時間 No.2:15時間
(予定配賦率)
21,600円÷540時間=@40円
(製造間接費の予定配賦額)
No.1:@40円×25時間=1,000円
No.2:@40円×15時間=600円
(仕 掛 品)1,600(製造間接費)1,600
②月末の処理
予定配賦額と実際発生額の差額は製造間接費配賦差異として、製造間接費勘定から「製造間接費配賦差異勘定」に振り替える。
(例)当月の製造間接費の実際発生額は2,000円であった。なお、予定配賦額1,600円(予定配賦率@40円)で計上している。
(製造間接費配賦差異)400(製造間接費)400
※不利差異なので製造間接費を貸方に計上
③会計年度末の処理
月末ごとに計上した製造間接費配賦差異を売上原価勘定に振り替える。
(例)製造間接費配賦差異400円(借方)を売上原価勘定に振り替える。
(売上原価)400(製造間接費配賦差異)400

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