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「ChatGPT」登場で消える職業

米タブロイド紙のニューヨークポスト紙は、米マイクロソフト社などが出資するOpenAI社が開発したチャットアプリの「ChatGPT」などの人工知能 (AI)の出現は、今後ホワイトカラーの職業を消し去って行き、その動きは今のところ誰にも止められないとロチェスター工科大のシー教授が提唱していると報道した。

シー教授によると最先端技術の開発が進むに連れ、米国の主要産業であるITのリストラの動きは加速し、その動きはすぐそこまで近づいているとして警告した。シー教授以外にもニューヨーク大学のヘグデ教授は、記者・ジャーナリズム、高等教育分野、グラフィックデザイン、ソフトウェアデザインなどの職業は、AI によって取って代わられるリスクがあり、中でもChatGPTは完璧ではないが大変優秀だと発言した。

人工知能による教育

大学のMBA (経営学修士)の課程では、エリート学生よりChatGPTの方が成績が優れていたという報告があるほか、高等教育現場では学生がChatGPTを使い論文を制作するなどの事例も発生し、社会的問題に発展しつつあるという。
ChatGPTに対抗するため人間が教育を充実させたりテストを工夫することはもはやいたちごっことなっており限界が近づいている。教育現場では一夜にして自身の役割がなくなったと感じる教育者を目の当たりにし、人間のITに対する警戒感が広がっている。
シー教授によると、小学生に向けて生身の教育者の代わりにChatGPTで授業を行うAIレベルはすでに持ち合わせていると分析。今のところニューヨーク市ではAIのみを使用した授業形態は禁止されているが、特に中・高等教育にはこれら技術が一番効果を発揮すると見られている。同教授は基本的にどのレベルでも「ChatGPTに訓練をさせればいい」と説明している。
また、大学については将来、人間の教授がリーダーとなり授業を進めると予想されているものの、技術的にはAIのみで授業を行うことも十分に可能ではあるという。博士課程に関しては状況がさらに深刻で、例えば研究実績が少ない分野において人間が当面AI以上の成果を挙げることは考えにくいという。

人工知能はトレーダーを抹殺するのか

シー教授はまた、金融業界は今後数年で多くの仕事がAIに代替される可能性があるとし、米国の金融街で知られるウォール街において数年以内に数々の職業が無くなる可能性があると指摘している。特に株や債券を売買するトレーダーはリスクが高く、投資銀行においても新入社員がまるで機械のように働いて数年で仕事を覚えるのに対し、AIは確実に「かなり早い速度で」仕事を学習してしまうことから、金融業界で人間に残される仕事と言えば、AIで抽出したデーターに逆らって最終的に大きな決断をするくらいだろうと述べている。

ウエッブデザイナーは時代遅れになる

ウエッブサイト開発やデザイン分野において、コード入力など比較的単純作業のみを行っているウエッブ製作者らは、今後このような作業が必要なくなるリスクが高い。これら職種が将来世界で淘汰していくことは明らかで、2026年以降はChatGPTなどのAIが基本的なコード入力作業を行っていくだろうとヘグデ教授は推測している。「顧客に合わせたウエッブサイト作成もChatGPTをすこし調整すればいいだけなのだから、ウエッブデザイナーの将来を個人的には心配している」と意見を寄せた。

AIによる記事執筆は結果が二分

ジャーナリズムは、今時点では一部ではAIに適する職種があるものの、適さない作業もあった。英ガーディアン紙は、2020年にGPTソフトウェアでの原稿執筆を試みたが、修正を余儀なくされるなど多難なスタートとなった。ただ、ヘグデ教授によると、ChatGPTによる原稿の要約や記事を簡潔にするなどの編集作業の質は大変素晴らしく、また記事の見出し作りの独自性はAIの技術が優れていたと証明されているという。唯一マスコミ記者にとって救いなのは、人工知能は今のところ記事がフェイクニュースか否か選別出来なかったことであったと付け加えている。

米マイクロソフト社は、新型コロナウイルス感染症の流行でネットの需要が高まり従業員の増員を行った後、現在は需要が減退していることに加え、世界経済への懸念などから3月末までに1万人の人員削減を行うと説明しているが、それが自ら開発を援助しているOpenAI社のChatGPTによるものかは真偽の程は定かではない。


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