のべたん。

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黄金の風

 親父の葬儀が終わってすぐのことだった。姐さんからLINEでヨウムの『ブチャラティ』が逃げ出したとの連絡を受け、俺は急いで親父の屋敷へ向かった。  既に屋敷の広い和室には、大勢の組員が押すな押すなでひしめき合ってその前に、喪服を着た姐さんが悲しみにくれた顔でいるものだから、こっちまで悲しくなってくる。  姐さんは俺の姿を見ると軽く頭を下げ、 「じゃあ、岸辺も来たことだから……」と言い、「みんなもう知っとると思うけど、あんたらの親父が大切にしとったヨウムのブチャラティが逃げてし