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一日一詩。

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言葉にできないコトバをことばにします。
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#口語自由詩

【詩】ファッションの秋と雲

秋 それは不思議な季節 青々と弾けていた葉っぱたちが赤に黄にと衣替えする 世界の価値観がひっくり返るような感じで僕は好き 毎年当たり前に来るその変化を人は美しいと呼ぶ 秋 それは何でも許される季節 読書の秋 スポーツの秋 食欲の秋 ファッションの秋 どれもなんでだと思うけど、ファッションって特になんでだ おしゃれ好きな人は年中おしゃれだし、無頓着な僕は年中無頓着だ 考えてみた、わからなかった わからないから空を見上げてみた きれいだった 雲の形がおしゃれだなと思った わ

【詩】幸せな時には書けない言葉がある

幸せな時には書けない言葉がある 幸せの裏側には不幸せがある 普段、僕たちは裏側を見ないように生きている 突然、裏側と真正面から対峙すると 裏側に幸せがあったことを忘れてしまう 裏側の幸せを想像も、信頼も、願望もできなくなった時、はれて、裏側の世界の住人となる そういう時にしか書けない言葉がある 夜と霧の中でしか書けない言葉がある 最愛の喪失、なぜか見返した幸せのアルバム 孤独の錯綜、駅で見かけたなにげないポスター 夢中の終焉、遠くから見た僕らの居場所 容赦のない人

【詩】当たり前の星々

この世界には無数の当たり前がある 星のように 一等星の当たり前は 今日もぎんぎらぎんと輝いている 六等星の当たり前は 今日もかすかに、でも確かに輝いている 見えていない星々が空の中には無数に輝いている って科学の先生は言っていた もし、それが本当なら もし、それが本当なら、 僕には見えていない当たり前が この世界にはまだ無数に輝いているってこと? 無数に? まじかよ… ある程度、大人になったと思っていた 分別のある人間になったと思っていた 自分の当たり前から外に

【詩】いきる

人生を生きるのではなく 自分を生きるのである。 自分が生きるのではなく 自分に生きるのである。