嫌な予感残して夜の花吹雪(朝日新聞あいち柳壇掲載)
昼間に咲いてる桜は全然怖くないのに、夜の桜は昔から怖かった。
字で書くと、朝は「サクラ」、昼は「桜」、夜は「櫻」だ。
ましてや、ざーっと風が吹いて花びらがまいちると、何か良くないことが起こる前触れのように感じてしまう。
朝、通勤途中に見かけるサクラは良いことの象徴みたいに咲いている。大学に合格したら電報はサクラサクとうつではないか。
昼休みの公園で見る桜は鳥も来て、みんなに愛でられて包容力がある。
なのに、昼の桜は夜になると櫻となって、めちゃくちゃ怖い。
夜なのに昼間と同じように咲いているから怖いのだろうか。
チューリップは夜になると閉じるし、朝顔も萎れる。ひまわりもしたを向いているかもしれない。
夜に虫もとりも来ないのに、派手に咲いている目的はなんだろうか。
と考えると、何か良くないことを企んでいるかもしれないと勘ぐりたくなる。
故に、夜の櫻は不気味で怖いのだろう。
嫌な予感残して夜の花吹雪(朝日新聞あいち柳壇掲載)
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