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義父の肉欲 嫁の淫欲

 山泉公三には悩みがあった。
 職業は大手電気部品メーカーの社長。しかも一代で上場を果たし、何度も苦境に立たされながらも国内有数の企業に育てあげた。
 しかし、公三は今年75歳。頭の中に、ぼんやりとしたかすみがかかりはじめ、そろそろ引退かと考えている。
 公三には二人の息子がいた。
 長男の隆は実直な慎重派タイプ。石橋をたたいて渡る性格で、堅実なのはいいが冒険心に欠ける。
 次男の智樹は積極的な行動派。人づき合いにもたけていて、アイデアマンでもあるが、後先を考えずに突っ走ってしまうあやうさがある。
 隆も智樹も専務、常務として経営には参画していたが、性格の違いもあって犬猿の仲。つまり、どちらかを跡継ぎに決めると、必ず確執が残るというわけだ。
「二人を足して2で割ると、ちょうどいいのに」
 公三は常日ごろから、そんなふうに考えていた。
 息子たちは、二人とも妻帯していた。
 隆の嫁は美佐子。年齢は36になる。
 長身で大柄。スタイルはグラビアアイドル並みのグラマーで、パーティーなどでドレス姿になると、その迫力にだれもが圧倒されてしまうほどだ。
 行動も積極的で、一度決めたら決してあとには引かない。
 ただ、二人の間に子どもはいなかった。
 智樹の妻は綾香。歳は33歳。
 色白で小柄。品のいい清楚感にあふれ、年齢より10歳は若く見える。
 幼さの残る笑顔と甘えた仕草、舌足らずな声。控えめな性格が、猪突猛進型の智樹を陰で支えるのに適している。
 そして、二人の間には子どもが一人いた。
 兄弟仲と同様、それぞれの妻同士も仲は悪かった。それは、互いの性格ばかりではなく、社長夫人の座を虎視眈々と狙っているからでもある。
「ねえ、お義父さまっていつまで、社長でいるつもりなの?」
 ある日、美佐子は隆にいった。
「あなたも45。そろそろ……」
「いや、あの親父のことだから、死ぬまで現役でいるつもりじゃないかな」
「死ぬまでって……、でも、お身体が」
「そうだな、たしかに最近、物忘れもひどくなっているし、たまに的外れな意見をいうこともある」
「でしょう? お義母さまが亡くなって5年。お手伝いさんがいるとはいえ、お一人の生活も、なにかと不便じゃないかしら」
「ボクは引き取りたいんだけど、智樹のヤツが……」
「あら、あなたは長男、智樹さんは次男。当然、次期社長はあなたでしょ?」
「それが、そうもいかないんだ」
「どうして?」
「智樹はボクと違って、取引先や従業員のあいだでも人気がある。それに、決断力にもすぐれ、新しい企画を次々に生み出す。経営に向いているのは智樹だ」
「でも、そのおかげで投機に失敗し、一時は会社を危なくしたことも」
「それは、そうだ」
「これからの時代は、あなたみたいな堅実な人のほうがわたしはいいと思うんだけど」
「たしかにな。けど、親父がどういうか」

 同じころ、綾香も智樹に対して小言を吐いていた。
「お兄さんは実業家というより、実直なサラリーマンタイプ。弟だからといって遠慮することはないんじゃないの?」
「それはそうだ。アニキよりもオレのほうが経営者には向いている」
「でしょ?」
「けど、やっぱり長男だから、親父は兄貴のほうがかわいいんだよ」
「情で会社がメチャクチャになったらどうするの?」
「うん、お前のいうとおりだ。だから、親父も迷ってるんだろう。オレは一度、大きな損失を出したこともあるし」
「失敗は過去のこと。それ以上に貢献もしてるじゃない」
「そうだよな。親父も最近、ボケてきたし、なにかの形で決断してくれればいいんだけど」
「なにかって、なに?」
「そうだな、たとえば実力とプラスアルファだ。オレを社長にすることで、親父がもっと満足できるなにか」
「おカネ?」
「カネなんて腐るほどある」
「じゃあ、なに?」
「う~ん」
 智樹は考え込んでしまう。
「親父の好きなものは……」
「お義父さまは、なにがお好きなの?」
「女」
「え?」
「死んだ母さんも、ずいぶん泣かされたんだ。だから、若い女をあてがえば、オレに対する評価が変わるかもしれない」
 自他ともに認める経営能力を持つ公三だったが、それ以上に女好きでも有名だった。
 取引業者から受ける接待は、すべて美人ホステスのいるクラブか超高級ソープランド。金品を贈られても見向きもしないが、色事となればすぐにヤニさがり、無理な契約を結んだこともある。そして古希を5年過ぎた今でも、精力は衰えを見せない。
 そんな公三と初めて出会った日のことを、綾香はおぼえていた。
 豪華な邸宅の応接間。革張りのソファーに腰をかけた綾香は、対座する公三の目が、まるで品定めするようにネットリと絡みついてくるのを知った。
「なかなかいい腰つきをしておる。これなら毎晩、智樹の相手をしても大丈夫だろう」
 呵呵大笑する公三。しかしその目は、淫猥に綾香の胸もとや腰、脚にそそがれたままだった。
「お義父さまはああいったけど、あれは絶対」
 智樹に自分を置き換えている。つまり、息子の嫁であろうと、淫欲な公三は手中に収めたい衝動をいだいている。
 だが、さすがに自分から行動を起こすことはない。ただ、何かの拍子で二人きりになったときなど、尻や乳房を触られたことは何度でもある。
「ここは我慢して」
 すべては夫のため、子どものため、そして自分のため。
 決心した綾香は、日曜日の午後、一人で公三をたずねた。

「久しぶりだな、綾香さん」
 公三は応接間で迎える。
「またきょうは、なんの用で?」
「いえ、近くまできたものですから」
 ピンク色のワンピース。スカートの裾は、ひざ上15センチあたりで切れている。
 ストッキングははいていない。ほどよく実った太ももと、スラリと伸びた脚がむき出しになっている。
 公三は好色な目で綾香を見た。
 最初、見たときのままの愛らしさ。だが、歳を重ねたぶん、妖艶な色気も増している。
 グラマーな美佐子も捨てがたいが、綾香には日本的な色香がそなわっている。
「どうだね、智樹とはうまくやっているかね」
「それが……」
 綾香は切羽つまった様子をよそおい、話した。
「最近、なんだか元気がなくて」
「ほう、会社では、そうは見えんがな」
「体力とか気力じゃないんです。その……」
 恥ずかしそうにうつむく綾香。公三の目がキラリと光る。
「男は40を過ぎるとな、あちこち身体の不具合も出てくる。とくに……」
「とくに?」
「シモのほうがな。智樹は、ああ見えて神経質なところもある。指導力はあるが、そのぶん人の顔色ばかりを気にしておる」
「そうですか」
「うむ。けれど、それじゃあ嫁として、女として不満は募るばかりだろう」
 公三はそういいながら立ちあがり、綾香の背後にまわる。
「裕一郎はいくつになった」
 孫の名を出す公三。
「小学校3年です」
「もう、そうなるか。そろそろ手のかからない歳だ」
「そうですね」
「そのぶん、綾香さんにはヒマができる。けれど智樹は忙しい。疲労やストレスで、身体もいうことをきいてくれない」
 公三は綾香の肩に手を置き、そのまま胸もとに差し入れる。
「お、お義父さま、おやめになって……」
 綾香は身をよじって抵抗を示した。
 しかし、公三の手は奥へ奥へと進む。
「わしは今、隆や智樹のおかげで、わずらわしいこと、面倒なことから開放されている。そろそろ隠居してもいいかなと考えておる」
 その言葉に、綾香は首をひねって公三を見た。
「では」
「だが、社長をどっちに譲るかを決めかねておる。綾香さんはどう思う?」
 公三の手は綾香のブラジャーに忍び込み、乳房をまさぐる。
「そ、それは、もちろん……」
「智樹か。そうだろうな。隠居をすれば、この屋敷もあと継ぎのものだ。もちろん、多くの資産も」
 柔肉を揉み、乳首を指でつまんで転がす。
「お、お義父さま……」
「魚心あれば水心あり。綾香さん、あんたが黙っていうことをきけば……。わかるな」
 綾香は公三を見つめてうなずく。そんな綾香に公三は顔面を近づけ、唇を重ねるのであった。

 寝室に導かれた綾香は、ベッドに腰かける公三を見てちゅうちょしていた。
「どうした?」
 すでに下着1枚姿の公三はいう。
「だって……」
「恥ずかしいのか」
 カーテンは閉ざされているものの、白昼の光が庭から差し込んでいる。覚悟は決めてきたとはいえ、やはり夫の父親と深い関係になることに罪悪感をおぼえてしまう。
「いやならいい。ムリにとはいわない。このまま帰りなさい」
「でも……」
「でも?」
「このまま帰ったら夫は……」
「それはわからない。わしは経営に私情ははさまん。だが、僅差の場合は、やはりそれなりに……」
「僅差?」
「隆にあって智樹にないもの。その逆もしかり。どちらかを選ばなくてはならないとなると、時代背景であるとか経営状況であるとか、いろんなものがかかわってくる。本当は長男である隆がトップに立って、智樹がそれを支えるというのが理想だが」
「そ、それは!」
 綾香は思わず立ちあがる。
「それもかなうまい。なぜかあの二人は仲が悪い。ならば、どちらかを。けれど、能力に差は少ない。うむ、どうしたものか……」
 公三は、好色なまなざしで綾香を見つめた。
 義父は、まだ心を決めていない。ならば、ここで我慢すれば夫は安泰。3代目は息子の裕一郎が継ぐことになる。
「我慢、我慢よ」
 綾香は意を固め、ワンピースのボタンをはずした。
「おう」
 白い光の中に立つ綾香を見て、公三は感嘆の声をあげた。
 真綿ように真っ白で光沢を放つ肢体。細身ながらも乳房は鳩胸状に盛りあがっている。
恥ずかしさでうつむくと、素直に伸ばされた髪がはらりと乱れ、表情の半分を隠す。
「うむ、女はこうでないと」
 公三は綾香を呼び寄せる。綾香は胸を両腕で隠し、公三のとなりに腰かけた。
「どれ」
 綾香の両腕を払いのけ、公三はブラジャーに手をかけた。両の肩ひもがおろされ、ホックがはずされる。瞬時に隠そうとする綾香の両腕を、公三はつかんでひろげる。
「ちゃんと見せなさい」
 こんもりと丸い乳房は巨大な輪郭を誇示し、身体を動かすとカスタードプリンのようなゆらめきを見せる。
 静脈が透けて見え、キメ細やかな艶は周囲の光を吸収する。
 狭い乳輪に桜色の乳首。
 まるで少女のような乳房に、公三は思わずむしゃぶりついた。
「あああん……」
 吸いつき、舌で転がす感触に、綾香は思わず切ない声を漏らす。
 くすぐったく、そして神経を過敏にさせる感覚。
「お、お義父さま……」
 公三は右手で左の乳房をわしづかみにし、右の乳房に顔を押しつけながら、左手を綾香の下着の中に伸ばした。
 さらりとした陰毛をかき分け、閉じた部分に指をはわせる。じゅんわりとした潤いが伝わってくる。
「あうん、お義父さま……」
 綾香は思わず公三の頭をかかえた。
「はふ、ほう、はふぅ」
 柔塊をほお張り、乳頭を吸い、淫蜜を絡みつけるように内部を攪拌する。関節を折り曲げ、膣壁のざらりとした部分をなぞる。
 そのうごめきに綾香は我慢の限界をおぼえ、強固な貫きを求めてしまう。
「お、お義父さま……」
「ほしいのか」
「はい、はい……」
「ならば、わしを元気にしてくれ」
 公三は下半身をさらけ出し、仁王立ちになった。
綾香は床におりてひざまずき、うなだれた一物を吸い込む。
「おう!」
 のどの奥まで呑み込み、舌を絡めながら、綾香は吸い込みを強める。舌は先端やカリ首、サオなど敏感な部分を的確にとらえ、一物に血液が充満すると、いったん抜き取って指でしごく。
 そのあいだも、玉袋や尻の穴とのつなぎ目を探る。
「す、すごいぞ、綾香さん」
「お、お義父さま、これで夫は」
「ええい、こんなときにそんな話を!」
「で、でも」
「それとこれと、話は別」
 公三は綾香をベッドに押し倒し、パンティをはぐ。そして大きく両脚をひろげると、顔面を押しつけ、蜜をすすり、肉ビラをなぞった。
「いやああん、お義父さまぁ!」
 歓喜に身をよじり、甘い声をあげる綾香。汗がぽつぽつと噴出し、濃厚な芳香がわき起こる。
 あごをあげ、背中を反らし、内ももの筋肉をケイレンさせながらよがり、悶える。
「お義父さま、もう、お願い、お願いします」
「挿れてほしいのか」
「は、はい、お願いします」
「よし」
 年齢にしては強固な怒張を、公三は綾香の部分にあてがう。そして腰に力を込め、メリメリと奥深くまで突き入れた。
「ああああああ!」
 思った以上に長大な挿入に、綾香は目を見開き、口を大きくあげて喘いだ。
 子宮の入り口に先が届く。狭い膣筒が節くれだった業物にひろげられる。
 身体中の筋肉がわななく感慨に、目の前が白いものにおおわれてしまう。
「お、お義父さま、すごい、すごい!」
「すごいか、わしはすごいか」
「すごいすごい、あああん、こんなの、やああん!」
 綾香の脚を肩にかけ、公三は思うがまま抽送をくり返した。
 綾香の華奢な肉体が波を打ち、乳房がタプタプと揺れ惑う。
 公三は綾香を抱きあげ、膝の上においた。綾香はとば口を締め、抜け落ちないよう力を込める。
 窮屈な締めつけと粘液のぬるみに、公三は光悦を知る。綾香が呼吸するたびに、圧力はキュキュと強まり、手のひらで揉み、しごくような感触をあたえてくれる。
「いいぞ、綾香さん、もっとだ」
「いやあん、お義父さま、もう、あああん」
 自分の目の前で舞い躍る綾香を見る。肌が紅に染まり、湿り気を帯び、全身をくねらせながら歓喜にむせんでいる。
「あ、綾香さん、綾香」
「お義父さま、もう、わたし、変になる、もう」
「イキたいのか、イクのか」
「うん、うん、お義父さまも、お願いします、お義父さまも」
 公三は綾香をあお向けに寝かし、大きな振幅で抜き差しをつづけた。綾香は身体を伸び縮みさせながら、頂点が間近に迫っているのを知る。
「ああん、もう、もう、ダメ、もうダメェ!」
 綾香は絶叫する。それと同時に公三も塊の暴発をおぼえる。綾香を抱きかかえ、陰毛と陰毛が絡み合うほど突き入れた公三は、そのままほとばしりを放った。
「あ……」
 ドクドクとそそぎ込まれる勢いを受け止める綾香。
「お義父さま、熱い……」
 うごめき、泳ぎ回る精虫の動きを感じ取りながら、綾香はぐったりと身を横たえるのであった。

 それから綾香は、足しげく公三の屋敷に通うようになった。
 ときには子どもを実家にあずけ、智樹の食事も作り置きで対処する。それに対して智樹が文句をいえば、「これもあなたのためでしょ」と言い訳をする。
 そんな綾香を見過ごす美佐子ではなかった。
 美佐子は公三宅の使用人にカネを渡し、綾香の行動を伝えさせる。それにより、綾香と公三がよからぬ関係にあることを知る。
「あの女狐」
 自らの肉体を呈して、綾香は智樹を有利に導こうとしている。そして、公三が無類の女好きであることを、美佐子も承知していた。
「あんなトリガラ女よりも、わたしのほうが」
 スタイルには自信がある。子どもを生んでいないだけ、ボディラインも崩れていないし、内部の感触も衰えていないはずだ。
「負けるわけにはいかないわ」
 そう思った美佐子は、早速、公三の屋敷をたずねたのだった。
 平日の夜、公三は床に入ろうと寝室に向かった。すると、ベッドの上に人の姿を見つけた。
 美佐子だった。
「どうして」
 公三は驚く。
「そんなこと、どうでもいいじゃないですか」
 美佐子は立ちあがり、すぐに衣裳を脱ぎはじめた。
 美佐子はカネを渡した使用人を利用し、公三に気づかれぬよう寝室に忍び込んだ。まどろっこしいことがきらいな美佐子は、よけいな会話や時間をはぶき、誘惑だけを目的に絞ったのだ。
「聞きおよんでますわよ。綾香さんが、ひんぱんにお義父さまのところへかよっていることを」
「うむ、まあ、そうだな」
「ずるいんじゃありません? 嫁は綾香さんだけじゃないはず」
 話しながらスリップを脱ぎ、ブラジャーをはずし、パンティをおろす。そこには、まさにダイナミックとしか言いようのない肉体があらわれる。
「どうですか? わたし、綾香さんとくらべて」
 凹凸のはっきりした曲線に、圧倒されそうなほどの肉質をたたえた女体美。空気を押し開く存在感とともに、昇華して幻惑の蒸気を放つ艶美さも兼ねそなえている。
「すばらしい」
 公三は素直に思いを述べた。
「まさに絶品」
「見るだけでいいんですか?」
「え?」
「好きになさってくれていいんですよ。わたしのカ・ラ・ダ」
「美佐子さん」
「水くさいですわ。美佐子って呼んでください」
 公三は猥雑な笑みを浮かべる。美佐子はそんな公三を抱きしめ、みずから唇を重ねた。
 舌をねじ込み、唾液をそそぎ、口腔の内部を舐りつくす。
 唇をあずけながら、公三は手のひらにあまる乳房を強く揉む。ボリュームに満ちた胸乳は、指の食い込むやわらかさと同時に、ハリに満ちた弾力を示す。
「お義父さま、もう、わたし……」
 美佐子は公三の手を部分に誘う。秘裂はゆるやかに口を開き、にじみ出る淫水が温かな湿り気を指に伝える。
「感じやすい身体だな」
「そう、わたしはスケベな女。スケベな女はおきらいですか?」
「いや、隆の嫁にはもったいない」
 二人は抱き合ったまま、ベッドにもつれ込んだ。

 美佐子は公三の顔をとろんとした目で見つめ、つぶやいた。
「では、ご存分にわたしをご賞味ください」
 老体の公三は、枯れた身体を美佐子の上で泳がせる。
 健康的な肌色をした美佐子の体躯は、艶然とした起伏を形づくっている。巨大な双乳にくぼんだ腹部。腰の張り出しは大きく広く、尻肉は締まった盛りあがりを見せる。
 両手でもかかえ込めそうにないほど実った太ももを開き、公三は赤紫に色づく陰部に顔を埋めた。
「やん」
 酸味の強いにおいが鼻に伝わる。舌をねじ込めば、とめどもなく水飴のような蜜があふれ出る。
「あああん、お義父さま!」
 ベッドのスプリングが悲鳴をあげるほど、美佐子は大きくのけ反り、喘ぐ。
「ど、どうですか、わたしは」
「最高だ、こんな身体は、いままで味わったことがない」
「あ、綾香さんより、綾香さんよりも?」
「うむ、まあ、あれには、あれで……」
「そんなの悔しい。わたしがお義父さまを、もっと、もっと」
 美佐子は突然身を起こし、公三の股間におおいかぶさった。そして、中途半端に勃起した一物をふくむ。
「むむ……」
 強烈な吸い込みに、素早い舌のうごめき。根もとから先までズリュウとなぞり、舌腹でサオをまんべんなくぬぐう。
 その技に、公三は30年、いや40年は若返った怒張を得た。
「どうですか? 気持ちいいですか?」
 上目づかいでたずねる美佐子。
「いいですよ、このままお口に出しても」
「い、いや、それはもったいない」
「では、わたしの中で、もっと気持ちよくなってください」
 美佐子は公三をあお向けにする。そして、ふくよかな肉体をまたがらせると、みずから内部へ導いていく。
「あ、くぅ……!」
 身体の中心をつらぬかれる挿入に、美佐子は唇をかみ締めた。
「おう、これは!」
 美佐子の内部は、強烈な締めつけとともに膣襞のうごめきで公三を迎えた。
 肉粒の一つ一つが節々の敏感な部分を探り、ヌメリの粘膜が大きく包み込んでくれる。
 美佐子は公三を納め、腰を振る。上下はもちろん、前後左右に身体を揺らし、感じる部分に公三を当てる。
「ど、どうですか、お義父さま、わたしは、美佐子は、どう?」
「素晴らしい、本当に隆にはもったいない」
「い、いいんですよ、わたしを好きなようにして。いつも、好きなときに、好きようになさっていいんですよ」
 ギリシャ彫刻のような存在感が跳躍する。メロンのような乳房が大きくバウンドをくり返す。
 ながめているだけで陶然となる公三は、美佐子の圧力がより強くなる感覚を知った。
「み、美佐子さん、もう……」
「イキます、わたしも、もう、わたしも!」
「あ、ああ、美佐子さん、美佐子さん」
「お義父さま、美佐子、もう、いやん、イクイク、いやああん!」
 二人は同時に達した。
 美佐子は公三からおりることなく、吐き出されるエキスを受け止める。背中を反らし、あごをあげ、ビクンビクンとケイレンし、老人の一物が自分の中で脈打ちしなびていく感触を味わうのだった。

 それから綾香と美佐子の公三争奪合戦がくり広げられた。
 綾香は公三の言いなり状態で身体を差し出し、美佐子は積極的な誘惑で翻弄する。お互いが、時間の許す限り公三邸を訪ね、それぞれがそれぞれの個性で性欲を満足させる。
 ときおり二人が顔を合わせることがあると、さすがに何事もなく、その場を引き下がる。だが、やはりすきを見ては公三に身を任せる。
 ただ、精力があるといっても公三は老齢だ。そうそう毎日、二人の相手ができるわけではない。
 しかし、根っからの好き者。たとえモノがいうことを利かなくても、舌を使い、指を使い、ときにはオモチャを使って攻める。
 綾香は、そんな行為を羞恥で受け止める。
「お義父さま、綾香、そんなのもう……」
「口ではそういっても、お前の身体は、ホラホラ」
「いやん、恥ずかしい、いやん」
 一方の美佐子は、進んで大胆にこなす。
「お義父さま、美佐子がもっと」
「おお、美佐子、こんなことまで!」
「わたしはなんだってできますわよ。お義父さまのためならば」
 性欲の権化と化した公三は、ますます思考があやふやになり、自分がきのう食べたものも忘れるようになった。
 社長室のイスに座っていても、綾香と美佐子のことが気になり、判断力の低下はもちろん、大切な取引先や世話になっている政治家の顔も忘れてしまう。 
 そうなると、困るのは互いの夫だ。
「お前のところもそうなのか」
 ある日、隆は智樹にたずねた。
「ああ、家のこともオレのことも放ったらかし。文句をいうと、社長になれなくていいの!の一点張りだ」
「きょう秘書課からクレームがきたよ。社長をなんとかしてくれって」
「営業も同じ。財界、政界の両方から、社長はどうなったんだ、と突きあげを食らっているらしい」
 二人は長いため息を吐く。
「なあ、兄貴。この際だ、兄貴があとを継ぐっていうのはどうだ。長男なんだから順当だろ。女房はオレを社長にするのに躍起だけど、オレは別に……」
 そう智樹は提案する。
「いや、お前がなるといい。オレに会社の運営をどうこうできる才能はない」
 隆はいう。
「いいのか?」
「ああ、今度の役員会で動議を出せばいい。役員たちもお前なら納得してくれる」
「親父の財産はどうする?」
「会社名義にするか、法にのっとって分配すればいいさ。親父を医者にみせて診断書を書いてもらって家裁に行って、禁治産者、もしくは準禁治産者の認定を受ける。そうなれば財産は後見人の管理下におかれる」
「いいのか、それで?」
「オレには、それほど欲はない。欲の皮が突っ張ってるのは美佐子のほうだ」
「ウチもそうだな。オレは今の生活に不満はない。あとは綾香をどう説得するかだけだ」
 数日後、役員会で公三の解任動議が提出され、賛成多数で可決。智樹が次期社長に選出された。そして公三は医者から重度の認知症と診断され、自宅療養を強いられる。
「わしはまだボケちゃいない! なにかの間違いだ!」
 公三はそう訴えたものの、あとの祭り。もちろん綾香も美佐子も、二度と公三のもとをたずねることはなかった。

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