ジェンダー単元予習|阪井翔大

LAP8期 ジェンダー単元 事前課題

◎講師:INVITATION 代表 変革リーダーシップコーチ  松田 美幸 氏

<課題1>

以下のそれぞれの状況であなたならどう対応するかを考えてください。

あなたは、インビジブル国に生まれて育った大学生です。インビジブル国には、格差がなく、誰もが平等に暮らす社会だと感じてきました。ところが、政権が変わり、実はこの国には世界でも最下位にランクされるほど、大きな格差が存在することが、発表されました。そして、国民の一人一人に生まれながらにしてついていた特権スコアが通知されたのです。
※「特権」とは、「あるマジョリティー側の社会集団に属していることで労なくして得る優位性」と定義しています。「本人の労なくして得ることができる優位性」というのは、たまたまマジョリティー側の社会集団に属することで、自動的に受けられる恩恵のことです。たまたまマジョリティー側の集団に属していることから、本人が気づきにくいとも言われています。

 


状況1

あなたは特権スコアの高い集団に属していることがわかりました。家族や友だちの中には特権スコアの低い集団に属する人もいます。この状況をあなたはどのように受けとめますか。また、日常生活のさまざまな場面で、特権スコアの低い人たちから、特権スコアの高い人たちのせいで、自分たちは傷ついている・不安だ・不自由だと言われるようになりました。あなたは、どのような行動をとりますか。

 私が特権スコアの高い集団に属していた場合、特定スコアの高い集団に属しながら特権スコアの低い集団と特権スコアの高い集団の格差を是正したい。まず特権スコアの高い集団から脱しないのは日本社会であれば教育の格差などは固定化されており、一度低所得、困窮世帯になってしまうとそこから脱するには困難な状況があるからである。また心の底で「ある程度お金は欲しい」と考えているのも事実である。しかし、その格差の固定化や許容できない格差を見てそれを看過することも出来ない。自分自身、経済的、社会的に困窮した子育て世帯のアウトリーチに携わった経験があるが、その中で教育の重要性を肌で感じるとともに私がこの格差の是正の一助になりたいと考えた。

状況2

あなたは特権スコアの低い集団に属していることがわかりました。家族や友だちの中には特権スコアの高い集団に属する人もいます。この状況をあなたはどのように受けとめますか。また、日常生活のさまざまな場面で、特権スコアの高い人たちの言動に傷つき、不安を覚え、不自由な生活を送ることになりました。どのような行動をとりますか。
 
 
 特権スコアの低い人が多いコミュニティに属し、自分自身が特権スコアが低いこと、低いと分かっていてもそれを受容すると考える。私は最初この文章を読んだとき、教育に時間やお金を投資、特権階級に属することができるように努力するなど現状の打開策を図るべきだと考えた。しかし、実際に特権スコアの低い集団に属していると、自分たちが特権スコアが低いことにも気づけなかったり(情報格差)、気づけたとしてもどうすればいいのかわからず(これもまた情報格差)何もできない。私は世界に本当に困っている人こそ、声をあげられない状況、助けられない状況にあると認識している。貧困問題を解決するために何かしらアプローチをしてもプル型の対策では困窮世帯はそれに気づけない。得られる支援を得ることができない、結果自然と自分の周りには特権スコアの低い人が集まり、これが普通なんだと解釈するあるいは妥協すると考えた。


状況3

もし、あなたが、自分の特権スコアを選べるとしたら、高いスコア、低いスコアのどちらがいいですか。それはなぜですか。

 正直言ってわからない。現代の日本社会を想定したとき一般的に特権スコアの高い(=経済的に恵まれているとする)家庭に生まれた子は特権スコアの高い家庭・生涯を築くことができることが多い。その意味では特権スコアが高い方がいい。しかし、経済的に恵まれていることは一つの側面に過ぎず、私が幸福度の高い人生を生きることが最も重要であるとするならば、社会的に評価を得ることや人との縁の中で生きていくことや大切な人と生きていくこと、夢を追いかけていることなど幸せの要素は経済面だけでなく多様に富んでおり、特権は必ずしも必要ではないのではないだろうか。しかし私の人間性や思考などは自分の生まれた家庭によって構成されるものであるため、自分自身がそういった価値観(経済以外の価値を大切にするなど)を持つかは甚だ疑問である。だから、私は選ぶことができない。自分を構成するアイデンティティを選ぶことは出来ない。何故なら自分はそのアイデンティティに基づいて物事を判断をしているからである。

<課題2>

どんな社会にも、その人の行動や選択に関係のない条件(アイデンティティや環境)によって開閉に差がつく見えない自動ドアが存在しています。(※の資料を参照ください)

※特権に気付き社会を変えるマジョリティーへの教育を 出口 真紀子さん
http://ictj-report.joho.or.jp/2106/sp01.html


1.現代日本社会のジェンダー不平等の自動ドアの存在を意識、経験したことはありますか。課題資料も読み込み、自分やまわりで感じた具体的な例も踏まえて、考えを共有してください。

 私は理系の大学生の割合が男性に偏っていることを挙げる。令和3年度 内閣府委託調査「女子生徒等の理工系分野への進路選択における地域性についての調査研究」  によると、「分野別にみた、入学者に占める女性比率の全国数値は、「理学」分野が30.2%、「工学」分野が 15.2%」とある。実体験としても、高校の文理選択の時には文系に女子が集中し、理系に男子が集中していた。私は文系だったため、高校三年生時には男子は5人程度でで女性が約6分の5という男女比が異常なクラスであった。これにはかつて社会に共有されていた女性より男性の方が合理的な思考を持っていると捉えられていることや男性のみ勉強する権利を有しているという考えが今なお影響を受けているのではないかと考えた。

★課題資料(必読)

女性活躍・男女共同参画の現状と課題


☆参考図書(任意)

1)ヘルジャパンを女が自由に楽しく生き延びる方法 (幻冬舎文庫)アルテイシア 

2)ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた―あなたがあなたらしくいられるための29問/一橋大学社会学部佐藤文香ゼミ生一同  


2.ジェンダー以外で、自動ドアの存在を意識、経験したことはありますか。自動ドアのセンサーが反応する人、しない人の立場を経験して、自分ができることは何があると思いますか。

 我々は自分の視点から逃れることは出来ないというのが私の考えである。しかし、人と人とのコミュニケーションの中で異なる視点・視座が入ってくると考える。そのため、自動ドアが作動し無意識のまま利益を享受している主体と自動ドアが作動せず不条理に利益が損なわれている主体がコミュニケーションを取る必要がある。前者は部屋や施設に入るときのプロセスが歩いていると自動ドアがあると認識するが、少し待てば自動的にドアが開く。一方で、後者はそのとき自動ドアを認識し、少し待っても自動ドアが開かず自分自身で開けなくてはいけない。このプロセスの違いを前者と他者との対話の中で気づくことができると信じている。ただ、ここには前者も後者も、自分が施設に入るプロセスを全ての人間が経験している訳ではないことを意識することが必要である。以下、そういったことを意識する難しさを紹介したい。
 私は昨年度、社会的・経済的に困窮している世帯にアウトリーチに携わらていただいた。彼らの話を聴く中で、彼らは充実した体験を得ることができていないのではないかと感じた。家族と遊園地などに行った話を聴くこともあったが、よくよく話を聴いていくと、それは数年前の話であったりする。習い事は行っていないことが多かったし、親が寝たきりであったら学校にも行くこともできないような子どももいた。彼らが体験をしたいと思っていてもそれを体験するハードルが他の過程と比較してあまりに異なるのではないかと感じた。さらに問題?なのはそれが異常である(異常ではないかもしれないがマジョリティではないあるいは私の少年時代とは異なる)ことに気づけていない状況である。もっと簡単に施設の中に入っている人がいるという事を知らないのではないかと感じた。ドアが自動的にあかないことを認識するのも難しいが、逆にドアが自動的に開くことを認識することも難しい。別に無理に施設に入る(体験を享受する)必要もないのだが、自分の話をする中でそんな風に生きる手法もあることを紹介したいと同時に彼らから同じようにドアが自動的に開かない生き方も聞いていきたいと感じた。

<取り組み方>

1.各自が課題1と課題2について、自分の考えをまとめ、チームで共有してください。

上層階級の視点と下層階級の視点から差別に気づけないことについて話し合いたい。

2.日本の男女共同参画の現状のデータを読んで、各自が気づいたこと3つを、チームで共有してください。

1「ジェンダー・ギャップ指数(GGI)2022年」によると、政治参画においてジェンダーギャップがあまりに開いている
2諸外国と比較するとまだまだ懸念点があるが、「諸外国の国会議員に占める女性割合の推移」は年々女性議員の数が増えジェンダー格差は狭まっている。
3女性の雇用状況が向上している。出産や育児による離職によって生じていたM字カーブからL字カーブに近づきつつある。

3.皆さんはインビジブル国の内閣です。政府が国民に特権スコアを通知した後、この特権スコアは主にジェンダー格差が影響していることがわかりました。インビジブル国のジェンダー格差をなくすためには、どのような施策をとるといいと思うかを、チームで考えて発表してください。(発表時間は1チーム3分)

 教育現場においてまず性差による役割分業を是正する。現段階では、リーダーシップを持つべきなのは男性であるという風潮があるように個人的には感じられるため、先生などの教育者がより積極的にリーダーシップを取れる立場につくことで、そういった風潮をなくす。
 企業には正規雇用で雇用する女性の割合の最低ラインを定めたり、男性も女性も育休が取りやすい状況をつくる。特に男性は出産時には仕事をしなくてもいいという考えを浸透させる必要があると考える。


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