宮崎 産直巡りー特産物・史話を求めてー
新富町の産直“ルーピン”編:2023年10月13日(土)快晴
なぜ、産直を!
このコロナ禍の約4年間、我々の食を支えてくれたものの一つに近隣にあ
る産直(販売所)がある。もちろん近くのスーパーや鮮魚店、肉屋もあるか
もしれないがともあれ産直さんには本当にお世話になった。
“地産地消”というフレーズが唱えられるようになって久しいが、まさにそ
の地域で生産されたものは(新鮮なうちに)その地域で消費しましょう!と
いう地場産業支援のエールがこめられている。当然そこには生産者の弛まざ
る努力があり、消費を負ってくれる人々の胃袋がある。そこで私はとりあえ
ず宮崎市近郊の産直(大略、20か所くらいか?)に目を向けその存在等に
ついてまとめ、逐次紹介することを思い立った。
若い時に宮崎を離れ、日本各地を転々とする職業に就き長いこと県外生活
を送ってきた。その間、日本各地のいわゆる道の駅や産直販売所、市場を訪ねてきた。
やっぱり日常生活に直結した市場巡りは興奮する。特に魚好きの家族にとって魚市場回りは楽しいものだった。
関東においては横浜市金沢区小柴漁港市でのイシガレイ、あなご、三浦半
島の金田漁港のすずき、タコなど。関西に住んでいたときには神戸の東部中
央市場やちょっと遠くまで足をのばして岡山県の伊里漁港のすずき、ひら、
あなご、海うなぎ、牡蠣等、今でも強烈で忘れがたい思い出である。
残念ながら、宮崎県の中央部にはそれらに匹敵する漁港はないようだが、
それでもいわゆる産直、市場を訪ねるということはやはり血が騒ぐのである。
今まで知らないもの、何かに出会えるのではないか、という期待感とかロマンがあるからなのだろう。
一路、新富町へ
朝から気分の良い日だ。きょうは一ッ葉高速道路を使って新富町の産直“ル
ーピン”に向かった。毎日が日曜日の老年夫婦にとって、日々の野菜類の調達
は健康維持のために必要な活動であり、人々に接するボケ防止のための行動
である。今日も馴染みの産直を訪ねたのである。
宮崎から海岸沿いの高速道路を北に向かうと、広瀬の下山地区に達する、
すると北側にゆったりと東西に横たわる青い山並みが目に飛び込んでくる、
尾鈴山である。
我が郷土の歌人若山牧水が「ふるさとの 尾鈴のやまの かなしさよ 秋
もかすみの たなびきてをり」と呼んだその山である。
たしかに空気も澄んだ秋なのにかすんですっきりと見えない尾鈴山、それ
でもそれが尾鈴なのだと・・・。私は、このルート及びアングルでの尾鈴山
が最も好きである。尾鈴をもっと身近に感じながら読んだであろう歌人 牧
水には申し訳ないが、さらに離れた青島から望遠する尾鈴もこれまた味わい
深いものを感じるのは私だけだろうか。
産直“ルーピン”着
11時ごろに目的地に着いた。「ルーピン」とは、町の花であるルピナス
(ルーピン)が名前の由来だそうだ。新富町役場からすぐ10号線沿いの分か
りやすいところにある。駐車場も分かりやすい。営業時間は「0900~1800」
とのこと、正月(1月1日~5日)休むほか無休。売り場面積:約200㎡(ま
ま広い)。
品揃えはもちろん季節によるが、野菜、果物が豊富であり、肉、卵、海産
物もあり、近郊の農家や水産業者の供給もあるとのこと。
今年の夏は、特にぶどうの出品が多く、また宮崎でも珍しいライチの出品
もあった。いずれにしても新富町やその北側に位置する高鍋町からの産物も
あるようで、珍しい果物も多いようだ。
新富町の歴史的背景
新富町史によると「新富町は昭和34年3月31日、町村合併促進法にもとづいて旧新田村と旧富田村の2村が合併してできた町です。旧新田村は明治4年の廃藩置県後、佐土原県、美々津県、鹿児島県を転々とし、同16年の再置県により宮崎県に帰属、同22年伊倉地区を併せて村制をしいていま
す。
旧富田村も佐土原藩に属する上富田村、下富田村と高鍋藩に属する日置村、三納代村が、鹿児島、宮崎両県を転々とし明治22年に4か村が合併し
て富田村になっています。」とあります。
有名なのは、航空自衛隊の新田原基地がある町ということ。また最近の話
題ではサッカーのJ3に所属するチーム“テゲバジャーロ宮崎”のホームという
ことで、2021年にはホームスタジアムが役場の北側約1キロ、国道10
号線沿いに建てられている。今宮崎で一番元気な街である。チーム名は、宮
崎弁の「てげ」(すごい)にスペイン語の牛(Vaca:バカ)と鳥(Pajaro:
パジャーロ)を組み合わせているとのこと。
特産品の湖水湖のレンコン
この産直の珍しい産品のひとつにレンコンがある。江戸時代から続くとい
う新富町特産の糸引きレンコンがある。これは湖水ヶ池という江戸時代から
ある池で採れるもので、町内にはほかにもレンコン畑があるとのこと。
いずれにしても佐賀県や山口県岩国産のレンコンと違って小ぶりながら食
感が独特でクセになること間違いなし。
10月ころから棚に並ぶということから期待して探したが残念ながらこの日
はまだ陳列されていなかった。お正月料理を準備するころにまた来ることに
したい。
お茶うけに膨れ菓子を購入した。自宅に帰って早速賞味、黒砂糖の香りが
ほのかにして、幼き日におやつでかじったあの味を思い出した。茶うけにピ
ッタリでした。
また、遠くの親戚(石川県)に送るために早生ミカンを購入した。何軒か
のミカン農家のものが陳列されていたが、高鍋農業高校からのものが山積み
されていたので、それを食味したところ甘かったので、10袋(300円/袋)ほ
どを購入し宅急便で送った。親戚からはこの時期珍しい味を送って貰い有難
うございました、とのことであった。
売り場等のレイアウト
上の図が、売り場等の概要。陳列の都合や季節によってはレイアウトが変
化しているようです、あくまでもご参考まで。
花卉、鉢物コーナーの前が駐車場になっている。
My feedback(所感、評価、手応え)
なお、独断と偏見で評価をさせていただき、グラフ化しました。
項目は①品揃え・品質 ②清鮮度(衛生)③ 販売価格④サービス・対応
⑤コーナー区分 ⑥特産品⑦立地・利便性 ⑧お得企画の8項目です。
(あくまでも、現時点での筆者の評価です。)
産直市場に行く人たちの一番のねらいは、新鮮で衛生的な野菜、くだもの
が安く手に入るかどうかだろうと思います。そして価格がリーズナブルかど
うか、産地にしては価格が高いとすれば「評価は4~3」、そして店員さん
の対応具合であったり、お得な情報があるかどうかでしょう。これが道の駅
の評価となればイートインコーナーの有無だったり付近の観光情報の入手の
しやすさ等の項目が必須になるのかもしれません。
いずれにしても、このルーピンはさすがJAさんが経営されているだけに各
生産者とのコミュニケーションも十分にとれているようで、午前中の山場を
過ぎても欠品の補充を的確に実施されているようである。少なくとも月1~2
回は訪れたい産直で、また来月の訪問と新たな農産物に出会うのが楽しみで
ある。
下図は5点満点の総合評価:あくまでも独断で、公式なものではありませ
ん、念のため。
相方のコメント
1 何時行っても新鮮な野菜、生卵が得られてうれしい(もうちょっと安
ければ・・・)。
≪他に、ここよか安いところがあるっちゃろか?≫
2 特に肉売り場と地元どれの鮮魚が有難いです。
≪春から夏にかけてのさっぱ(ママカリ)は、ことのほか最高とのこと≫
3 花苗売り場で季節の苗が手に入り、ベランダがいつの間にか一杯に。
≪持って帰らされるこっちの身にもなってくれんね?≫
今回は以上です。
次回は佐土原町の「生産直売 畑ぼら」を訪問予定です。
・経営者:JA児湯(ジェイ・エィ こゆ)
・住 所:宮崎県児湯郡新富町大字上富田7526
・電 話:0983-33-4833
・定休日:1/1〜1/5(例年)
・営業時間:0900-1800
・その他特記事項:2007年開業
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