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人生の短さについて

 織田信長は、「人生わずか五十年」という敦盛を舞ってから、桶狭間の戦いに出かけて勝利した。49歳のとき家臣である明智光秀の謀反に遭い、自害した。
 太平洋戦争で、「鬼畜米英」から神国日本を守るため二十歳前後の若者が、別れの盃を酌み交わし、敵艦に体当たりする攻撃を行った。
 現代でも若くて才能のあるアーティストや芸能人が自殺したり、病気で亡くなることがよく報じられる。一般人でも、昨日までピンピンしていた人が飛行機事故や交通事故で簡単に亡くなってしまう。
 そもそも、人体は「死にやすく」できている。数分間呼吸ができなくなれば、脳に酸素が行かなくなり脳死するし、数メートルの高さから落下しただけで死んでしまう。心臓に発作が起きれば、救急車を呼んだり周りの人が処置してくれなければ助からない。
 つまり、人生を続けることはそういう危機を回避し続けている奇跡の連続ということができる。そして、その奇跡も百年以上続く人はごくわずかである。人生は短いのである。
 人は誰でも元気で長生きしたい。「元気」とセットであることが条件。元気で長生きしたいという願望を持っている。これは本能である。しかし、ここまで述べてきたように、「人生の短さ」という「相容れない現実」があるとすると、この世はやはり「仮想現実」(もしくは仮の世)だからだと思ってしまうのである。
 

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