不登校という選択肢
子どもが突然「学校を休みたい」と言ってきたら、親であるあなたはどう対応しますか?
そんな日はある日突然やってきます。朝食の最中かもしれませんし、制服に着替えている最中かもしれません。
親の不安
原因追及型
「どうしたの?」「何があったの?」「熱でもあるの?」「具合が悪い?」
脅迫型
「とにかく学校には行きなさい!」「サボるのは許しません!」
放任型
「好きにしなさい」
他にもいろいろあるでしょうし、これらをミックスした状態で対応していることもあるかもしれません。私もそうでした。
このままずっと休むようになったらどうしよう…
家から飛び出してどこかに行ったらどうしよう…
親としてどう接すればいいんだろう…
子どもが学校を休みがちになると、落ち着いて仕事に取り組むこともままならず、親としても不安から常に気を張った状態になるかもしれません。
特に、帰宅後に子どもと同じ空間で過ごす時間の緊張感…。
学校に行けずに反応の薄い状態の子どもを前に、バラエティ番組を見て明るい雰囲気にしようとしてみたり、やたら積極的に話しかけてみたり、いろいろやっていませんか。
親として頑張らないといけない、その気持ちは大切です。でもそれが逆にプレッシャーになっていませんか?子どもに対しても、親であるあなた自身にも。
学校環境
休みがちになる子どもたちですが、学校で過ごしているときは「いたって普通に過ごしている」子ども、というケースが多くありました。友達とも仲良く過ごすし、授業もきちんと受けている。
それなのになぜ学校に行けない?
親にも先生にも、ましてや子ども本人も分かっていないケースが増えました。
学校という場所は、社会の中で特殊な場所かもしれません。
決められた時間、決められた場所(教室)、決められた時間割、決められたクラス、そういった中で1時間単位で慌ただしく過ごします。
近年は学校でもよく「主体性を伸ばそう」という言葉を見かけますが、実際はかなり細かな縛りがある生活の中にいるので、なかなか矛盾しているところがあります。
大学生活を経験されている方はそのあたり納得しやすいかもしれません。高校までと異なり、自分で時間割を選択登録し、朝礼や終礼・掃除などクラス単位で活動する機会もなくなります。登下校の時刻も学生によってまちまちで、特に入学当初は朝イチから講義がないときに感じるちょっとした罪悪感みたいなのもあるかもしれません。すぐ慣れますけど。
日本では大学生になった瞬間に、いろいろな活動や行動に対する周囲の理解が「自己責任」という言葉のもとで、急に変わる気がします。
高校までは、先生の言うことをきちんと聞いて、周囲に合わせて行動していれば、大きな失敗もなく無難に生活を送ることができます。
その反面、周囲と異なる行動をとれば、とたんに先生や親・クラスの仲間から注目され、心配されます。
理解ある先生方からは「最低限これは守ってほしいが、それ以外は自由に挑戦してよい」と言われることもありますが、そう言ってくれる先生もまだ少ない気がします。
親が過ごした昭和〜平成の時代と異なり、社会で多様な働き方が見られるようになり、学校教育でも一律の一斉指導がそぐわない場面が増えてきました。とはいえ、完全に自由にすると目的や目標を見失った子どもたちはさらに不安を抱えることでしょう。そのあたりのコーディネートが学校に今期待されていることのような気がしますが、このさじ加減はとても難しいところです。生徒は同じ環境で過ごすのですが、担任・教科担当など関わる教員によってその対応は多少なりとも変わるからです。
親としてもそのあたりを柔軟に受け止めておくとよいです。先生みんなが全く同じであれば、合わない生徒にとってはたいへん苦痛になりますから。
家庭環境
昭和の時代と違って、同じアパートや町内会にいても、出会ったときに挨拶するぐらいしか近所の方と接点がないケースが増えました。最近では職場でも家族状況について話をする機会は少なくなっていることもあります。そのような中では、子育てを行うための支援や相談をする機会に出会うことが少なくなります。
ふだん忙しく働き、休日は疲れて休む親の状況を子どもたちはよく理解していて、送り迎えを伴うスポーツ活動や金銭の出費を伴う習い事、休日のおでかけなど、自分で諦めることもあります。仕方のないことだと理解していますが、学校に行くと周囲の友達の話が耳に入り、寂しさを感じたりすることもあるようです。
こういったことは成長した後(成人したり親になったりして)、話してくれたりします。学生時代には「〜してほしい」という思いを自分で抑えてしまっているのかもしれません。
こういった日頃のちょっとした我慢が少しでも他者に言葉で伝えられるようになると、という目的で学校にはスクールカウンセラーが配置されています。ただ、月に数回程度であり、効果的な活用にはなっていない状況です。
先生も担任をしているからといって子どもたちのあらゆる対応が完璧にできるわけではありません。先生とコミュニケーションが十分に図られていない段階では「〜してください」と伝えても、それは単なる手段にとどまるためにあまりよい結果にはつながりません。むしろお互いの不信感が募るだけになります。
私のおすすめする方法は「〜で困っているのですが、学校ではどうでしょうか。またどちらか相談できるところを紹介していただいたりできませんか?」という問いかけです。親が困っているのか、本人が困っているか、という点は重要です。それによって相談先・紹介先も変わってくるかもしれませんね。
学校に解決策を押し付けたりせず、一緒になって「将来こういう(ことができる)人になれるといいですね」という上位目標をもって、対応を考えることができたら最良です。
親も疲れていませんか?
学校が悪い、家庭が悪い、社会が悪い、と外に向かって不満を言っても仕方ありません。その影響を一番受けるのは、社会的弱者である子どもたちです。
何よりも目の前の子どもがエネルギーを取り戻してくれることが一番です。
これまでいろいろとできていた子どもならなおさらのこと。
何かをどうにかしないといけない、と親が焦れば焦るほど、子どもは落ち込んでいくかもしれません。
たしかに学校ではいろいろなことを教えてくれたり経験させてくれたりしますが、それが全てではありません。
親も一緒になってゆっくり過ごしてみたり、親がやってみたかったことにつき合わせてみたり、親も一緒に楽しめることをやってみてはどうでしょうか?
子どもが何かやりたいこと(ゲームでもYouTube配信でも)があるなら、教えてもらって一緒にやってみてもいいかもしれません。本人が許してくれることが前提ですが。
ゆっくりで大丈夫です、むしろ焦りは禁物です。
まだまだ人生先が長いと思って、じっくりと楽しんでいけばいいですよ。
その一歩踏み出す瞬間を楽しみにしてみましょう。
もしかしたら明日かもしれませんが、1ヶ月先、1年先になるかもしれません。
でも大丈夫。だって若いんですから。
中高生のころの1年は大きな差ですが、いずれ縮まってきて、40歳と41歳なんて同じようなものです。
そのころになっても楽しめる何かを、今見つけられるとラッキーです。
学生時代は他人と違うことがマイナスになるのですが、仕事をする大人社会では他人と違うことが武器になっていきます。
他者がやらないようなことができるようになるかもしれません。
あるいは、他者と同じようなことをやりたいと言うようになるかもしれません。
子育ては日々新しいことのチャレンジですので、一緒になって楽しんでみてはどうでしょうか。
不登校は子どもが悪いわけではないし、まして親が悪いわけでもありません。
少しだけ関わりを持ち続けてあげながら、安心できる環境を用意してあげてくださいね。
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