専門高校で学ぶという選択肢
義務教育段階(小学校〜中学校)は、公立か?私立か?という分かれ目。
それが高校進学、大学進学、となるとだんだんと細分化されていきます。
みなさんどうやって選びましたか?
ちなみに都会と地方では事情が異なることもあるようですので、この記事は地方で考えてもらえたらと思います。
高校の種類
設置種別で分ける: 国立・公立・私立
学習内容で分ける: 普通科・専門学科・総合学科など
授業形態で分ける: 全日制・定時制・通信制
制度上はこのようになるのですが、個々の学校によって様々な教育活動を行っており、一括りにはできない気がします。
高校教員でも自分が勤務した学校以外ではよく分からないのが実情なので、一般の方であればなおさらそうでしょうね。
高校選びは学力で?
長男が中学生の頃、中学校で保護者向け進路説明会がありました。
そこで先生からのお話にあったのは
「普通科高校を希望する人は、自分で学習ができる人にしか勧めません。先生や友達に教わりながら学習を進める人には専門高校を勧めます。」
という言葉でした。
理由としては、
「普通科高校では大学進学を目標に、共通テスト・一般入試と競争の中で自分で鍛えていかないといけない」
「専門高校では資格取得を目標に、先生の指導やクラスの仲間と一緒に学習を進めていく」
ということだったようです。
そんな簡単なもので分かれない気がしたのですが、そう思われているのが現状なんだなと認識しました。
どの学校に進学したとしても、上の2つは大切な気がするんですけどね。
保護者としての考え
保護者も高校に通われていた方はほとんどかと思いますが、複数の高校へ通われた方はあまりおられないと思います。
教員をしている際の保護者面談でも、「私たち夫婦は普通科高校出身なもので」「この上の子は別の高校だったので」というお話はよく出ました。
「この高校でどう過ごさせたらよいか分からない」ということのようです。
私の住む地域では、
・学力が高い層は、普通科高校(いわゆる進学校)へ
・男子は、工業高校へ
・女子は、商業高校へ
という認識がいまだに高いようです。
専門高校の中にも、工業・商業・農業・水産など様々な種類があります。
学習内容というよりも、就職先の仕事で男女のどちらが多いか、のような感じで選ばれている気もします。
地域の保護者の方と話をしていてもこういった話題は出ます。
保護者としても、自分がやっている仕事や関連する仕事以外については、なかなか理解するのが難しいですね。
子どもに「自分で決めなさい」と言っても、経験が少ない子どもたちではなかなか決められるものではありません。
そのための情報と経験が圧倒的に不足していると感じます。
リスク(損失)回避
親であれば誰でも考えるのは、子どもに失敗させたくない、ということです。
特に高校進学であれば、あとで変更(移動)することは大きなリスクを背負います。
現状、リスク回避で選ばれているのが普通科高校です。
将来、大学で学びたい学問が見つかったときに、普通科高校以外では一般入試で受験できないことがあるから、です。
でもこのことは逆のリスクも生じます。
高校が用意してくれている幅広い学習メニューについて、自分でやりたいこととは関係なしにもれなく学習していかなければいけないからです。
いろいろな科目を学習したのに成績が伸びなかったことから、実際の受験ではその科目を外して臨む、というケースもあります。
一方で、総合型選抜や学校推薦の増加など入試形態も広がってきており、受験機会の多様化も進んでいます。
専門高校からの進学者は、高校での学習を通じて興味や関心をもった分野を掘り下げていき、受験に臨んでいます。
受験スタイルや日々の学習スタイルに大きな違いがあり、このことは青春時代の過ごし方としても大きく影響される気がします。
私としては、マイナスになることに怯えながら学んでいくのが普通科高校で、どんどんプラスをつけていくのが専門高校、だと考えています。
とはいえ、普通科高校で学習に興味を持ってどんどん力を伸ばしていく生徒もたくさんいますので、そういう人もいるぐらいで捉えていただければと思います。
専門高校からの進学
以前だと、専門高校だと就職がほとんど、と言われましたが、今はそうではありません。
国公立や難関私大を含めた大学への高い進学実績をもつ専門高校もあります。
専門高校では、実践を通じて理論を理解していく学習スタイルをとっており、大学の専門分野との接続がスムーズです。
大学進学後も、専門教科(基本的に5教科以外ですが)の積み上げがあるために、学部生のうちにかなりの実践に踏み込んでいます。
最近は、高等専門学校からの大学編入も増えており、実践研究ができる学生は企業も含めて大人気です。
理論と実践ができる人、と考えてもらえたらよいです。
学習面以外のメリットとしては、高校で就職する友人と一緒に生活できることも挙げられます。
多くの人が将来直面する就職活動について、実際に行っている友人を間近で見ることができ、自身の活動の際に抵抗感が少なくなります。また、友人のサポートをしていた経験がその後の自分の就職活動のハードルを下げてくれます。
様々な場面で企業の方と接する機会が多くありますので、職業に対する見方や考え方も自然と身に付きます。これらのポイントは決して小さくはないです。
最後に
あらゆることで共通しますが、「リスク回避」ではなく「メリット・デメリット」で考えておくことかなと思います。
不足することへの不安よりも、不足したものに何を足せるかといった足し算思考的に考えていけばよいです。
そのためにはあらゆるものが用意されている場所ではなく、自分から積極的に「ない場所」を求めて「足せるもの」を身につけに行ってみてはどうでしょうか?
専門高校は基本的に選んで来る場所だと思うので、たぶんマッチしますよ。
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