okinawa2022|選挙の記事などいくつか②

夏色秋色、混ざる空 きょう処暑 /沖縄
23日は二十四節気の一つ「処暑」。暑さが和らぎ、秋の気配が漂い始める頃とされる。22日の沖縄地方は高気圧に覆われて晴れ、沖縄気象台の全25観測地点で30度以上の真夏日となった。
猛暑が続く中、空では季節の移り変わりも始まっている。「行合(ゆきあい)の空」と呼ばれる夏の入道雲と、秋のうろこ雲が混在する光景が広がっている。
22日早朝、中城村南上原の東太陽橋には家族連れが訪れ、日の出とともに刻一刻と変化する雲の様子を和やかに見つめていた。(ジャン松元、写真も)(琉球新報)
沖縄県知事選、何が問われる? 有識者が語る争点と意義
時代とともに有権者の意識が変わる中、今回の沖縄県知事選は何が問われるのか。
沖縄の社会変容を見つめてきた
沖縄持続的発展研究所所長の真喜屋美樹 makiyamiki さん(54)と、
沖縄近現代史研究者の古波蔵契 kohagurakei さん(32)に聞いた。

真喜屋さん「米軍基地、自立の障壁に」
 「沖縄県知事選」は県民にとって特別な意味を持っている。太平洋戦争末期の沖縄戦後、米国統治下に置かれた沖縄では、米軍が現在の知事に当たる「行政主席」を任命していたが、保守・革新を超えた住民運動の結果、選挙で決める主席公選が1968年に初めて実施された。他の都道府県と違い、県民には「自治権を勝ち取った」という意識が強く、それゆえに知事選では県民の「自立」への強い思いが反映されてきた。そのことを日本復帰から50年の節目に確認したい。
自立の最大の障壁は米軍基地だ。沖縄は戦後復興の要になるはずだった利便性の高い土地を広大な基地に取られ、復帰後も産業集積が進まなかった。
 政府は基地に阻害されている沖縄の発展を振興計画でサポートし、道路やダムなどのインフラを整備した。振興計画は復帰後30年までは効果を上げたが、インフラが本土並みに整った今は政治色を強めている。返還された基地の跡地利用で大きな経済効果や雇用を生み出している実績があるにもかかわらず、今の沖縄は基地の見返りとしての振興予算や交付金に依存している。今回の知事選が自立への一歩になってほしい。【聞き手・比嘉洋】

古波蔵さん「子供の貧困、向き合って」
 各候補の主張の違いが明白な基地問題が争点に見えるが、若い世代に響くテーマではなくなっている。沖縄県が昨年実施した県民の意識調査によると、若い世代で、米軍専用施設が沖縄に集中する状況を「差別的だ」と考える人は年配の世代よりも少ない。沖縄戦の経験に触れる機会が少なくなったことに加え、権威主義的な傾向が広がり、お上にたてつくことにしらけた雰囲気があるのではないか。
 どの候補も総花的な主張で争点になりにくいが、子供の貧困問題は県政の最重要課題だ。2016年に沖縄の子供の3人に1人が貧困状態にあることが明らかになったが、急にそんな状態になるはずはなく、それ以前から深刻化していたに違いない。例えば、隣の家のどちらかに貧困にあえぐ子供がいたのに、それに気付かない社会になってしまった。沖縄社会の共同体的性格が壊れてきている。
 候補者は「俺に任せろ」ではなく、沖縄社会の苦しい現実に正面から向き合ってほしい。有権者にとっても自分たちの社会が抱える課題を理解し、議論するチャンスだ。知事選が、県民による自治を取り戻すきっかけになってほしい。【聞き手・中里顕】
毎日新聞20220825