見出し画像

『松本連隊の最後』(角川新書)

 この本は、「あゝ野麦峠」の作者である山本茂実さんが書いたもので戦前松本にあった歩兵第百五十連隊のトラック諸島への派遣について書いている。
 トラック諸島へ派遣中、輸送船団の一部が途中米潜水艦に攻撃を受け撃沈する。辛くも逃れた部隊はトラック諸島へ到着するも補給がなく飢餓と戦いながら終戦を迎える模様を多くの人に取材しまとめたもので1978年に刊行されたものが44年ぶりに復刊(復刊は2022年)された。

 私はKさんという大学教授の方に家系図作成とKさんのお父さんの軍歴調査の依頼された。
 Kさんとの出会いはとある歴史好きの観光ツアーの食事会でテーブルの向かいに座って話したことに始まった。その場では家系図を作ってますと名刺をお渡しした。
 その後、facebookの「いいね!」を交換を続けていたとあるときに電話で話をする機会があり「あなた家系図をつくるって言ってたよね。」といってトントン拍子で家系図の作成依頼を受けることになりお父さんに軍歴があることから軍歴調査も一緒に調べることになった。

 山口県萩市にルーツを持つKさんは近代の歴史に登場する人物の名字を持つ人で萩市とのつながりを戸籍から解明していた。並行して調べていたKさんのお父さんの軍歴証明が届き、陸軍の兵籍らしきもの(様式が陸軍兵籍とは異なる)と現任証明書(お父さんが何処でどんな怪我を負ったかが記録してある)が同封されていた。
 Kさんは、お父さんが主計科であること、乗船していた輸送船が米軍の魚雷攻撃を受け急死に一生を得たことは知っていた。(現認証はこのときの怪我のことが記録してあった)
 今回送られてきた資料からこれらのことが確認できたことに加えて所属していた部隊が歩兵第百五十連隊第一大隊であったことがわかった。

 私は歩兵第百五十連隊の資料を調べて送ったことろ流石に大学教授のKさん知識に関する追求がすごい!
 自らも同部隊のことを調べてこの「松本連隊の最後」のことにたどり着いたらしい。
 Kさんは血みどろで魚雷攻撃の対応をする連隊の人々の状況に感極まり数ページ読んではやるせない気分になり先に進めることが出来ずに休みまた数ページを読んでは休むを繰り返していた。

家系図の一次案を持っていった際にその話を聞かせてもらった。
その時「神様はいるもんだと」と聞かされた。
「この本は僕に観てもらうために復刊された。数年前までは簡単に手にいれることが出来ない本だったんだ。山下くんと出会った結果、親父の所属した部隊名がわかっておかげでこの本と出会えた。」と言われた。

 この本が今復刊されていなければ、私とKさんがたまたま同じテーブルに座ってなければ、家系図を作っていることを伝えなければ
 どれも偶然であるがその偶然が重なった結果、Kさんはお父さんのことを詳しく知ることができた。

 私は、Kさんのお父さんがKさんに語りかけたのだと思う。
やっぱりご先祖様は子孫を観ているんだと確信した。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?