エルムS　予想メモ

コース形態

この前開催である函館1700と札幌1700は似ているようで全く違うコースであり、函館で好走した馬が札幌では全く、といったことも珍しくない。
何故かというと、函館1700はゴール板後から1角まで下り坂で、先行争いも含めてハイペースになりやすい。しかし、1角までは330m近くあるので、隊列を決められればキツいコーナーで一瞬息を入れるチャンスがある。さらに3角まで上り坂であり後続がコーナーでスピードを上げにくいため、正攻法ではそのまま行った行ったになることが多い。後ろからくるのは、スパイラルカーブと4角から直線への下り坂をそのまま活かしてスピードに乗せる外マクリのパターンが多い。どちらかというと外枠先行有利のコースである。
しかし、札幌1700は逆。ペースが上がりやすいのは同じだが、1角までが240mと短くポジション争いが苛烈になりやすく、コーナーまで持ち込まれることが多い。起伏がない点と、周回が短くともコーナーが緩い円形寄りのコースであるため、ペースを緩めにくい。逃げ馬にとっては函館より条件悪化となる。かといって直線一気が決まるほど余裕はないので差し馬は直線までに位置を押し上げたいところなのだが、外マクリはコーナーの緩さから距離ロスが発生しやすく、決めるには立ち回りが難しい。狙いは内枠イン先行や内に潜って位置を上げることができるタイプの差し。

TB想定

雨等がなければフラットの見込み。

ドゥラエレーデ

実績的にはローカルG3では抜けており、G1に複数回出走して好走歴もある。また、ドバイWCで5着と健闘している。
ただし、チャンピオンズCの3着は内有利TBで行ったっきりの流れに恵まれ、東京大賞典の3着はスローペースで単騎逃げしたことに恵まれているので、G1好走馬というほど力があるという証明には乏しい。
フェブラリーSはハイペースなうえに楽に先行できず揉まれて12着と大敗しているので、好走には気分良く運ぶ必要があるが、メンバー構成的にミトノオーやプロミストウォリアなど先行馬揃いで楽には運べない可能性がある。
外枠なら鞍上が試験的に差す競馬をやる可能性はあるが･･･。
1着候補。

ミトノオー

平安S、マーチS、浦和記念はともに楽に逃げる展開に恵まれてのもので、マーチSは1,2番手が2,3着、平安Sは1,2番手が1,3着とわかりやすい。
単騎逃げならしぶといのが特徴。
出脚はまずまず速いので内枠なら単騎逃げできる可能性は僅かにあるが、ドゥラエレーデの短評同様に先行馬揃いのメンバーで絡まれる競馬になると厳しくなる可能性はある。実際名古屋GPや日本テレビ盃ではそれにより大敗している。
よって、実績的には他より1枚上ではあるものの、今回は楽な競馬にはならなそうであることを念頭に置くべきである。
1着候補。

ナチュラルハイ

大沼Sの2着は少し内有利TBのなか好位の内で脚を溜めて出し抜かれたサヴァに対して1列外を回り続けて届かなかっただけで、コース取りの差で敗れたものである。ただし、1kg差があったことは考慮すると、内容的には1番だが大きく上とまでは言えない。
マリーンSは逆に自分が少し内有利TBを生かし好位追走から狭いところを割って抜け出した内容で、逃げのワンツーの展開を考えると悪くない。
今回は相手強化で通用するかどうかが鍵ではあるが、そこまで重賞級も多くはないメンバー構成ではあるので、差す競馬も可能な点も踏まえるとそれなりに高評価しても問題はなさそうである。
2着以下候補。

ドゥラレジリエント（除外）

ディープインパクトCは中団から反応良く差し切る強い内容であり、その前のキングカメハメハCもスタート不利がありながらも勝ち馬と共に差し脚を伸ばしてタイム差なし（勝ち馬とは1kg不利）ならば負けて強し。
2勝クラスでも小倉ダートでマクリ差す競馬が出来ているので、札幌でも問題なさそうである。
よって、今回メンバー的にも差しの出番はありそうなので、能力的にもまだ底を見せていないことも踏まえれば、いきなり走っても驚けない。
1着候補。

プロミストウォリア

1年ぶりの競馬となりどこまで走れるかにもよるが、5連勝、うち重賞2連勝という破竹の快進撃で勝ち上がってきた馬である。
そのなかG1級初挑戦となった帝王賞では、マークされてライトウォーリアやハギノアレグリアスが早めに競り落としに来て潰されたことによる5着敗退で苦しい展開だった。
なお、重賞2連勝の内容は東海Sはほぼ前残り展開であり、アンタレスSは内有利TBを逃げたもので両方恵まれてはいる。
よって、実績的には1枚上ではあるが、久々の競馬かつ前述の通り先行馬が多いメンバー構成なので、逃げられない競馬だった場合は惨敗のリスクも。
1着候補。

ユティタム

基本的に人気先行タイプ。
アハルテケSの10着は1kg重い59kgだったとはいえ好位から全く伸びず力負けといっていい内容で、そもそも昨年の福島民友Cも楽なポジションのわりに全く伸びなかったし、神奈川記念は55kgと恵まれても牝馬2頭に負けての3着、オアシスSの1着も好位外から抜け出したもので、ほぼ位置取りの差でペリエールやオメガギネスを凌いだだけだし、斤量も57kgで有利だった。
よって、能力的にはそろそろ頭打ちで厳しい印象を持つ。
見送り。

サーマルソアリング（除外）

弱くは無いが、OP初戦の総武Sで底を見せてしまった感。
けっして速くはないペースのなか好位から勝ちに行って外から抜け出すところをさらに外から差されてしまった。
その勝ち馬ゴールドハイアーはマーチS、三宮Sでも惨敗で、メンバーに恵まれながらも勝てなかった感は否めない。
兵庫女王盃も斤量1kg有利ながらも逃げるライオットガールに振り切られてアーテルアストレアに差されての3着である。
ダートの牝馬戦線は古馬混合OPで勝ち負けできれば通用してしまう低調な路線であり、今回牡馬混合かつ総武Sよりも相手強化だと高評価は難しい。
見送り。

サンテックス（除外）

マリーンSの2着は少し内有利TBのなか一列外から逃げ馬を競り落としに行ったのは確かなぶんテーオードレフォンよりは評価できるが、結局は1,2番手が2,3着の前残り展開のなかサンテックスに差されており力負けである。
多少好位に控える競馬は出来るにしろ、今回は先行馬揃いで相手強化を考えると条件悪化なので基本的に高評価は不要。
見送り。

テーオードレフォン

マリーンSの3着は逃げ粘った分だが、サンテックスよりも内容は下で高評価は不要。
名古屋城Sでハピやテーオーリカードに勝っているが、ダートらしからぬスローペースかつ内有利TBで逃げて行ったっきりの決着に大きく恵まれただけであるし、その後のアンタレスSは完敗だった。
よって、サンテックス同様相手強化と条件悪化で厳しいと見るのが妥当。
見送り。

ペイシャエス

マーチSはミトノオーが逃げての離れた番手かつ単騎で運べており、被されると脆いこの馬には最高のポジションを取ったにもかかわらず伸びきれず3着止まりを考えると、現状中央重賞では力が足りない。
よって、今回マーチSよりは同型も揃って条件悪化を考えれば、大外枠に入ったとしても厳しい競馬になりそうである。
見送り。

サヴァ

大沼Sでナチュラルハイに勝っているが、少し内有利TBのなか好位の内で脚を溜めて直線で抜け出す内容だったため、そこまで高評価までは至らない。斤量1kg不利を加味しても若干ナチュラルハイのほうを上に取りたい。
アンタレスSで5着に入っており見た目は悪くないが、3着ハギノアレグリアスとは5馬身（0.8差）離れており、重賞級の馬相手では分が悪い。
よって、地力的にはやや厳しそうだが、先行馬がやり合う後ろの内でジッと脚を溜める競馬ができるようであれば展開に恵まれる可能性があるので、内枠なら抑えても。
3着候補。

フルム

大沼Sの5着は展開や直線の進路取りに恵まれなかった感はあれど、道中内有利TBを生かして脚を溜めてもそこまで伸びていないので、高評価は不要である。
OPでギリギリ通用するかどうかという成績であり、唯一勝ったコールドムーンSも相手関係にかなり恵まれた。
よって、相手強化を考えると今回は厳しい。
見送り。

シルトプレ

門別の準エース。（今ではベルピットが上）
昨年エルムS5着は差しに展開が向いてのもので、それでも0.6差離れているので、基本的には厳しい。
よほど前崩れの追い込み決着になれば可能性はあるかもしれないが、いくら先行馬が揃っているといっても相手は強力。望み薄では。
見送り。

ヴィクティファルス

平安S、アンタレスSの大敗ぶりを考えると、基本的には厳しい。
東海Sの3着は前残り展開に恵まれたものであるため、同型が揃った今回は厳しい。
見送り。

ベルダーイメル

マリーンSの8着は好位から伸びを欠いており力負けである。
57kgは久々なので、差しに展開が向けば、とも思うが、近走の見所のなさをどう見るか･･･。大和Sは60kg、根岸Sはドスロー、カペラSは前残り展開と言い訳できなくもないので、グリーンCC、武蔵野Sなどでペリエールやセキフウ、ヘリオスなどに先着しただけの走りをして、追い込み決着なら。
3着候補。

タガノクリステル

大沼Sの9着をはじめ、近走のOPは全くいいところがないので、基本的には厳しい。
見送り。

ホウオウアマゾン

どこまで走れるかわからないが、先行馬揃いの今回は楽には行けないし厳しいのでは。
見送り。

総評

1着候補が多いが、先行馬が多いメンバーを考えると下方修正が必要な馬が多い。それでも実力はあるし、下位人気はほとんど弱いので無視はしにくい。
差し馬も強力なところは限られる。馬券戦略としてはまずは差し候補ドゥラレジリエントやナチュラルハイのオッズを確認してからがベター。どちらも上がり馬で過剰に背負うならば見送りが吉か。