函館記念 予想メモ


コース形態

この時期にまでなってくると、洋芝も芝丈が長く揃い始める=根元から成長が進み、柔らかい馬場になるため、時計がかなりかかり始める。開催も進み傷みも広範囲になってくるので、単にスピードだけでは決まらない難しいコースとなっていく。
スタートから2角まで平坦と下り坂しかない。1角までは476mと長く、下りスタートでそこそこ勾配もあるので結構ペースが上がりやすい。
直線距離があるとはいえ、ポジション争いもほどほどに1,2角で息を入れつつ回ってこれるかがカギ。向正面から上り坂で4角もそこまで下らないので、時計が掛かりやすい馬場と相乗で惰性だけでは押し切れない。
とはいえ、周回および直線が短いので、ポジションを取りたいのも事実。競り合いのリスクがある逃げよりは一歩後ろの馬の方が狙いやすいか。
機動力に長ける差し馬も見逃せない。

TB想定

フラットでいいと思われるが、天候によっては注意が必要で、多少の雨残りでも道悪に近い時計水準になることも。

ホウオウビスケッツ

巴賞は単騎で楽に逃げる展開に恵まれ、デビットバローズとほぼ行ったっきりのワンツーだった。しかし、ゴール前で再度離して2馬身差付けたのは評価すべきである。
なお、東京新聞杯3着の実績もあるが、そこまで速い流れではなかったうえにかなりの内有利TBに恵まれてインベタの馬しか来ないような馬場状態で雪崩れ込んでのものであり、着順ほど評価は禁物だが、実績馬ウインカーネリアンにクビ差まで詰め寄っているのも事実である。ただし、ウインカーネリアンは昨年と見比べてみると衰えている可能性が高い。
東風Sは逃げ馬の離れた2番手追走から3着に粘ったが、それなりに速い流れでもあったので、自分のペースで走れればそれなりに粘れるタイプとも受け取れる。
ただし、中日新聞杯では休み明けとはいえ折り合いを欠きまくっており、東京新聞杯も引っ掛かりそうでギリギリであったので、延長ローテを踏まえると逃げあるいは離れた番手で競られず楽な競馬ができなければ気性的な脆さで惨敗するリスクはある。
よって、楽に先行することができれば巴賞同様の内容で押し切る可能性はあるものの、重賞実績のあるマイルからは延長でカテゴリ強化ではあるため、内枠をひくほか、展開やTBの恩恵はある程度必要であると考えるべきである。
メンバー的には単騎で行ける可能性はあるが…。
1着候補。

デビットバローズ

巴賞は逃げたホウオウビスケッツと行ったっきりのワンツー。
コースロスの差はあるものの詰め寄れずに敗れており、後続にも迫られ力負けである。
なお、新潟大賞典でも4着に好走しているが、スロー楽逃げの前残り展開のなかを離れた番手のインベタでロスなく脚を溜めたことを考えると、そこまで脚がなく差されての内容は力負けでそこまで価値はない。
一方で、OP昇級後も上手に立ち回って大崩れしていないので、新潟大賞典同様56kgならば、展開やTBに恵まれれば少しチャンスはある。
巴賞よりも相手強化なので、抑え程度の評価。
3着候補。

サヴォーナ

長距離路線から中距離路線へ。カテゴリ強化ではあるが、ローカルハンデG3程度なら十分実績上位として扱える。
立ち回りの巧さがウリで、ここまでの重賞の良績は全て内有利TBやスローの前残りに恵まれているため実力自体は見た目ほど高くはないが、見方を変えれば恵まれるように仕向けることができている。
日経新春杯で大外枠から内に潜りこんで内有利TBを生かしたことはその代表例。
天皇賞春も若干内有利のTBのところを生かしていたが、これは力負け。
阪神大賞典はTBや位置取りが噛み合わなかった。
よって、カテゴリ強化の中距離戻りとはいえ、天皇賞春よりは今回メンバー弱化であり、57.5kgと個人的には0.5kg低く見積もられた感があるので、内有利TBや内枠を貰えればより勝ち負けの可能性が高まるといえる。
1着候補。

チャックネイト

天皇賞春の14着は負けすぎ感はあるが、メンバー強化や締まった流れの長距離では保たなかっただけ、と見れなくもない。
それ以外では安定感のある走りが出来ており、アルゼンチン共和国杯3着、AJCC1着と実績は十分。
ただし、両重賞ともメンバーレベルはハンデ重賞にちょっと色が付いたくらいであり、アルゼンチン共和国杯は56kgだったのに対し今回58.5kg、AJCCは不良馬場で比較が難しく、実績ほど力が抜けているとはまだ言えない。
よって、天皇賞春を見なかったことにすればG2~G3の堅実派になれる可能性がある馬であり、実績上位で今回も好勝負可能な水準にはあるが、連軸向きと言えるほど信頼を置くにはまだ早い印象。
1着候補。

グランディア

エプソムCの6着は中団から脚を伸ばしたものの、スローでやや前残り展開だったため差し届かなかったものである。3着までと同タイムであり、3,5着は展開に恵まれたことを考えれば3,4着相当の評価は与えられる。1,2着には少し離されたが、OP初戦が重賞だったことからもハンデ重賞程度ならばある程度目処をつけた内容ともいえる。
よって、56kgとそこまで重くはないので、差しに出番があれば、中団から脚を溜めての好走は期待できる水準にある。
2着以下候補。

トップナイフ

菊花賞以来の長欠明け。
菊花賞は出遅れてスローのところを捲るもスタミナ切れを起こして歩いてしまったもので、チグハグなところもあったので度外視でいい。
札幌記念の2着は洋芝と雨残り、馬場の傷みで稍重ながらも追走で一杯になるほどの道悪であり、多くの馬が少しでも馬場のいいところを求めて外を回すなか、道中ガラ空きの内を使ってすいすいと位置を上げて4角で先頭に立って押し切ろうとしたところをプログノーシスに差されたものである。
これは実力が足りたというよりも他がロスの大きい外を求めたことと単に馬場に対して走れなさすぎた感が強いので過大評価はできないが、負かした相手はジャックドール、ウインマリリン、シャフリヤールなどG1級が複数揃う豪華メンバーであり、他のメンバーに比べると明らかに別格である。
しかし、それ以外では楽に先行して行ったっきりの2着のホープフルS、実績は示したがタスティエーラとの逆転を示唆することとなった弥生賞以外馬券になっていない。
よって、相手弱化ではあるので、道悪が見込まれたときや、内でロス無く立ち回れそうなときに勝ち負けに加われてもおかしくはない。
2着以下候補。

エンパイアウエスト

2連勝中の上がり馬だが、2走ともスローペースかつ逃げ馬を見る形で揉まれない楽なポジションを追走したことによるもの。斤量は53kgと軽いが、この時期の函館は時計が掛かりやすくなっているので、スピードに任せにくいためハンデの恩恵は少ない。
基本的には重賞かつ楽なペースになりそうなメンバーでもないし、競られて揉まれそうとなれば条件的には苦しくなる。
見送り。

オニャンコポン

京成杯以降OPでは2度しか馬券になっていないものの、巴賞の4着は行ったっきりの流れで差し切れなかっただけで、デビットバローズとは0.1差で悪くなかった。しかも斤量もこちらが58kgだった。
今回は相手強化ではあるが、57kgに減る。デビットバローズやアケルナルスターも1kg減るので差は変わらないが、ホウオウビスケッツとは斤量が逆転してこちらが0.5kgだけだが軽くなる。
つまり、差しに展開が向くようならば一歩前進可能である。
よって、ホウオウビスケッツなど先行馬が苦しくなる見立てならば、抑えておく必要がある。
3着候補。

アケルナルスター

巴賞の3着はほぼオニャンコポンと同じ評価である。斤量を考えれば互角と言っていい。
この馬は主要4場のOPだと基本的に足りないが、ローカルの時計のかかる決着で消耗戦寄りの展開なら浮上するタイプであり、捲る脚もある。
また、五稜郭S、札幌日経OP、巴賞の内容が他よりいいことから洋芝が合うタイプにも思える。
よって、オニャンコポン同様差しに展開が向くならば抑える必要がある。
3着候補。

マイネルクリソーラ

中山金杯の3着は大外枠かつ終始外を回っていたことを考えると、少し内有利のTBも加味すれば、道中は内寄りで4角から直線で外に持ち出されただけの1着リカンカブール、2着ククナと比べれば着差ほど内容は悪くないが、55kgの軽斤量の恩恵も否定できないし、そもそもレースレベルは高くなかった。
続く中山記念の5着は出遅れかつかなりの内有利TBのなか外を回って追い込んでのものなので、着順・着差ほど内容は悪くなく、メンバー強化ながら重賞でも目処を立てた走りと言える。
新潟大賞典の7着は見せ場はなかったが、スローからの脚比べでキレ負けという感もあるし、多少4角でスムーズさを欠いたところもあるため少し酌量の余地はある。
また、アンドロメダSのように内ラチを生かす競馬もできるので、外を回さないといけない馬ではない。
よって、能力的には好走可能ではあるが、ロスなく立ち回るなど展開かTBの助けが必要である。
3着候補。

リカンカブール

中山金杯の勝ちは少しの内有利TBを生かした立ち回りで好位の内から外に持ち出されて抜け出したものであるため、重賞勝ちほど内容は秀でておらず、またレースレベルも高くなかった。
そのなかで今回58kgと2kg増であり、サヴォーナより重いのは少々見込まれた印象。
同じ中山金杯3着の56kgマイネルクリソーラと1kg差が広がっており、フラットな展開・TBなら逆転される可能性がある。
ただし、中山金杯のように内を生かした巧みな立ち回りができる馬なので、小回りローカルならその長所を生かしてTBや枠、展開に恵まれれば再度好走の可能性はある。
3着候補。

サンストックトン

巴賞の6着は位置取りが後ろすぎたとはいえ1kg差のあるオニャンコポンと同じ上がりであり、上がり最速とはいえそこまで目立った脚には見えず力負けである。その前の福島民報杯も不利があって差し遅れたものではあるが、この組は七夕賞でも馬券になれておらず、レベルがあまり高くなかった。
よって、基本的にはオニャンコポンやアケルナルスターを優先して買えばいいが、今回55kgとかなり軽くなるので、前潰れの展開の場合にしれっと最後に強襲してくる可能性はあるため、その展開を狙うならばギリギリ抑えに回すのも一考の余地はある。
見送り。

ハヤヤッコ

8歳馬ながら長く重賞戦線で戦えており立派な馬である。
芝転向後を見返すと、相手が揃っていた2022天皇賞春、2022札幌記念、2023オールカマー、大阪杯では惨敗しているが、それ以外では安定して掲示板付近を走れている。
また、中日新聞杯で今回同様の58.5kgで2着に好走しており、差し脚質ではあるが、圏内を望めないような着拾いばかりの競馬をしているわけでもなく、相手や展開、TB次第では通用しており常に一定のパフォーマンスは発揮できている。
なお、2022函館記念を勝った時は、道悪により内有利TBとなっており、最内枠だっただけにそれを生かした競馬で抜け出したことによるものであるため、内容としてはそこまで価値は高くない。
よって、中日新聞杯よりもメンバーはやや強いが、道悪やTB、展開が向けば好走のチャンスはある。
2着以下候補。(一発穴)

プラチナトレジャー

福島民報杯の3着だけ走れば、というところではあるが、54kgの軽斤量にも恵まれた節があるし、特段末脚が優れているわけでもなく、雪崩れ込んだ結果ギリギリ残せた、という感が強い。そもそもレベルも高いレースとは言えない。
今回何故か55kgに増えるうえに相手強化なので、基本的には厳しい。
見送り。

アウスヴァール

先行力だけはあるが、力比べの展開になると全く粘れないので、よほど内有利でもなければ買う理由がない。ましてや、惰性が使えないコースなので厳しい。
見送り。

エミュー

牝馬限定の弱いメンバーならばまだ通用の余地があるが、混合戦の重賞では基本的に能力が足りない。
巴賞もあまりにも何もできなかったため、メンバー強化の今回は厳しい。
見送り。

総評

実績馬が複数いるため、力勝負ならそこまで荒れる可能性は高くなさそうだが、一方で好走にはTBや展開の恩恵を受けたい馬がかなりいるので、しっかりTBやオッズを確認して、買えそうな目を探ってみたいところである。

※函館2歳Sはキャリアが少なく比較困難なレースであるため、予想記事は出しません。
回顧記事は普段通り作成します。

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