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ポリリズムを初めて目の当たりにした気がした

音楽学大学院生の週一アウトプット*18

昨日、ジャマイカ人の友達がサツマイモプリン(ジャマイカのスイーツらしい)を作っていた。なんだかノリノリだった。

何にのっているのかは定かではなかったが、とにかく楽しそうだったのでしばらく横で(スマホをいじりつつ)見ていた。そうしたら途中からビートを刻み始めた。足と腰と腕を同時に動かしている。なんだか不思議なリズムを刻んでいるなあとぼーっと見ていたら、次は歌い出した。(*彼女は料理中である。)普段は英語を母語として喋る彼女だが、今回は知らない言葉を歌っている。

ここでやっと私は彼女に待ったをかけた。

「何語なのそれ?」
「パトワ語だよ」
「ジャマイカの言葉?」
「そうだよ、ジャマイカのクレオール語だよ。私の2個目の母語。」
「ああ、クレオール語!!」

ジャマイカのクレオール語、パトワは非常に英語に似ていると説明してくれた。聞いていたが全然そんなことないなと個人的には思った。ちゃんと説明されれば、少しわかる部分もある。だが、やはり単語も文法も発音も違う。以下に引用を少し。

パトワはジャマイカのクレオールで、アフリカ奴隷が話すアフリカ語と植民地支配をしていたイギリス人が話す英語がミックスされて生まれたと考えられているそうです。ジャマイカの学校教育では、基本的にパトワは禁止で生徒には授業中は正しい英語を話すことが求められます。公用語である英語を正しく使えるかどうかは安定した仕事に就けるかどうかにも直結するため、学校現場では正しい英語の取得が求めれるのです。

©︎リンコップジャジャ JAJA MAGAZINE https://linkup-jaja.org/patois/

なるほど。それで、ジャマイカといえば、レゲエ。このノリノリのパトワはレゲエなのだろう。せっかくなのでレゲエについて彼女に色々聞いてみた。色々教えてくれたのだが、最も驚いたのは、「レゲエ」の意味。

パトワにおいて"streggae"は「都合のいい女」を意味するそうで、それの略語がレゲエだそうで。語源にすでにアングラ感が…あとから調べてみたらClancy Ecclesというシンガーソングライターがレゲエと訳したことから始まったそうだ。(以下サイト参照)

それから、さらに面白かったのは、彼女の歌と手と足のリズムが全部違ったことだ。彼女は料理中で無意識でノっている状態でこんなに複雑なことをやってのけているのだ。これは、広くポリリズムと言われ、アフリカ音楽のよく知られた特徴ではあるが、本当に体の奥底の認識レベルからポリリズムが染み付いているのだなあと、感じられた。

というのも、普段は好きでフレンチポップをご機嫌で聴いているそうで、特にジャマイカの音楽や文化に従事しているorしてきたわけではないそうで。

私はこれまで資料や論文、SNSなどでアフリカ音楽を見たり聴いたりすることは多かったけれど、こんなに身近に感じられたのは初めてで嬉しかった。こういう体感的な発見がまたありますように。

ちなみに、できあがったさつまいもプリンはとっても美味しくいただいた。私もプリンを食べながら彼女の真似をしようと試みたけれど、到底無理だった。

FALL

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