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*An homage to Syd Barrett*


"The Lyrics of Syd Barrett"という、イギリスのOmnibus Pressという会社から出版されたばかりの、シド・バレットの歌詞集を購入しました。(Amazonでは5月発売になっていますが、イギリスのオンライン書店では、既に発売中)まだちらっと読んだだけですが、デザインもお洒落で、写真も既出ながら良いものをセレクトして掲載していて、シドのファンは必携の一冊と言えるかも。ミック・ロックやストーム・ソーガソンの写真は使われてないので、他の本と被らないのも良いです。シドの伝記本の作者Rob Chapmanによる詳しい楽曲解説と、初期Pink Floydとシドのマネジメントを務めていたBlackhill Enterpriseの、Peter Jennerによる序文が載っています。マネージャーであり友人だったという立場からの「みんな彼を助ける準備はできていたけれど、彼は我々を必要としていないようだった」という序文、なかなかグッときます。(Kindle版のリンクを貼っておくので、英語が読める方はどうぞ↓)

メインの詞集ですが、デイヴ・ギルモアの協力のもと、Chapman氏が改めて書き起こしたそうで、追い追いじっくり読んで味わいたいと思います。

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実は中学生の頃から、かれこれ25年近くファンなのが、クレイジーダイヤモンドことシド・バレットだったりします。

当時好きだった漫画にPink Floydの曲名をもじったキャラ(そう、『ジョジョの奇妙な冒険』です/笑)が登場したりと、色々きっかけがあり、Pink FloydやKing Crimsonなんかのプログレを聴きかじっていたのですが、ある洋楽のガイドブックに、デビューアルバム"The Piper at the Gates of Dawn"(『夜明けの口笛吹き』)や、例の"Wish You Were Here"(『炎』)のレコーディング時のエピソードが紹介されていて、強い印象を受けて、どちらのアルバムも入手。("Wish〜"はレンタルだったかも)中学生で、お小遣いで買えるCDもそんなになかったので、ひたすらそればっかり聴き続けていたのでした。特にシドのマザーグース/お伽話的世界観と、サイケデリックな音の万華鏡、鼻に掛かったいかにもブリティッシュな歌い方('60年代当時は珍しかったとか)に、すっかり夢中になってしまいました。憂いのあるスター然とした表情や、カラフルなカーナビーファッションにも。

その頃、ちょうどNHKでBBC制作のロックの生誕50周年を記念したドキュメンタリーが放映されて、その中のサイケデリック・ロックの回で初めて動くシドを見て、「めっちゃかっこいい!」とすっかり衝撃を受けたのでした。初来日時のBeatlesよろしく"祭"の法被を着た"Arnold Layne"も、"See Emily Play"も数十秒しか掛かってなかったのに、凄く印象的でした。ただ、すでに心あらずだった、アメリカ・ツアーの時のTV出演("Apple and Oranges")で、ボーッと宙を眺める姿は、痛々しかったのを覚えています。


前半が"Emily"、後半が"Apple〜"の映像です。


その後図書館で借りた『神秘』というFloydの伝記本に描かれたシドの盛衰(ケンブリッジのアート学生が一夜でスターになり、LSDで廃人になるまで)と、ソロ・アルバム"The Madcap Laughs"(『帽子が笑う・・・不気味に』)でのダークで枯れた生々しいサウンドにショックを受け、しばらく遠ざかってしまったのでした。相変わらず『口笛吹き』は愛聴盤でしたが。。。

その後、自分もパンクやガレージや60'sなど色んな音楽に夢中になりましたが、シドの影響が凄く広く浸透しているのに気が付くにつけ、再び昔集めたアルバムを引っ張り出して聴き始め、改めて自分の中に戻ってきたのでした。2ndアルバムのプロデュースをシドに依頼した(が断られらた)Damnedや、大ファンを公言するCaptain Sensible、後継者Robyn Hitchcockなど。。。♫ 大人になって改めてソロ・アルバムを聴くと、さほど痛々しい印象はなく、特に"Barrett"(『その名はバレット』)はポップで聴きやすいアルバムだと思いました。良くも悪くも子供っぽかったFloyd時代より、歌詞も深みがあって面白いです。

2006年に亡くなってからは、ユニークな音楽性が改めて評価されるようになり、晩年は絵を描いて自適に暮らしていたことや、看護師でもある妹さんが「兄は共感覚とアスペルガーの傾向があった」ということを明かしたり、今までのロックのダークサイドの伝説といったイメージとは違う、本来のシドの姿が伝わるようになったと思います。ミック・ロックのドキュメンタリー映画に出てくる、当時のパーティーのホームビデオの映像で笑うシドは、普通の無邪気な20代の青年の姿でした。

★From "The Lyrics of Syd Barrett" :

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