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5/7 というか猫になりたい

 部屋にアシダカ将軍がやってきた。不法侵入である。
 私はいわゆるアラクノフォビアだ。蜘蛛が嫌いで、なんともない隅や物陰を注視して蜘蛛が出てこないかずっと気にしてしまう。本当に出てきたら叫ぶし、その後数日はその場に寄り付かない習性を持っている。他にも、何気なく蜘蛛という存在を思い出し、脳内が勝手にその姿形を想起して背筋が凍ったりするし、悪夢を認識する際に鉄板的な象徴である。
 特にアシダカ将軍が嫌い。徘徊性の蜘蛛をもっとも苦手としている。彼らは基本的に素早い。逆に造網性の蜘蛛は足が遅く、家で巣食うことは少ないため恐怖心が少ないが、徘徊性の蜘蛛は八本の長い脚を不規則に動かして移動する。キモすぎ。例え彼らが臆病で、人間を怖がっているとしても、気が狂ってこちらへ邁進してくることもあるので本当に信用ならない。理性のない生物は怖い。でも多分、習性の問題は付加情報であって、結局ビジュアルがもっとも気に喰わないのだと思う。ほんとにキモい。しかし、徘徊性の蜘蛛でもそこまで苦手意識のない蜘蛛もいる。ハエトリ兵に関してはちょっと可愛げすら感じられる。同じ蜘蛛なのに脚の長さだけでこんなにも違って見えてくる。
 取り敢えず今回のアシダカ将軍はまだ小型だったため、虫あみで捕縛したのち追放処分を行った。これがサイズアップしてくるともっと悲惨な目に遭うことになる。私が。
 常々、私は両親に家で猫を飼いたいと進言している。猫は虫を捕食及び主人に渡す習性があるらしく、死骸には恐怖心が湧いてこないので猫いいじゃん! 可愛いし! となっている。だが、毎度『猫の恩返し』の母的な断られ方をして了承してもらえない。死んじゃったら悲しいじゃない……。そのため、一人暮らしをするときは必ず虫の沸かない高さの住居に住むか、猫と住むことを目処にしている。猫をもふもふしながら蜘蛛に襲われる心配をせずに済む日々……それが理想郷である。私⇒猫⇒蜘蛛の三竦みで生きていこう。以上。

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