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7/6 偏見の夏、日本の夏。

  • もう完全に夏だ。いつもは季節に置き去りにされる自分だが、今年はしっかりとこの身以上に精神から夏にシフトチェンジした。

  • これを聞いたからかも。


  • キッカケはともかく、もう完全に夏の気分だ。しかも爽やかで、なにも纏わりつくことのない、清々しいほどの夏。強烈な青と、それを生き写したかのように深く濃ゆい木影。こんな日にはEveの曲を聴くと気分がアガる。

  • Eveの曲は、ほんの二年くらい前に初めてちゃんと聴いた。それまでの私は酷い偏食家で、人気な曲は毛嫌いしていた。周りの大人たち周りの達観した大人たちがそうしていたから。一家言から物事を批判し、何者も簡単には受け容れないその風貌に憧れて、見様見真似をしていた。真似ごとだから持論も何もなく、ファッションで色眼鏡を掛けていたのだ。

  • 今と較べると、着色された世界は随分と閉鎖的だったように思う。周囲が肯定するものを否定して通ぶる。すると、人とは違う自分がちょっと大人っぽくて、深遠でカッコよく見えた。その代わり、どんどんと好きなものが減っていって、世界を受容することが耐え難くなっていく。露悪に染まる。そんな偏見から抜け出した今だからこそ、以前までの思考は下らないと切り捨てることができている。

  • しかし、その閉鎖空間の中に芽生える造花こそ真価が発揮されることもある。私は色眼鏡を放棄した瞬間、その場で二の足を踏んでいた彼らを内心嘲っていた。だけど、曲者たちは憎悪をぶくぶくと膨らませていって、その底なしの悪意を開花させた未来が存在するかもしれない。その可能性を考えると、軽々しく「目先の好悪で物事を決めつけちゃいけないよ」とは言えない。彼らにはそのまま恣意的に象られた世界で思う存分暴れてほしいから。こんな中途半端な人間になるよりずっとマシなハズだしね。


  • 終わりです。あとは今日見つけた光景3選を皆さんに共有します。

  • 味覇と大きく書かれた小型トラックが通過した。中にはペースト状の物体がパンパンに積み込まれているのかもと考えると、ちょっとウケる。

  • 大きな下駄を履いた、顔がやや渋い20前半ほどの男性がいた。肩にかかるほどの毛先は金色に染められており、7分丈の黒シャツ、ルーズよりなジーパンと身なりは大学生のよう。持っているスマホのケースはビビッドなピンク。優先のイヤホンを用いているあたり、下駄を履いている点からも身につけるものに拘りのある性格と推測できる。いや、もしくは、下駄は友人からのお土産でネタとして受け取ったもので、相手の好意のことを考えると履かないままゴミ袋に入れたくなかったのかもしれない。またもしくは、古着屋の店主に押し付けられたり、アマゾンで誤って届いた品物で、返品も勿体ないので折角だし履いている可能性もある。上記の性格だったらかなり好印象だ。

  • アブラゼミが鳴いている。彼は早生まれらしく、他のセミの声は聞こえない。よかったな、君の独擅場だ。だけど、セミが声を上げるのは求愛行動によるものらしいから、たった一人きりの中で尚鳴いているのは、自分以外の生存者を探すためか、はたまた自分がここにいた証を刻むためか。なんにせよ、あと一週間保つか保たないかの身。数日経って仲間に発見されれば、その頃にはダンディな低声をあげるイケオジになっているかもしれない。それまで生き残っていてほしいものだ。


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