好きなライター
私の尊敬するコラムニスト、小田嶋隆氏のツイートは、にべもなく真理を突く。
noteが玉石混交なのは先刻承知なのだが、凡庸な石の含有率が高すぎる。(中略)物欲しげな半可玄人の、変に気取ったエッセイを読まされて、胸焼けがしている。
撃沈だが正しい。私なぞ拙劣な文章しか書けない紛れもない石ころだと自覚を促されまくるし、琴線に触れるnoteは実際少ない。
また、これも抜粋ツイートなので前後のニュアンスを削いでしまうが、小田嶋氏いわく、
オレ自身が直接に知っている「卓抜な文章を書く素人」は、ほぼ例外なく一流会社で高額の報酬を得ているエリート社員でした。
とのこと。なんとむごたらしい現実!
しかれども、このツイートに深く首肯せざるを得ないのは、デイリーポータルZライターのSatoru氏という好例を思い出したから。
Satoru氏は、ウィーンの国際機関勤務の本業を持ちながら、旅行記ライターでもあり、陽気で気さくなあんちゃん(て私より年下だが)風情で、知性の横溢した愉快な文章を著す希有な書き手だ。個人ブログもある。お薦めなのでぜひ読んでみてほしい。
今回彼の日本帰国にあたって、どちらも終わってしまう(更新されなくなる)とのことで、涙が止まらない。
小田嶋氏が上記ツイートの続きで指摘していた通り、「ほかの道で十分に食えている」エリートにとっては、「ライティングがどうにもめんどくさい仕事」で、全く割に合わないゆえだろう。ちなみに、
にて、Satoruさんよブログ続けとくれ、と、断筆宣言撤回をチャットで懇願したが、恐らく読まれることもなかろう。
さて、もうひと方、私がハマっている書き手が、noteもされている、だっちゃん氏だ。氏も、本業は文筆でなく、政府機関勤務らしい。
豊潤な語彙と玄人はだしの筆力に圧倒される。沼の底のように重暗い内容に同情心を煽られるが、氏本人は依存的というわけでもなく、死への希求と好きな配信者以外には恬淡としているさまも好ましい。
だからこその怖いもの知らずというべきか、行動が大胆だ。『大物投資家Y氏について』は、どこぞのハードボイルドかのような緊張と興奮必至で、投資家に全く無知な私でも手に汗握り楽しめた。お薦めだ。
彼の文章には希死念慮が度々連ねられているが、本人も言う通り、うつを発症しているわけではない。うつ病経験者の自分からすれば、うつというのは異常に頭が悪くなっている状態であり、長文を書く知力体力なんてないからだ。
本当はもっと突っ込んだ分析を披歴しようとしたが、どうしたって失礼なのでやめた。
何しろ、失言で嫌われたくない程には氏のファンだし、自慢ではないが生配信(ふわっち)にも張り付くくらいだ。
死なずに、本業のエリートに帰ることもなく、書き続けてくれたらなぁと思う。
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