アイマス、凄すぎるゆえに疲れてしまった世界。

アイマスに疲れてきた。

最近そう思うことが増えてきた。

アニマスによって初めてアイマスの世界に触れたのが10年前のこと。コミカライズを中心に集め、意を決してデレステとミリシタを始めたのが3年前のことである。


アイマスは素晴らしいコンテンツだ。

まずキャラデザがいい。凝りすぎてはいないが、手抜かりなく可愛いし、それぞれのキャラクターがしっかり確立されている。また曲もいい。アイドル王道の路線だけでなく様々なジャンルの曲に手を拡げたが、数多の作曲家と作詞家に恵まれただけでなく声優諸氏の熱唱も相まって、筋金入りマイナー勢の私でさえ気に入った曲は80曲を上回る。そしてライブの盛り上がり。声優諸氏の熱演と、裏方で支える多くのスタッフの努力と、プロデューサー各位の支えの三つが揃って出来上がるそれは、今や単なるゲームコンテンツの範疇を軽く飛び越えている。まことに凄い話である。

先だっての15周年記念アニメPV「VOY@GER」を観たときは、心底感動した。決して交わることはないと思っていた5系統が交わってひとつになり、その意味に劣らぬ作品が出来上がったのだ。私が敬虔な宗教信徒なら、アイマスと同じ時代に生きていることを神に感謝しただろう。


だが、その凄さゆえに、私はアイマスというコンテンツに疲れてしまった。与えられるものが多すぎて、消化しきれなくなってきた。

今の私はデレステが主軸になっている。そのデレステのプロデュースノートを振り返って驚いた。190人全員を推すつもりなど最初からなかったが、そんな私でさえ63人を育てていた。ミリシタも、54人中25人を育てていた。ミリシタとデレステを合わせれば88人。1クールアニメの登場キャラを遥かに上回る。自分でも気づかぬうちに、それほどのキャラクターが頭の一角を占めていたのだ。

当然ながら、88人には88人分のストーリーがある。だが問題は、その88人のストーリーに必ず残る127人と29人が絡むことだ。88人の世界と意識したくても、否応なしに244人の世界になる。残る127人と29人のことも頭に入れておかなければ理解が進まない。結局244人分のコンテンツを消費しなければならないが、それに追いつけずにオーバーフローし始めた。

私にはアイマス以外の趣味も複数ある。当然、アイマスに割けるリソースは限られている。その範囲内で88人分ならカバーできても、244人分は無理だった。デレステとミリシタを両立できなくなった結果、私は育てた人数が多くゲームシステムの性質も合うデレステを優先し、ミリシタを切り捨てた。


先日、古くから付き合いのある先輩古参プロデューサーと世間話をしたとき、氏は私にこう言った。「みんマスが当たり前の風潮になりつつあるが、みんマスなど幻だ」と。

みんマスとは端的に言えばアイマスのコンテンツ全てに触れること。全てを知ること。

アケマスからポプマスまで。ミリシタ54名、DS2名、デレステ190名、シャニマス25名、SideM46名の計317名だけでなく、ライバルのキャラクターや既にサービス終了となったコンテンツのキャラクターまで。誰かに命じられたわけでもないのに、当然の義務かの如く。

意識すると、ゾッとする。この15年間で、どれだけの作品が出て、どれほどのストーリーが生まれただろう。まとめサイトで追いかけるだけでも一朝一夕にできる規模ではなくなっている。244人でさえたった3年でオーバーフローに陥った身に、とても負えるものではない。それは、どうやら私だけではないらしい。

私の中のアイマスには、私の選んだアイドルだけがいればよかった。デレステとミリシタの88人に加え、DS2人、シャニマス27人中13人、SideM46人中10人が加わっても113人。それでもデレステの全アイドルより少ない。だが今のゲームシステムでは、当然ながら残る204人を最初からいなかったことにはできない。アイマスは大好きだが、選んでも選んでも供給が多すぎた。それに疲れてしまったのだ。


ポプマスの方向性は面白いと思ったが、「カジュアルゲームでハイスコアを目指そう!」「シンプルな中にも戦略性。スキル発動で高得点!」と説明にある通り、終わりなき攻略という要素がどうしても付き纏う。好きなアイドルだけをオファーで選抜するとかなりの課金を要すると聞くし、ガシャもあるが315人中204人が不要となる私のこと、課金しても不要なアイドルばかり引き当てて嫌気がさすのは目に見えている。

好きなアイドルだけ選抜するのに課金が必要、それはソシャゲである以上運営の継続に要する対価として払う。だが攻略要素はいらない。攻略にも疲れてしまった。もっとシンプルに、アイドルたちの日常を見守るだけの新しいアイマスのゲームはないだろうか。

デレステのルーム機能のような空間を設け、アイドルの選抜と衣装とルーム内設備と楽曲にだけ課金し、選抜したアイドル達を置いたらあとはアイドルたちが勝手に行動する。例えば姫川友紀と結城晴と永吉昴と蒼井悠介と蒼井享介を置いたら、勝手にキックベースを始めて盛り上がっている。あるいは今井加奈と大石泉と七尾百合子と七草にちかと秋月涼を置いたら、勝手にトレーニングを始めたりライブを始めたりして盛り上がっている。プレイヤーはそんな空間を見守るだけでいい。どちらかというとプロデューサーではなくファンとして、そういう形でアイマスにゆるく触れ続けていたい。今の私の、ひとつの望みである。


プロデュースする気がなくなったらアイマスから去ればいい、そう言われてしまえば何の反論もできない。私は老いたのだと自らに言い聞かせて、アイドルたちから暇を頂くことになるだろう。


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