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_240815/大事件

8月15日(木)夕方
本屋巡り
をしてホクホクした気持ちで帰宅した16時半。早く部屋を涼しくしてゴロゴロしたい。汗で濡れたワンピースを脱いでソファにふわりと置いた瞬間、「ジジジッ...」という音が聞こえた。たしかに、聞こえた。

「?!」

ソファの上のワンピースを見ると、折りたたんであるところから茶色い枯れ葉みたいなものがチラリと見えている。これだ、絶対にこれだ。

正体が何かはわからないけど、とりあえずワンピースの余っている部分を上からかぶせて包むようにした。その瞬間に「ジジッ...」という音が聞こえたから、私は声にならない声をあげながら部屋の隅っこまで走り逃げた。

ひとまず包むことはできたのだから、あれをそのまま両手で持って外に出て、バサバサやればいい。それだけだ。
決心して近づいて軽く触れた瞬間「ジッ...」と聞こえて踵を返した。もう無理、何もできない。

どうしよう。Tくんは旅行に行っているから呼び出せない。孤独で気が狂いそうで、実家、母、父、の順に電話をかけたが誰も出ず。家族のLINEに状況を書き込み、見たらとにかく電話をくれと書いたが既読はなかなかつかなかった。

それからは部屋の隅にうずくまってうなだれた。幸いアレは何もしなければ音を発さないしワンピースの中から出てくることもなさそう。でも持ち上げるのは無理。スマホを握りしめて家族からの連絡を待つ。次第に涙が出てきた。

1時間ほど経ってやっと電話が来たが、1番期待してない兄からだった。「すばやく袋を被せて外に出したらどうか」と言われたが、それができないからこうなっているのだ。「仕方ないね」と言われて電話終了。

引き続きうなだれていると急に「ジジ!」と聞こえたので、あわててスマホと財布を掴んで玄関に座る。(次鳴いたら家を飛び出す...泣)という気持ちだった。馬鹿みたいだけど本当にボロボロ泣いた。

そのまましばらく待機したところで父から電話。そのくらい自分でなんとかしろ、と言われたが全然そういう問題じゃないから「すぐにきて!」と伝え、来てもらうことになった。(電車で20分くらいの距離)

家についてすぐに問題のワンピースを開こうとする父を必死で制する。開けた瞬間飛んでしまったら大変でしょうが。
ワンピースをそっと持ったまま外に出てもらって玄関のドアを閉めた。私は覗き穴から様子を見る。父がワンピースをバサバサすると1匹のセミがポトリと落ちて「ジジジジ!!」と鳴いて暴れてる。それを建物の外に出してもらって、一件落着。ああ、やっと終わった。

ワンピースを脱いだあの瞬間から2時間が経過していた。私はもうヘナヘナだった。

せっかくだからこの辺でご飯を食べて帰りたいという父を近所の居酒屋に連れて行く。地元民ばかりの店に父と2人でいるのは変な感じだった。
エラソーに説教くさいことしか言わない父と2人で話すのは面倒だったけど、今日は普通に会話ができた。随分控えめになったんだなと感じる。

セミのために呼び出されて少々イラついていた父だったが、ビールと焼酎を飲んで上機嫌で帰って行ったからよかった。

長い1日が終わった。


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父を待ちながらすごいスピードで書いた文章。
これだけのことでここ最近で1番長いnoteを書いてしまった。強いストレスがあると文章が進むんだなぁ。


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