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宇宙のお試し

わたしは物書きになりたかった。

一冊の本を開くと、そこは至上の地。

中から飛び出す立体絵本のように

読む人を別次元へ運んでいけるような

そんなビックリな文章が書きたかった…


 まだ草木が土の中で眠っている立春の寒い朝。

突然、目の前に雷のごとく閃光が走り

次の瞬間、天からある言葉がゆっくりと降ってきた。


「お前にこの子が救えるか?」


膝を抱えてうずくまる少年(イメージ)


一瞬たじろいだが、もう一度冷静に耳をすまし

その声をたどる・・・

「お前にこの子が救えるか?」


脳裏にエコーする神々しいその声色に

「YES」と静かに応えてしまった。


やがて、わたしのもとに、あたたかなオレンジの夕日が

降り注ぐように、彼はやってきた。

いつもポジティブ、明るくてみんなの人気者で

とても個性的な絵を描く聡明な少年だった。

常にみんなの為に役に立つような「何か」を

自ら見つけては創作し、形にして届けていた。

そんなことであっという間に彼は周りから注目を浴びる。

ただ、わたしには気がかりなことがあった。

彼の言葉や作品の中に「僕」という自分を表現するものは

何一つなかったのだ。

そして、誰かが距離を近づけようとするとたちまち逃げる。

それを何度も何度も繰り返す。

まるで自分の事を知られるのが

この世で一番恐ろしいことだと言わんばかりに…

彼の真意はどこにあるのだろうか?

ただ、彼から発せられる言葉には信憑性があった。

まず、人やモノ、動物や自然界をシンプルに愛していた。

「無条件の愛」「無償の愛」に忠実であった。

自分が知らないことがあると、とことん調べて習得し

やがて、彼にしか表現できない手法で優しい世界を創り出す。

見事なまでの作品たちが所狭しと並んでいく。

だが、突然ネガティブな闇が噴出したかと思うと

次の瞬間には心の扉をパタリと閉じて

全ての作品を仕舞いこんで隠してしまった。

一点の隙も無い完璧なガードを固め、

一歩も立ち入れなかった。



 彼はきっと、この地球に愛をもって人々を癒し

自然界と調和して、安らぎを与えることで

人々のアセンション(次元上昇)を助け

導いていく使命を持ったクリスタルチルドレン

なのだろうとわたしは考えた。

しかし、この三次元の地球に肉体をもって生きる上で

人間たちの想念はあまりにも重く、課題は山積み。

とても生きづらい世の中であることは

言うまでもなく、わたし自身もまだ

彼を救いきれるほどの叡智は

持ち合わせてはいなかったのだ。


この物語はフィクションである。

ただ、その少年に心を奪われ

“愛“という名のもとに

「自己愛」を探求することになったのは

まぎれもなく本当のおはなし。

To Be continue
 





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