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【エッセイ】一人暮らし事件簿 

 私は一人暮らしをし始めてからもう長い。

 社会人2年目の5月に私は一人暮らしをし始めた。社会人1年目は実家から自転車で通える職場にいたが、2年目になると実家から電車とバスで1時間以上かかる職場に配属されたため、私は実家を離れることにした。今となっては一人暮らしのイロハをこれから一人暮らしをする少年少女たちに教えるスーパーバイザーの名を欲しいままにしている私だが、初めは期待と不安を胸にワクワクしながら生活してたものだ。これから一人暮らしを始めるみんな!初めはみーんな1年生!だから安心してね!(今日はところどころ先輩風強めでしょう)
 一人暮らしの期待と不安はいろいろあるが、期待といったら大体は好きな時に好きなことができるということ、お気に入りのインテリア等で自分の好きな空間を作ることができるということである。他にも期待することはあるだろうが、これだけはいっておきます。思ったより友達は遊びに来ません。友達を家に呼んで遊んだり飲んだりできるじゃんと思ったそこのあなた、思ったより友達は来ないし頻繁に呼びません。社会人になってからの一人暮らしは生活することが大半で友達が来るとなればそれはもうビッグイベント、フェス状態で頭を上下に振り始めるのである。
 そして一人暮らしをしたら女性を自宅に呼べるなんて思っているそこの男子!そんなことは起きないから変な期待しないように!一人暮らしを始めたからといって女性は家にやってきません。なんなら男性もやってきません。(友達いない人)女性が家に来るなんてことがあったら頭を上下に振った後その勢いで前転とかし始めます。(こわいこわい)
 何が言いたいかというと基本的には一人で過ごす時間が長いということである。ただ、その一人の時間を長く過ごすと、この前まであんなに落ち着いていた実家より自分の家が落ち着くようになる。これは不思議で人間の適応能力をひしひしと実感するだろう。(その情報いる?)
 次に不安なことだ。不安なこともそれなりにはあるだろうがその大半が生活費等のお金のことになると思うので家賃が収入の半分以上を占めているなどのことがなければそこまで不安に感じることはないだろう。場所にもよるが虫はそんなに入ってこないし隣人トラブルなども滅多なことがなければ特に起こらない。ただ、生活における細々したやらなければならないことはたくさんある。掃除、ゴミ出し、キャンプ、買い物、料理、BBQ、洗濯などである。(なんか楽しそうなの混じってない?)一人暮らしを始めると実家での生活の親のありがたさを思い知ることになるだろう。私は家事は嫌いではないのだが、それでも生活するっていろいろやることあるんだなぁと感じたものである。

 さて、現在私は音楽活動をしている。活動をするために仕事をする時間を減らし、以前と比べて家賃も安く築年数もかなり経っている物件に住んでいる。特に不自由なく暮らしているのだが、家自体が古いため、たまにトラブルが発生する。
 引っ越した初日に洗濯機につながっている蛇口から水がポタポタと落ちていることに気がついた。その日は引越しの疲れもあり何もしなかったため、次の日には少し水たまりになっていた。こんなに水たまりになるまで水漏れしてるなんて、たぶん悲しいことでもあったのだろう。でも大丈夫、僕がこの家に引っ越してきたからにはもう君を泣かせたりしないぜ⭐︎なんて思いながらタオルで水たまりを拭き取った。
その蛇口はかなり長い時間使われていない蛇口だったようで水漏れをしていた。そのため、特に修理などはしていないが数日経った頃には水漏れはしなくなっていた。なんだ、僕に会えた嬉し涙だったのか、可愛いところあんじゃん。なんて思いながら水漏れが無くなった洗濯機で私は今日も洗濯をする。

 その家に住み始めて1ヶ月ほど経ったある日のことだった。私はいつも通り朝起きて、身支度や朝ごはんを済ませて、作曲活動をしていた。しばらくしてトイレに行ったのだがそこである異変に気づいた。
 トイレに水が溜まっている。
 水位がいつもより高いような気がした。朝、トイレに行っていつも通りに水を流したその水が流れていってないのだ。そんなトイレに今まで出会ったことのない私はとりあえずもう一度水を流してみることにした。流れ出てくる水がどんどん溜まっていく。これはまずい、、トイレが使えないかもしれない。皆さんはトイレが使えない家というのを経験したことがあるだろうか。想像してみてほしい、家にいて自由にトイレに行くことができない。これは家としての機能を半分も果たしていないと言えるだろう。とても不便だ。そして特に私はこの状況にはかなり困ることが想像できた。なぜなら私は毎日、玄米と納豆、そしてごぼうやにんじんなどの野菜がたっぷり入ったお味噌汁を飲んで生活をしている。そう、腸内環境がかなり整っているのだ。私の腸をCTで見ることがあったらニカっと白い歯を見せつけてポージングをしているボディービルダーのような小腸と大腸がその姿を表すことだろう。よっキレキレだねっと言わんばかりの腸内環境で私は生きている。トイレが使えない、これはまずい、、すぐに業者に連絡した。業者は今日中に来るのは難しく、翌日になってしまうとのことだった。私はその日トイレになるべく行かなくてもいいように水分をあまり取らずに生活した。ただ、こういう時に限ってトイレに行きたい気がする、、という気持ちに何度もなるのだ。普段は全く意識していないことが急にできないとなるとどうしても頭をよぎってしまう。何か別のことをしていても頭の片隅に白いアイツがいるのである。
 とうとう、いや、TOTO痺れを切らした私はコンビニに行くことにした。トイレを利用するためにきたと店員さんに思われるのは少し恥ずかしかったのでアイスを買って、アイスを買うついでにトイレを使わせていただいただけですからねっと言わんばかりのすまし顔でコンビニを後にした。たぶん、今日中にもう一回来ることになるだろうが、その時は長旅で疲れていてやっとコンビニを見つけてとりあえずトイレ休憩をしにきました感を出しながら入ろう。そんな普段考えないようなことを一日中考えてその日は終わった。
 翌日、朝に業者が来てくれた。手動のポンプのようなものをトイレに突き刺し、詰まりを奥へ奥へと押し出すことでトイレは業者が来てからほんの1.2分で使えるようになった。あまりに早く直ったので、私は呆気に取られていた。業者が帰った後、壊れていないことのありがたみをひしひしと感じながら直ったトイレを掃除した。さて、トイレも綺麗になったし、昨日謎に買ってしまったアイスでも食べることにしよう。私の今までの悩みはなかったかのように一瞬にして流れていった。
 いろいろあったが私はこの家を気に入っている。基本的には快適に過ごせているし、トラブルが起きるのも楽しめている自分がいる。またトラブルがあったらこの事件簿に書き残すことにしよう。ん?事件の匂いがする。匂う、匂うぞ。とりあえず換気扇でも回して、、ま、まわらないだとっ。

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