ニートは最強魔術師#1
何度同じ夢を見るのだろう
大切なものが消えていく夢
愛する者が消えていく夢
見たくない、思い出したくないはずなのに
その目にはハッキリと映る
何も出来ない自分が嫌で、何も救えない自分を心のこそから軽蔑して
やりたいことも、目指したいものも、全部なにも無い
???
??)…………また、生きてしまった
??はそう言ってベッドから身体を起こして洗面所に向かう
??)何度も何度も、なんで俺は………
青年の名は小川○○、彼には信頼する人も愛する人も誰もいない
彼が幼い時に両親は飛行機の墜落により亡くなった、彼には妹も居た、しかし彼だけが生き残り他はこの世には居なかった。
○○)なんで俺は……
彼はスマホの待ち受けを見ながらそう呟いた
彼には愛する人がいた。
賀喜 遥香、彼女とは幼馴染で彼の両親が亡くなった後彼を助けた恩人であり○○の愛する彼女であった
しかし、彼女は他の男から夜な夜な襲われそれに耐えきれず学校の屋上から飛び降りてしまった
何も理解出来なかった○○は絶望した。目の前で愛する者が死んだのだ。
『最後まで、一緒に居れなくてごめんね?』
最後に放ったその言葉を彼は心の底から涙を溢れさせた
○○)………もう、終わりにしよう
○○はいつも通り、制服を来て家を出た
駅
○○)(もう、なにもしたくない……アイツが居ない世界なんて……俺には必要ない)
駅員)まもなく3番線に電車が参ります、危ないので黄色い線の内側にお下がりください
駅員がそう伝えると彼方から電車がやってくる
○○)(どうでもいいや……)
彼は目を瞑りながら線路に落ちた
男性)お、おい‼️誰か線路に落ちたぞ‼️
駅員)キミ‼️何をしているんだ‼️
止まらない電車は彼を轢いた
女性)きゃああああ〜‼️
女性の声がホームを響かせた
○○)(身体が軽い、節々がじんじんと痛む……そうか、やっと俺は死ねるんだ……この世界ともおさらば出来るんだ……)
○○)(人の声が……小さく……なる、あぁもう………やっと終われるんだ………遥香、待ってて………今……行くから)
意識が遠くなる、やっと自由になれる
そう思っていたのに………
???
○○)(身体が重い……音がする?おかしい……俺はもう死んでいるはずなのに……確実に轢かれたのに)
俺は恐る恐る目を開けた
目の前に映る木製の天井、そこは”俺の知らない場所だった”
○○)(なんなんだここ……鳥の声?)
俺はゆっくりとその身体を起こした
俺は辺りを見回した
○○)何処なんだここ……
??)キミ‼️目を覚ましたのね‼️
○○)ん?あ、はい……(誰だこの人)
その時、その人は1本の杖を使って円を描いていた
○○)(なんだあれ……魔法?)
??)えぇ、頼むわね
そうその人はその円を消してこちらに近付いた
??)貴方、名前は思い出せる?
○○)小川……○○です。
??)歳は?
○○)えっと……17です。
??)ここが何処か分かる?
○○)いや、全く知らない……です。
??)………そう。
その時、遠くからドタバタと走る音が聞こえた
??)先生‼️
??)来たのね、こっちよ
声する方に向けると……
??)○○‼️えっと、その………大丈夫?
俺の目の前に映る現象はホンモノなのだろうか
俺はふと、涙を流した
??)えっ、○○……?(”あの○○が、泣いてる?”)
○○)嘘……だよな?
??)小川君?
俺の目の前に居る1人の女子
その子を俺は鮮明に覚えている
忘れもしない、俺を変えてくれた俺の宝物
○○)遥香……なのか?
遥香)そう……だよ?どうしたの?(いつもの○○じゃない?)
○○)……俺は天国にでも居んのかよ😭
??)………キミ、ホントに小川君?
○○)え?はい……そうですけど?
その時、??は杖を俺の方に向けた
遥香)えっ、ちょっと先生!?
??)遥香さんは下がりなさい、キミ……いや、お前は一体何者なんだ?
○○)いや、ちょっと何してるんですか!?
俺は急いでベッドから落ちて下がった
??)私の知っている小川君とは真逆でね、キミから何も魔力を感じないんだが、説明してくれるかな?
○○)えっ?(魔力?なんなんだよそれ……)
遥香)せ、先生‼️と、とりあえず一旦杖を仕舞いましょうよ‼️
俺の目の前に映る不思議な光景、それに知らない人物に居ないはずの遥香、それと見たことの無い杖と言うやつと魔法っていうやつ、俺はそこでひとつの結論にたどり着いた
○○)あ、あの‼️
??)なに、言い分でもあるのかしら?
○○)た、多分なんですけど……俺、ここの俺とは別の人……だと思います。
??)別のキミ自身?
遥香)もう1人の○○?
○○)その、端的に言うと……この場所は俺の知らない場所っていうか……俺の知らない世界かもしれないです
??)知らない世界?(洗脳系の魔法にはかかっていないし、移動魔法の形跡もない、もしや時空魔法系統?しかし、あれはあの人しか使えないはず……だったら)
その人はゆっくりと杖を下げた
??)キミの言い分、真実だと信じよう。私は……
美彩)私は衛藤美彩よ、このメシス王国、乃木坂魔法学園の魔法回復師よ
○○)メシス王国?魔法学園?術師?
美彩)その様子ではやっぱり本当ね
遥香)はぁ……良かった〜‼️
○○)あ、あの‼️
美彩)何かしら?
○○)そこにいる、遥香を抱いてもいいですか?
遥香)えっ?
美彩)あら笑まぁ、いいわ
俺はゆっくりと身体を起こして遥香を抱きしめた
○○)(あぁ、この感触……やっぱり遥香だ……)
遥香)ちょ、ちょっと○○!?は、恥ずかしいから///
○○)あっ、悪い……(しかし、この世界の遥香は照れ屋でめちゃくちゃ可愛いな流石俺の彼女)
美彩)それで、小川君が言う知らない世界っていうのは?
○○)あっ、えっと……俺の知る限りだと、俺はまず貴女を知らないし魔法ってやつとか魔力だとかもオレの知らない分野で……
○○)何より、そこに居る遥香自体が俺の知らない世界だって分かるんです
遥香)えっ、私?
美彩)遥香さんだけで分かる証拠は?
○○)ありますよ……だって、俺の知っている遥香はもう死んでますから……
美彩)遥香さん、貴女幽霊かしら?
遥香)いや、ちゃんと生きてますよ‼️
遥香)あ、あのさ‼️なんで死んでるってだけで分かったの?
○○)……俺の知る遥香は、俺の目の前で死んだ
遥香)‼️
美彩)‼️
○○)あの、ひとつ確認しても?
美彩)何かしら?、
○○)その……”ここには、小川彩って子居ますか?”
遥香)彩ちゃん?いるよ?1年生だけど
○○)………その、妹も俺の知る限り俺が幼い頃に亡くなってます
美彩)嘘じゃないみたいね、分かったわ
○○)それに……俺自身、自殺してるんで
遥香)え?
美彩)なのに、目の前の光景を見た以上そういう答えね
美彩)私はある人にこの事伝えなくちゃならないから、遥香さんよろしくね
そう言って衛藤先生はその場から移動した
遥香)あ、あのさ‼️
○○)ん?
遥香)その、無事で良かった‼️
○○)ありがとう。あのさ、遥香って彼氏居るの?
遥香)えっ!?い、いないよ!?す、好きな人なら……居る///
○○)その、好きな人ってのは俺だったりする?
遥香)えっ!?いや、その…………えっと、あ……合ってる///
○○)ふふっ、そうか(やっぱり遥香は遥香だな……)
次回へ続く
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?