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歩いて卒業式へ

当物語の主人公である 村松新太

https://www.instagram.com/arata56mu/

静岡県掛川市で生まれ育った僕は、中学校まで地元の学校で学んだ。
しかし、高校は島根県の離島にある島前高校に入学した。あっという間に充実した3年間の月日が流れ、卒業の時期となった。
三年生は1月から自由登校期間になり、僕は実家の静岡に帰っていた。
まったく勉強に身が入らない三年間で、成績はひどいもだったが、なんとか卒業式を迎えることができそうだ。そのため、実家の静岡から卒業式に行く。高校生活最後となる登校を電車も車も自転車さえも使わずに歩いて行くことにした。
僕にとっての「卒業生入場」は体育館の入り口ではなく、実家のドアからである。


『僕の旅とは』
僕にとっては旅と言うよりも冒険である。未知の土地に踏み込み、過酷な道を突き進み、キツイことを楽しみ、自分を勇者のように奮い立たせる。
またお金で解決できることを好まない。
できるだけ低予算で自分に厳しい旅にしたかった。
傍からみたら修行、罰ゲーム、無謀、放浪者の様な旅の記録を引き続き読んでいただきたい。


荷物(途中で増えます)


準備物写真
今回の旅は寒い季節であるため冬用寝袋と性能の高いエアーマットも購入した。

               『ルール』
僕にとって困難な旅の方が魅力的。同じ条件で行っても必ず違う学びや出会いがあるのだろうが、目的や手段や予算など他とは変えて形だけでも他とは違う旅の方が、やりがいがある。だから、現段階の考える低予算で旅をしたい。食費はトータルで2万円、徒歩でゴールを目指す。という2つのルールで挑戦した。

              『ストーリー』
2/4 出発地:静岡県掛川市→浜松市
出来事:      
           「 初めの1歩 」
出発の朝、簡単に旅のvlogを作成して投稿した後、いよいよ出発。見慣れた景色を歩くのは好きではないのだが、600キロ歩くための大切な一歩である。googleマップを見ながら、小雨の中を歩くのだが、脇道に落ちている落とし物やゴミなどが面白い。今日は一日見覚えのある道ばかりだ。スーパーで野菜ジュースとコロッケを買い、近くの公園で食べる。冷たいコロッケと公園で遊ぶ家族の姿は旅の寂しさを倍増させる。そして何よりも「歩いて卒業式へ」と書いたプレートとキャンパーらしさを出すために購入した黄色いレインウェアがとても恥ずかしい。野菜ジュースには持参したプロテインの粉を分量の倍以上いれて飲んだのだが、不味すぎる。足の筋肉痛をすぐに治すためにもプロテインは摂取しようと思ったし、食事の知識として 赤(タンパク質)緑(ビタミン)を同時に摂取できる優れものである。

吉岡大塚古墳 頂上

途中のコンビニで野菜ジュース以外を滝のように飲みたくなったため、1.5㍑158円のゆずれもんサイダーを見て興奮。金銭感覚は物価の高い島基準であるため、安価な大容量ジュースを見て手を出さずにはいられなかった。わかっていたことではあったのだが、カバンに入らないし重い。
せっかく浜松に来たため浜松餃子を食べることに。一食で1000円を越えるメニューを食べた。明日は一食だろう…。日も落ち始めた為、今日の寝床を探すことに。「この近くの公園」と検索して多機能トイレの写真があればヒットである。なぜ多機能トイレなのかというと、これまで・遊具・公衆トイレ・展望台・喫煙所・離れ小島と色々な所で野宿してきた。その中でも圧倒的に多機能トイレが便利である。場所にもよるが理由として・雨がしのげる・風がない・水がある・利用者が少なく綺麗・広い・便座が暖かい・コンセントがある・明るいなど 一見すると普通のアパートと変わらない機能があるからだ。なんとか無事に良い寝床を見つけることができ就寝。寝袋に入って1日目終了。

歩行距離 30キロ

コロッケ3個入り ¥222
野菜ジュース ¥228
餃子定食 ¥1045円 
炭酸飲料1.5㍑ ¥158円


2/5 :浜松市        
           「 平成生まれの縄文人 」
野宿ではしっかり寝れないため朝は早い。意外にも筋肉痛になることはなかったが、足の疲れは完全に取りきれなかった。浜名湖に近づくにつれて柑橘類の木が増えてきたのは、三ヶ日みかんと言うブランドのみかんがあるからだろう。無人販売所にあった100円のみかんを買った。購入後にみかんではなくポンカンであることに気づいた。酸味は強かったが、疲労回復のビタミンCは沢山である。浜名湖脇の道路を歩いているとカモメが僕の方向に飛んでくる。もしかして飼い慣らせている?と思い、持っているみかんの皮を投げると枝木に止まっていたカモメたちが一斉に飛んできた。僕は動物園に来たみたいな感覚になり、笑顔になる。
途中で見覚えのある景色があった。数ヶ月前に兄と一緒に天浜線に乗って観光した佐久米駅だ。前回は遅い時間であったため、カモメがいなかったが今回は餌やりをするおじさんの影響もあり、見渡す限りカモメたちがいた。油断したカモメが野良猫に食われていたこともあった。カモメの写真を撮っていたら、チェゲバラのような帽子で濃い顔の人が僕の頭近くに餌を持ってきて、カモメが僕の頭に止まってきた。自慢のチリチリ天然パーマにカモメがいたら、髪の毛は鳥の巣にしか見えなくなってしまう。


雨が降り始めたと思ったら、あっという間に大雨になってきた為、近くのスーパーに逃げ込んだ。防水加工だと思っていたカバンも、ダウンも少し濡れてしまった。このままではまずいと思い大きなビニール袋を買って被せることに。お手製カッパは袋の端が立ち、ドラゴンボールのベジータが着けている肩アーマーにそっくりだ。旅にオシャレはいらないが、ダサすぎる。

あっと言う間に夕方になり、大粒の雨も降り出した。急いで寝床を探すことに。やさしそうなおばあちゃんがいたお店に行き、泊めさせていただけないかお願いした。しかし「夫が厳しい人だから」と申し訳無さそうに断られた。

寝床は一旦諦めて安くて沢山食べられる中華料理屋へ行った。食べながら残りわずかな充電を使って今日の寝床を探したが、近くには見つからなかった。結局見つけたのは10キロ先。暗くて寒い大雨の中を進むのは大変である。途中で公衆電話や牛糞の倉庫などで休憩をして進む。びしょ濡れになって足を痛めて自分は何をやっているのかわからなくなる。それでも自分を奮い立たせ、なんとか3時間かけ目的地へ到着。そこまでして泊まりたかった場所は縄文時代の人が生活していた重要文化財の洞窟。縄文人環境で寝られる機会はそうそう無いだろう。僕の好奇心を揺さぶった。

洞窟内を探検するのは朝にすることにして早々に寝る。寝床としては最悪。2時ごろ寒さで起きるし、来た時にはただの岩肌だった所から雨が滴る。寝袋が水を弾いていたからよかったが、思わず岩に向かって「ふざけんな!」と愚痴がこぼれた。事前に買っていた完全防水の寝袋カバーをして、眠りについた。再び寒さで起きた時には、寝袋カバーによって体から出る蒸気が逃げず、結露として寝袋内部を濡らしてしまった。あまりの寒さに身体を丸めて寝た。

歩行距離 30キロ

合計¥1432   食費¥1138 
ポンカン ¥100
ポリ袋 ¥294 
食パン ¥138
中華 ¥900


2/6 :愛知県豊橋市        
           「 寒い 寂しい 淋しい 」
結局朝4時ごろ以降は寝ることができなかった。寒さに耐えながら徐々に明るくなる森を洞窟内から眺めるのだが、森の中だけあってなかなか光は入ってこない。今日ほど日の出を遅く感じることはないのだろう。充電の残量を気にしつつ、スマホのライトを使いながら、洞窟の中を探検した。寝ていた入口付近とは違い、中は温かかったことがわかり、もっと奥で寝れば良かったと後悔。驚くほど広い空間が広がっており、予想以上に良いところであった。
洞窟を出て、三日目の旅が始まった。
歩き始めれば暖かい。洞窟での出来事を友達に早く話したくてしょうがない。洞窟で寝たことでどこか自分のなかで自信がみなぎってきた。

とにかくエネルギー不足だからとうどん屋で特盛を注文したら、レジにて大盛り分の料金にしてくれた。きっと定員さんのミスなのだろうが、応援してくれたと前向きに解釈。
岡崎市に突入。天気予報は雨では無かったため、今日は公園の遊具で寝れると思い、普通の公園に行くことに。住宅街を抜けるのだが、帰宅途中の家族が羨ましい。漂う魚の煮つけの匂いで腹が空く。僕には今日帰る家がない。
目的地の公園にやっと着き、寝床の準備を始める。遊具の横になれる所で就寝。3時間後寒さで目が覚めてしまった。昨夜の失敗を活かして対策したのだが、結露ができてしまった。昨日の洞窟よりも寝袋が湿って、保温性能を失い体温が奪われた。寒い寒すぎる。命の危険さえ感じた。
動かねば。歩いていれば暖かくなるはずなのだが、いくら歩こうが寒い。普段なら自分を奮い立たせることができるだろうが、今回ばかりは鳥肌が立っただけだった。
足の疲れも、とっくに限界を超えて今にも止まりそうなのだが、歩かなければ凍え死んでしまいそうだ。寒い…寂しい…淋しい…

歩行距離28キロ

野菜ジュース ¥213 
チキン南蛮 ¥645 
丸亀 ¥550


2/7 :愛知県岡崎市        
           「 帰りたいけど帰れない 」
その後も2時間歩き続けたが、体は温まらない。国道を走り去る大型トラックの風がさらに僕の体温を奪い去る。 なんとかコンビニを見つけた。大盛りカップ麺を手に、暖かな店内で沢山のご飯をできる限りのんびり食べた。午前4時ごろに出発。寒さに加え、足の痛みも激しくなる。スーパーを見つけて逃げ込む。寒いことと空腹であることは我慢できたものの、ずっと我慢してきた足の痛みは我慢できない。疲労骨折ではないかと疑い始めていた。疲労骨折ならリタイヤできると持ったのが最後、弱気になってしまった。たくさんの方の応援があったため、やり遂げたい気持ちはあった。しかし疲労骨折なら今回の旅を断念する理由としては十分であると思った。どうせ今日で終わりだからと、旅には豪華な菓子パンを食べた。検査しに病院へ行き、レントゲンを撮ってもらった。結果、なんともない。なぜだろう。何事もなかったのに心から喜べない。僕の唯一の断念する理由が消えた。大量の湿布とロキソニンなどを貰い、高い医療費を払い再び歩き始める。
薬の効果は絶大で、足の痛みはほぼ消えた。しかし、心は傷んだまま 自分の足は疲労骨折だと思っていたが、折れたのは心だった。帰りたいけどかえれない。

600キロの通学を果たそうとしているのに、歩みは遅くなるばかりだ。僕の横をおじさんが追い越して行く。おじさんは数メートル先のパチンコ屋へ吸い込まれて行った。僕とおじさんの一歩の違いとはなんなのか?

濡れてしまった寝袋を乾かし、お風呂や洗濯を済ませたかったため、ネットカフェを目指した。しかし、ネットカフェまで数100mという所で、たまたま通りにあった公園で多機能トイレを発見した。低予算の旅であるからと、予定を変更。多機能トイレで今日も野宿にした。

歩行距離30キロ

ペヤング ¥240
野菜ジュース ¥179 
菓子パン ¥105 
マスク ¥378 
中敷き ¥492 
中華 ¥790
医療費 ¥2700 
薬 ¥900


2/8 :愛知県刈谷市    
           「 パンでパンパン 」
昨夜の多機能トイレでは熟睡できたが、洗濯とシャワーで体をさっぱりしたかったため、朝からネットカフェを利用することにした。

ネットカフェの一番安い場所の机と椅子だけのカフェスペースを利用。朝限定の食パンを4枚食べ、風呂洗濯を済ませた。体の疲れは多少残っていたものの気分的に復活できた。


お腹が空いてきたためスーパーに行き、先ほどたら腹食パンを食べたというのに、割引に誘惑され食パンを購入。この日は食パンしか食べなかった。お腹パンパン。
今夜も多機能トイレで野宿。

15キロ

食パン ¥105 
快活CLUB ¥840


2/9 :愛知県東海市      
              「 応援の力 」
牛丼屋を発見!空腹だったし安いイメージがあったため入店した。一番大きい牛丼を注文したのだが、思ったより少なかった。この旅で1000円近い食事は厳しい。
歩いていると、前に待っている女性を発見。五日目に初めて通りすがりの女性の方から背中のプレートを見て声をかけられた。「すごい静岡から歩いてきたの!頑張ってね!」と手作り芋羊かんとパンの差し入れもくださった。車に乗車中に発見したらしく、先回りして止まって待ってくれていた。今回の旅初めての応援と差し入れが本当に嬉しかった。応援の効果はすごい。嘘かと思うかもしれないが、薬なんかより痛みを忘れさせてくれる。

今日も野宿なのだが、利用した多機能トイレの入り口に警報器故障中の張り紙があった。この警報器はトイレの鍵が長時間施錠されていると外部に連絡が行く仕組みになっている。まさしく野宿殺しの機能であるのだが故障していて本当に良かった。僕は野宿運が良い。

(卒業後、応援して下さった女性の方から、お祝いのギフトもいただきました。改めてありがとうございました。)

歩行距離38キロ

牛丼特盛 ¥941 
ジュース ¥178 
チキン南蛮 ¥568


2/10 :三重県四日市市     
            「   山越え   」
朝6時に出発。応援された事と薬のお陰で気分も体も調子が良い。旅中に出会う方からの応援も急に増えてきた。特に印象的だったのが、三重県のコンビニで応援して下さった店員さん。今までの旅の中で応援してくださる年齢層は親世代がほとんどで、10代20代の同世代はあまり応援してくれる人はいない。しかし、その店員さんは僕よりも年下に見えるほどに若い。初めての出来事と綺麗な女性に少し緊張した。よっしゃー!

標高842mの臼杵山を越える山道は険しかった。あまり舗装されていない道で急勾配に苦しむ、それでも山道の横には綺麗な川が流れていて、エメラルドグリーンの水色に癒される。冬でも飛び込みたくなるほど、綺麗だった。


時間帯は午後過ぎで日は完全に落ちてはいないが、山であるため暗くなるのが早い。熊出没注意の看板が怖さを増大させる。
日は完全に落ちた上に、突然の雨に襲われた。目的地の多機能トイレに無事に着き、この日は新記録の40キロ代を達成。
途中で買った割引されたシリアルを食べるのだが、シリアルのエネルギー表示を見ながら感動した。値段のわりに高カロリーである。これなら1日1000円以下で食費を抑えられることを確信。

45キロ

手袋 ¥980 
シリアル ¥323 
パスタ ¥561

2/11 :滋賀県甲賀市 
          「 タヌキ 」
朝のコンビニでお爺さんに声をかけられ、滋賀県で有名な信楽焼で作ったタヌキのキーホルダーをいただいた。

タヌキのキーホルダー

信楽焼のタヌキは色々なご利益がある縁起物とされていて、実際に滋賀県のお家のあちこちにタヌキの置物があった。
タヌキと共にお茶畑が多い事に気づいた。一瞬静岡に戻ってきた気がしたが、刈り取り方が静岡と違った。
静岡県民だからなのかお茶に興味があり、歩いている途中で見つけたお茶屋さんに入った。静岡から旅をして来て、お茶に興味があることを告げたところ、お茶の説明とお茶をご馳走してくださった。説明を聞いた所滋賀県は生産量は少ないものの良いお茶が育ち、日本最古のお茶所と言われていることを知った。手ぶらで帰るわけにはいかなくなり、お茶を購入。
日本一のたい焼きと書かれた大きな看板につられ、たい焼きを購入。中身が透けるほどの薄皮に包まれた大量のあんこはとっても甘い。


目指していた快活クラブにシャワーが無いことに途中で気づき、10キロ先の快活クラブに行くことに。1日の目的地が途中で伸びるのは、精神的にくる。足の痛みは全く引く気配は見せず、ハイヒールを履いた女性よりも、肩を組むカップルよりも早く歩けるはずなのに、抜かされていく。
今回は宿泊するためであったが一番安いプランの椅子と机だけのカフェスペースを利用。椅子と机で寝るのは高校でたくさん練習してきたから自信があった。無料のソフトドリンクやソフトクリームを食べ、風呂に入った。深夜の利用は18歳であっても高校生は禁止である。夜の間は大人に化ける。ポンポコ

歩行距離45キロ

カルボナーラ ¥507 
ジュース ¥131 
たい焼き ¥240
ネットカフェ ¥1488


2/12 :滋賀県草津
          「 見えない所に真実 」
机と椅子さえあれば快眠できると思っていたが4時間ほどしか寝れなかった。1時間もすれば血流が止まり痺れてくる。高校の授業との違いは先生の声が無かったっことだろう。無料モーニングで食パンを4枚食べ、出発。海のような琵琶湖を通り抜けた。
昔の町並みが残った建物が増え、京都に入った。
高速道路沿いの一般車道の道路を歩くことが多いのだが、ゴミが多いことに気づく。交通量の多い車道はゴミは少ないのだが、僕が歩く道はフェンス沿いにびっしりあり、不法投棄の看板が沢山取り付けられている。悪質な不法投棄の看板なのだろうが、すでに粗大ゴミが捨てられている。防犯カメラを取り付けられているところもあった。人目のつかない道沿いや山道は看板があることが多い。寮生活でも同じなのだが、マナーが悪い人がいるからルールができる。人が変わらなければルールは増えていくばかりだ。多機能トイレに野宿するというルール違反をしている僕が注意できる立場では無いのだが…今夜もお世話になる。

歩行距離22キロ

食費¥1667
パスタ ¥743
ラーメン ¥678 
野菜ジュース ¥246


2/13 :京都府京都市
            「 温かくて暖かいご飯 」
大阪府に入ったぐらいの時、正面から歩いてくるおばあちゃんに「お兄さんイケメンだね&%#?!だからブス見とき!」と初対面なのにも関わらず、全ては聞き取れないスピードで話しかけてきた。通り過ぎようとした時にはリュックにつけていた「歩いて卒業式へ」の看板を見て、「後ろに何かつけられとるよ、遠くから来たんだね 私なんかちょっと歩いただけで、動悸、息切れ、切れ痔だよ、頑張ってね」と言って歩いて行ってしまった。突然の出来事ではあったが、あまりに愛嬌のある超高速なボケに感心してしまった。大阪の入り口でこのレベルだと、これからどんな人が待っているのか楽しみになってくる。関西人は本当に化け物レベルで面白い。学校の中では面白い方であると自負していたことが恥ずかしくなる。
面白くて愛嬌があるのは学校の勉強よりも世の中で役立つと思っている僕にとって大阪人はみんな先生だ。高校の同級生が泊まって良いよと言ってくれたので、高槻市へ。1ヶ月ぶりの再会。寮生活では見られない実家での姿は不思議に感じる。特に妹の幼稚園の迎えの時は、かっこいいお兄ちゃんになる。
晩御飯はたこ焼きなどをご馳走してくれた。家庭でできる美味しいたこ焼きの作り方は水分量にあるという。水気が強くシャバシャバで生地を流し入れた時にプツプツと泡ができたら良いという。これは帰って親に食べさせなければとメモをした。中はとろっとろで美味しかった。久しぶりに親しい人と食べられる温かいご飯は幸せだ。

歩行距離22キロ

食費¥110
水  ¥110


2/14 :大阪府高槻市
           「 ピンチでベンチに 」
朝は妹の可愛い泣き声で起床。泣く妹とお母さんのやりとりがほっこりする。自分は兄姉がいるだけで、弟妹がいないため羨ましい。ずっと欲しかった僕は昔、両親に弟妹が欲しいと言ったら、おばあちゃんに頼んでと言い返されたことを思い出す。二度寝してしまい、結局お昼近くに起床した。友達のおばあちゃんがお好み焼きを焼いてくれた。夕方ごろに同級生お母さんからいただいたチョコやカルパスなどを入るだけカバンに詰めて出発。
夜は先程の子とは違う同級生のお母さんがご馳走してくださった。高槻市発祥の高槻バーガーなどをいただき、旅の苦労や気づいたことなどをたくさん話した。
帰る際には朝ごはん用にバナナを買っていただいき、もし余裕があればと大阪の観光地である太陽の塔をオススメしてくださった。ちょうど行きたい方向と同じであったため、行ってみることに。夜は施錠されているから公園内に入って野宿することはできないと聞いていた。それでもワンチャン空いているかもと思い、望みをかけて夜の街を歩いた。アドバイス通り公園とは思えないほどの頑丈な壁で囲まれていた。わかっていたことなのだがヘコむ。違う多機能トイレを目指して歩き始めた。
「夜7時以降自動施錠」と多機能トイレに貼られた張り紙を発見。時間は0時近い。疲れで足が止まりそうになるが、進まなければ泊まるところは見つからない。
結局見つからず、公園のベンチに倒れ込む。

15キロ

購入品なし

2/15 :吹田市 
           「  おめでとう  」
朝、公園で野球の練習をする親子の楽しげな声で起床。昨日友達のお母さんから頂いたバナナに板チョコをブッ刺して朝食はチョコバナナ。

歩き始めると、沢山の人から声援や、差し入れをくださった。中には元気をくれる人も。
床屋さんの軒下で雨宿り。背中のプレートを見た床屋の店主に声をかけられた。別れ際に「卒業おめでとう」と言ってくれたのが嬉しかった。うまく説明できないが、ほっこりする。
足裏はマメだらけ。歩いてさらに大きくなる。大きくなるにつれて皮が浮いてくるため、爪を使って皮を破き水抜きした。唇の乾燥もひどくなり、カルパスの油をリップがわりにした。食べれられて、リップにもなる。一石二鳥とはこのことだろう。
雨宿りに阪急西宮ガーデンズに入った。西日本最大級のショッピングモールとは知らずに入ったため、あまりのデカさに驚きが隠せない。暇だったためゲームセンターにいった。娘らしき小さな子供を椅子の下で放置して、母親は椅子に座りながら、メダルゲームに夢中である。親になったこともない自分が注意できないのだが、怒りが込み上げてくる。

一向に雨が止む気配は無かったため、小走りでネットカフェに行った。
今日ぐらいはしっかり寝ようとマッサージチェアを選んだ。さあ就寝しようとしたのだが、マッサージ機が稼働中でないと横になることができないことがわかった。そのためしっかりとしっかりとした体勢で寝ることができず、4時間しか寝れなかった。

25キロ

うどん ¥380
快活CLUB ¥2770


2/16 :兵庫西宮市
             「 オモイ 」
駅前の繁盛した道を歩くのは恥ずかしい。歩行者の数だけ視線を感じる。自転車に乗ったおじさんが、500mlのペットボトルを3本くれた。さっきよりも重くなった気がするが、「重い」のではなく「思い」だろう。
多くのお母さんが子供の乗せ自転車で幼稚園に連れていく姿を見る。通園させている時だけ、表情が違う。歩いて登るのでさえも大変な坂を力強く立ち漕ぎをしながら走らせている。普段見る上品な印象とは違い動物らしい姿を感じる。自転車に乗せながら、帰宅させる時には子どもが出来事を楽しそうに話すのを一生懸命聞いている。母親はなんとすごい存在なのだろうか、歩いていると沢山の高級車を見たが、子供を乗せた母親が漕ぐ自転車の方ほうが、僕にはかっこよく見えた。誇るべきなのは身なりではなく、生き方に生き様にあると。
googleの指定した道路は路側帯が狭く時間帯も暗くなってしまったため、道を変えることにした。海沿いの平坦な道を歩いた。海沿いの公園で野宿場所を探したが、閉まっているところが多い。公園で休息をとっていると男性の方々に「大丈夫?」と声をかけられた。夜に学生が旅をしていることを知られると、通報されると思い、大丈夫ですと言った。途中で考え直し、もしかしたら関係性ができるかもしれないと思い、後を追いかけた。「怪しく見えましたか?」と話し始め、事情を説明したら興味を持ってくれた。男性三人のうち、二人は酔っ払っており、デロデロになっていた。酔った大人は話しやすい。しかも誰にでも絡む関西人の距離の近さはすごい。寝泊まりの話になり、最終的に一番泥酔していた方が泊めさせてくださることになった。彼女さんと二人暮らしの家に泊まった。彼女さんが手作りチャーハンを作ってくださった。

40キロ

食費¥1356
トンカツ ¥598
フルグラ ¥758


2/17 :明石市
           「 ヒッチハイクの知り合い 」
半年前に静岡から島根県までのヒッチハイクの旅で乗せて下さった方が経営するカフェレストランが近くにあっため、挨拶に行くことにした。息子さんが僕と同じ名前で親近感があり、焼けた肌と筋肉質な体がかっこいい人であったため印象深かった。お礼を伝えるつもりが逆にパスタをご馳走して下さったり、二階のホテル内を案内して下さった。

旅を通して見ず知らずの人生経験豊富の人と知り合えになれることは僕にとって大きな宝物である。これまでの旅もこれからの旅も出会った方々とのご縁で成長していきたい。
午後お腹も気持ちも満足で再び歩き始めた。

夕方ごろ瀬戸内海の海に沈む夕日を撮ろうとしたが、あいにく大きな工場で隠れてしまった。それでも工場の逆光と真っ赤な夕陽がかっこよかった。あまりの綺麗さに興奮してしまい。一日中歩いた足だというのに、ベストショットを撮るために小走りで太陽を追いかけていた。歩いて良かったと、この瞬間に出会えて本当に良かった。

友達に卒寮式にて一緒に出し物をして欲しいと頼まれ、その話し合いをするのだが、スマホは低速。Wi-Fi環境があるネットカフェへ行くことにした。最初の1時間は雑談で出し物の内容はほとんど決まらなかった。よくおばあちゃんは長電話をするイメージがあるが、若者も似たようなものだ。

25キロ

合計¥2728
 食費¥658
フルグラ ¥658
快活CLUB ¥2070


2/18 :加古川市
            「 上には上がある 」
朝、頂いたチョコをネットカフェの無料トーストに乗せて、全部溶けきっていないのにかぶりついた。
今回は6時間ほど寝ることができて非常に満足。
今日は後輩である、さらちゃんのお母さんが経営されているレンタルスペースに泊めさせてくださることになっており、姫路に向かった。
途中で僕の後ろからランニングしてくる男性に話かけられた。車検に出した車を取りに行くそうで、2キロの道のりを走るそうだ。挨拶をして走り去ろうとした彼の後ろ姿に驚いた。通気性がある動きやすい服装なのだが、靴はまさかのビーチサンダル。なぜだろう一番肝心なところであるはずなのに、一番いけない靴を履いている。自分の3000円の靴が急に良いものに感じる。上には上がいるとはこのことだろう。
どしゃ降りの雨が降り始め、防水加工されていないズボンがもう耐えられないと思い、防水ズボンを購入。ベジータの肩プロテクターも卒業して、しっかりとした防水リュックカバーを購入。
公園のベンチでシリアルを食べていると、鳩が寄ってきたため鳩にシリアルを撒き、餌やりを始めたがなんとも可愛らしい。だが側から見たら孤独なのだろうと思いつつ、いつもそんな風に周りからの見られ方を気にしている自分がカッコ悪く感じる。


翼があるのなら、歩かずに飛んで行きたい。神社のお火焚きを見て気になって覗いてみることに。今までで一番多くの提灯があり、シャッターチャンス!旅の偶然に最高に興奮する。


姫路城付近まで来たが、寄っていけるほどの元気はなく、一直線にレンタルスペースを目指した。レンタルスペースに着いた。
後輩のおばあちゃんが手作りあんこ餅やパスタをご馳走してくださった。
仕事が終わって帰ってきた後輩のお母さんともお会いすることができ、
この日は早々眠りについた。

23キロ

合計¥3678 
防水ズボン ¥1500 
防水リュックカバー ¥2178


2/19 :姫路市
           「 一日お兄ちゃん 」
起床。豪華な朝ごはんをいただいた。非常食にと高カロリー食品などもたくさんもらった。

さらちゃんが高校生活が楽しいのは僕が学校行事等で盛り上げてくれたからそうで、だからたくさんもてなしてとお母さんに伝えたらしい。嬉しすぎる!改めて色々挑戦していて良かったと思える。
記念写真を撮り出発。
おばあちゃんにどこから来たのか尋ねられられた。静岡から歩いてきたと言ったが、特に驚く反応はない。大抵の人は驚くのであるが、人生経験が豊富なおばあちゃんのとっては600キロなど大した距離ではないのだろう。もっと凄い挑戦をしたくなる。

経路を見るため、googleマップを見ていると、数キロ先に「旅する雑貨…」旅‼︎これは気になる!ということで、行ってみた。入った途端に話しかけられ、今回の旅の説明をすると、お店のお客さんを呼び始め、質問の連打。みんなお母さん方でとっても明るい方々だった。旅と言う文字に惹きつけられて良かった。店内はおしゃれな雑貨品が多くあり、横のブースには食堂もあった。シフォンケーキやお菓子を沢山いただき、出発。

昨日お世話になったさらちゃんのお母さんから連絡が来て、ママ友みんなで僕の宿探しをしてくれているそうで、結局行き先の宍粟市のママ友のグループラインで情報が発信され、宍粟市で泊まらせていただけることになった。凄い凄すぎる。お母さんの人脈を繋ぎあったら、地球の裏側でも困らないだろう。お母さんと小学生の娘さんがお出迎えしてくれて、娘さんは一緒にゲームをして遊びたいと言ってくれた。カレーを作って下さっている間に、一緒にマリオカートをして遊んだ。情けは無用だと思い全力でやった所勝ってしまい違うゲームをやることになった。妹とゲームをする夢が叶って嬉しい。ご飯を食べ終わった後もカードゲームやスイカゲームなどで遊んだ。

31キロ
合計¥0


2/20 宍粟市
             「 空虚 」
朝は遅めに10時に出発したのだが、どこかで充電器をなくしてしまいスマホは数%に。最初は誰かに頼ればなんとかなると考えていたのだが、これから山陽から山陰への山道は人に会うことすら危ういと思い、充電器を探した。しかしホームセンターに行ってもあまり良いのが見つからず、結局コンビニで急速充電器を買うことに。高い…ああ…高い
歩いている道の正面にパトカーが止まっていた。ワンチャン職質?と思っていたら、本当に話しかけられた。「どこから歩いてるよ?」と旅をしていることを伝えたところ、現金をくれた。警察官からこんなことがあるのか!と驚く。
山道に突入し、宿も見つからないだろうから、ぶっ倒れるまで歩いてやろうと、今日中に鳥取に行く覚悟をしていた。しかし途中の道の駅の多機能トイレの広さと機能性に感動してしまい、今日はそこで泊まることにした。

30キロ

合計¥4708
充電器 ¥3278 
ケーブル ¥1430


2/21 :宍粟市
          「 気持ちはオリンピック選手 」
今日は一日雨予報で降水量の少ない時間帯を狙って歩いた。山陽から山陰への道のりは大きな山をこえる、険しい道のりであると、覚悟していたものの、国道29号線は予想以上の急な斜面はなく、緩やかな斜面が何十キロと続いていた。バス停も定間隔にあり、今までのバス停とは違い、雨風を凌ぐ壁があったため、雨宿り場所には案外困らなかった。30キロ歩いた地点で大雨になり、防水加工された服でも大雨では染みてくることと、まともに寝れる場所もあるかわからない道のりであったため、雨に濡れる事を覚悟して、30キロ先の鳥取市の快活クラブに行くことにした。トータル60キロという今までの最高歩行距離の40キロを大きく超えた記録に挑む。新記録を目指す僕の頭の中はオリンピック選手のようにアドレナリンが出る。急に力がみなぎって駆け足になった。疲れては歩き、また走りを繰り返した。無事に上り坂を越え、鳥取市への長い下り坂に突入と思ったら、道脇には積雪があった。

時間は夜になり、頂いたカロリーメイトも飲み物も無くなった。足は走った事を後悔しているかのように疲れ切っている。止まると寒いから動く、寝たいから目指す。もう歩きたいから、ワクワクするから歩けるはとっくに過ぎている。挫折することはないが歩く目的がわからなくなってくる。歩いたところで足跡が刻まれるわけではなく、僕だけにしか歩いた証明が頭の中に残らない。目的地間際、常夜灯で影になった足を引き摺りながら痛そうに歩いている姿を見て、これまで本気や全力、努力して来なかった自分を思うと今の自分はかっこいい。0時過ぎに辿り着き一番安いカフェスペースを選び就寝。


60キロ

合計¥1640 食費¥450
パスタ ¥450
快活 ¥1640


2/22 :鳥取市
              「 取材 」
疲れ切っていた割には3時間ほどしか寝れなかった。
友達のお父さんが僕のことを新聞社の方に共有してくださり、山陰中央新聞の記者の方から取材を受け、これまでの旅のエピソードを自慢げに話した。
個人として応援したいとカレーをご馳走して下さった。

鳥取砂丘も見ずに歩き進めるが、意外にも鳥取砂丘から遠い海沿いの道にも風で飛んできた砂が堆積していた。特に面白い出来事が起きることもなく多機能トイレで野宿した。

27キロ

食費¥957
フルグラ ¥687
野菜ジュース ¥270



2/23 :青谷町
             「 時の人 」
今日は友達のあつきの家を目指して歩くことに。高校の友達の中でも特に長い時間一緒に高校生活を送った友達で文化祭のステージパフォーマンスでバンドをしたり、漫才をしたり、喧嘩した友達である。
新聞に掲載していただいたおかげなのか、遠くから手を振るおばあちゃんや今までで一番癖の強い「パァ〜〜〜ン」というクラクションの方から応援して下さった。姫路の旅する雑貨屋itsumoで出会ったお客さんのさちさんの紹介でnanakusa 木鳥というカフェにお邪魔させていただいた。ランチメニューをご馳走してくださり、おまけに飾りの葉っぱに卒業おめでとうと書かれたケーキまでご馳走になった。

新聞にInstagramのリンクを貼っていただいたお陰によりInstagramを通しての応援も増え、応援して下さった方が、「おにぎりを握って持っていきます」とメッセージをくれたり、お同じ名前の男の子に出会ったりした。
あつきのお父さんから鳴り石の浜に呼ばれて行ってみると、あつきのお父さんと飲み会をしていた方々が僕を待っていた。お疲れ様の歓声と拍手は気持ちいものである。
あつきのおばあちゃんの家にも着いた。豪華な夕飯をいただき、旅のエピソードをたくさん話した。

40キロ
合計¥0

2/24 :琴浦町
             「スーパーダンサー」
朝ごはんをいただき、お菓子を持たせてくれた。
「またいつでも来てね」と言っていただき、出発した。
今日もたくさんの応援との差し入れをいただき、お金を使わずに生きている。生かせてもらっている。
再びさちさんから、「モノクローム」というお店も紹介していただき、目指すことにした。歩くのも慣れてきた。痛みはなくペースも早くなる。ただ歩くだけで少し退屈さを感じる。
モノクロームに到着し、お店に入った。瞬間ヨーロッパにワープしたかのようにおしゃれな空間が広がっており、興奮。店主の方はさちさんから事情は聞いてると、歓迎してくれた。
店主の方は海外を飛び回る方であった。店主は僕と同じく、いかにキツい旅でも乗り越えられるようにモードチェンジするタイプの方で意気投合。その後「モノクローム」の隣のお店の2階のゲストルームに泊めさせていただくことにもなった。
夜は「モノクローム」や「nanakusa 木鳥」の常連客のキタさんからライブハウスに誘われて行かせていただくことに。ライブハウスにて「チームマスクド」というエクササイズダンサーとともにダンスをした。親世代の曲に乗せながら踊るのだが、恥ずかしい。それでも全力でやっていくと楽しくなってくる。ライブ終了後ライブに誘って下さった方とライブハウスの店主と話すとまさかの僕が高校生活で一番お世話になった。「中村旅館」と繋がりがあった。そんな話をしていたら、驚くほど良いタイミングで「中村旅館」から電話があった。みんな驚きながら、運命的な繋がりと運命的なタイミングで笑った。本当に僕は何か運命的な力を持っていると思う。

35キロ
合計¥0


2/25 :米子市
          「平成の縄文人で山陰のアイドル」
米子から境港までは15キロ程度ではあるが、松江に行きたい所が二つあるため、60キロ以上遠回りして境港を目指す。
今日も朝から沢山の方から応援と差し入れをいただいた。もはや飲み切ることも食べ切ることのできる量ではなくなる。中にはココナッツミルクをくださる方もいたが、ココナッツミルクは直接飲むことはできない代物である。

ココナッツミルクも旅人にとってはネタになる。飲めずとも、嬉しい。
応援してくださった方から「有名人にあった気分」と言われ、中には新聞に載った情報から今日ここの道を通るだろうと、探してきてくださる方もいて沢山の方に応援していただいた。もはや山陰のアイドルである。ただ顔色だけは疲れていて、アイドルのようにキラキラしてはいない。松江に行きたかった理由の一つである「ゲストハウス大翔」に宿泊しに行った。「ゲストハウス大翔」は高校入試の前日に泊まった所で僕にとっての島前高校の始まりの地であり、高校の締めくくりに来た。夜はゲストハウス大翔とともに営業されている。「ラーメントンテキ大翔」でご飯を食べた。ゲストハウスには泊まった人がメッセージを残すノートが置いてあるのだが、当時母が得意な絵を生かして描いたメッセージが印象的だったらしく覚えて下さっていた。


34キロ

合計¥5780 
食費¥1280
ゲストハウス大翔 ¥4500
トンテキ ¥1280


2/26 :松江市
             「スナック」
Instagramでメッセージをいただいた木村さんからご飯のお誘いをいただいたため、松江に寄り道した理由の二つ目である、「ぼうげつ」に行った。「ぼうげつ」は高校の同級生のお父さんが経営されているお店で、ずっと食べたいと思っていた所である。人気だと聞いたハンバーグをいただいた。ボリュームが凄くとっても美味しかった。誘っていただいた方とも沢山お話ができ、悩み相談までしていただいた。結局ご飯代は友達のお父さんがご馳走してい下さった。ご飯の後は木村さんが合わせたい人がいると松江駅内のお土産屋さんに行った所、Instagramのメッセージで応援していただいた方であった。お土産屋さんの社長さんも登場し、色々な島根県のお土産を沢山いただいた。中にはだし塩など直接食べれないものまでいただいた笑笑。
記念写真を撮り、出発。急遽日本海新聞からも取材を受けることになり、1時間ほどの取材を受けた。日本海新聞の記事は山陰のみならず、Yahooニュースのその日のトップは僕についての記事であった。

https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/535037

地元掛川の市長からも応援メッセージをいただいた。個人として知っていただけて嬉しい。
Instagramにて泊まらせていただける事になった竹村さんのお家へ。息子さんの三人は皆んな島前高校出身であった。
ご飯は手作りのご馳走をたくさんいただいた。
夜にはスナックに行かないかと冗談半分で誘っていただいたが、僕にとってはyesかハイの二択しかない。ワクワクさせながら連れてってもらった。酔っ払いはなんとも言えない雰囲気をまとっており、人間性があらわになるところが好きである。スナック代はスナックのママがご馳走して下さった。
12時ごろに就寝。

5キロ

合計¥0


2/27 :東河津町
             「お泊まり会」
ぐっすり眠ることができ、8時ごろ出発。
今日は遂に境港に着く日。旅は終わりではないが、一日中歩く生活は終了である。大根島を通過し、ベタ踏み坂を通過し境港に到着した。
久しぶりに会う友達から日焼けしたねと言われた。一緒にスーパーに行き、ヨーグルトを奢ってくれた。普段は直接食べていたフルグラをヨーグルトに入れて食べられる喜び。そんな小さな喜びが旅の醍醐味かもしれない。
卒業式の数日前に隠岐島に向かうのは、生徒企画の男子お泊まり会をするためだ。普段寮生活するメンバーに加え、島内の同級生も含めてのお泊まり会。そんなお泊まり会の宿泊費をタダにすることができたのは補助金を用いた。島の教育への資金の充実さと、企画者の企画力のおかげである。
本当に行動力と思考力の高さに嫉妬する。西之島のお泊まり会会場にて先に着いていたメンバーとも合流し手作りカレーライスを食べた。
もちろん旅について聞かれたが、特に驚く様子もない。もしかしたら旅人キャラが定着しているのかもしれない。隠岐島について考える時間があったのだが、改めて考えれば凄いことである。県外から集まった生徒が多いというのに、見知らぬ島で三年間しか生活していないのに、愛着が湧き、一生懸命島を盛り上げようとする10代は数少ないだろう。
その後はみんなでゲームをしたり楽しく過ごした。3時ごろまで馬鹿騒ぎするかと思いきや意外にも1時にはほとんど就寝。

21キロ
合計¥0 

2/28 :西ノ島町 
             「エンターテイナー」
朝ごはんもみんなで食べ、解散した。
西之島発の内航船に乗り、海士町へ。
高校と連携した公立塾で無名人インタビューというインタビューを高校生4人が受けた。みんな何かに憧れがあり、夢がある。三年間一緒でもなお、知らないことはたくさんある。
インタビュー後、世界を一周して帰ってきたばかりの元寮ハウスマスターとお話をした。
同級生のガクトとその両親にお昼おご飯をご馳走してもらった。
その後卒業生は入ってはいけない、僕らの元寮に不法侵入してバリカンでセルフカットして風呂にも入った。
数日前に中村旅館の18禁ライブに誘っていただき、ファイヤーヨーコと蜂鳥あみ太=4号の刺激的なパフォーマンスを見た。感動を超えて、世の中の広さを感じる。人ほど面白い生物はないと思わせてくれる。口をポカンと開けて驚いてしまう。自分も頑張らなきゃと思わせてくれる力強いパフォーマンスがずっと目に焼きついている。


その夜は中村旅館のゲストルームで泊まらせていただけることに。


合計¥0

2/29 :海士町
          「クソお世話になりました。」
昼は昨日のパフォーマーの方々を港でお見送りした。
夜は後輩男子寮生が企画した卒寮式に参加した。毎年恒例の「3月9日」を歌い、組体操のピラミットを上裸でやるところを、僕だけ全裸でやった。
夜ご飯は中村旅館に到着した僕の両親と友達の両親達と卒業式の前夜祭を楽しんだ。特別な時だけ演奏してくれる、旅館の方々の生バンドを聞き、目が潤んだ所に追い打ちをかけるように旅館の方々に感謝を伝えるメッセージタイムになった。絶対に泣きたくないと耐えていたのだが、旅館の店主の声を聞いた瞬間、涙がこぼれ落ちた。止まらない。呼吸が荒くなり、声が出てこない。必死に絞り出したのは「絶対また帰ってきます。」だった。
よっぽどのことが無い限り泣かない僕が泣いてしまうぐらいに旅館の方々に恩があった。たくさんご馳走して下ったたり、夏休みに住み込みでバイトをしたり、映像の勉強を教えて下さったたり、僕がバンドをやる機会を下さったりした。怒られてはイジられ、一緒に笑った。親と言えるほど感謝している方々だ。

合計¥0


3/1 :卒業式         
               「何百キロと20メートル」

朝はバタバタしながら久しぶりの制服に着替えた。
高校に着き教室に向かった。


600キロ歩く中で、三年間の思い出を振り返ることがあったが、600キロでは到底足りないほどの思い出が離島でできた。
一つ屋根の下で過ごした寮生活は喜怒哀楽が頻繁に起こる刺激的な空間だった。地域ではお手伝い文化や活発なイベント等で普通の高校生では味わえないような高校生活を送ることができた。
学校では企画や活動に対しての挑戦するハードルが低く、文化祭でのステージパフォーマンスや体育祭での団長をしたり、人数合わせで入った野球部では、いつの間にかキャプテンを任されることになったり、充実した高校生活を送ることができた。毎日が濃くて毎日がワクワクする島での三年間は一生の宝物である。
今日はそんな学校生活の最後の日。本当に卒業する実感が湧かない。昨日のことのように初めて来島した時のことを覚えている。友達が事前課題をやり忘れており、船で同級生みんなでやった時から本当に3年が経ったとは思えない。コロナ禍での学生生活は、友達といる時間が長かった。
教室にいるみんなの顔はいつも通り笑顔で、楽しそうで、見ているだけで落ち着く。カメラが好きな僕は、体育祭でも団長でありながら、みんなの楽しそうな笑顔を追いかけて写真を撮り続けた。今回も卒業生ではあるものの、やはり最後も自分らしく卒業したかった。デジタルカメラとフィルムカメラの二つを学ランの下に隠して入場し、写真を撮った。

写真


この日をどれだけ待ち望んだことか、卒業できる喜びではない、やっと目的の卒業式へ来れた喜びだ。20メートルばかりの入場の一歩一歩は600キロ歩いて痛めた足とは思えぬほど力強かった。
まだ歩ける。まだまだ歩ける。次の旅へと長い人生を。

https://youtu.be/0u-l3JqTx_Q  ←  写真作品映像


             「旅を終えて」
やっと終わったというのが率直な感想。文章では発見や出会いや面白い事をピックアップして書いたのだが1番多い感情としてはキツい、とにかくキツくて痛くて寒い。だけど、達成感と満足感は今までの旅で一番である。
次は何をやろうか、そんなワクワクしている自分が一番自分らしい。
この子供のような心は奪いようのない僕の宝物であると気づいた。

総移動距離  716キロ

合計¥0
トータル金額事前準備品費用 ¥32000
途中雑品  ¥27,638
食費 ¥15,997
ーーーーーーーーーーー
総額¥75,638

            「 未来の旅人へ 」
今回の旅でトイレや文化財などで寝泊まりしましたが、立派な犯罪であり、正しい利用者に迷惑がかかる良くないことです。真似しないでください。


             「 感謝 」
応援して下さった皆様本当にありがとうございました。今回この文章で書ききれないほどの応援や差し入れや元気をいただきました。600キロの道のりを歩くことができたのは紛れもなく。皆様のおかげだと思っております。
また地球のどこかで会いましょう!

写真では撮りきれないほど、多くの方から応援をいただきました。


         『 衝撃だったものシリーズ 』
歩いていると落とし物や看板に目がいきます。たくさん見てきた物の中で最も印象に残っているものを紹介したいと思います。

・落とし物       
            「赤いブラジャー」
靴や鍋など変わったものが沢山ありましたが、その中でも刺激的…あ、衝撃的だったのがブラジャーでした。過去の旅では女性のパンツがガチャガチャのカプセルに入っていた事もこの話を聞いて旅をしたくなったら要注意です。

・落書き
            「魚も痛を感じる」
落書きと言ったら謎のマークや卑猥な言葉を書いているイメージがあったが、愛知県で発見した「魚も痛を感じる」はくだらない事ではなく主張。しかも釣りができる川に面した壁に。

・看板 
         「キリストの血は罪を清める」
この類似品は各地域で見られました。黒字に白い文字で書かれており、不気味に見える。後で調べたところ教会とは関係のない迷惑な団体がしている事だそうで、看板によっては「魚を正しくさばく イエスキリスト」と書かれているものもあるんだとか。面白い。



・最も見たポスター
   山口那津の顔写真に「日本を前へ」と書かれたポスター
地域によってはその地域の政治家のポスターがほとんど占めるものもあったが、「日本を前へ」は地域関係なく多かった。

          「 スポンサー 」
お世話になった方々が運用されているお店や観光施設を一部ではありますが紹介させてください。とても良いところでまた訪れたいです。施設が素晴らしいのはもちろんですが、それ以上に僕のような無名な旅人を笑顔で迎えてくださる心優しい方々がいるところです。ぜひ会いに行ってみてください。

ホテル・飲食店
https://no13.foodre.jp/

レンタルスペース
https://hacoplus.crayonsite.com/

雑貨屋さん
http://itsumo.info/shop/shop.html

喫茶店
https://www.instagram.com/nanakusakotori?utm_source=ig_web_button_share_sheet&igsh=ZDNlZDc0MzIxNw==

観光施設
https://www.kotoura-kankou.com/nature/nariishi_beach/

雑貨屋さん
https://monochrome-zakka.net/

ライブハウス
https://ameblo.jp/livehouse-onemake/

飲食店・ゲストハウス
https://daishohanjyo.owst.jp/

飲食店
https://www.facebook.com/bougetsu/?locale=ja_JP

お土産屋さん
https://www.sanin-nakaura.jp/

宿泊施設・居酒屋
https://www.nakamura-ryokan.com/


旅人:村松新太

文章構成・アドバイス協力者: 家族

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