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M川水の里公園

仕事の講習会があった為、県庁近くのホテルのロビーで時間をつぶす。
ここからの帰り道に、一度行ってみたかった発展公園がある。
掲示板で募集がないか調べてみる。
ちょうど良い時間には誰も来なそうだ。

仕方ないので、夕飯がてらラーメン屋で飯を食い、本屋などをプラプラする。
そろそろ9時だな、あまり遅いと明日の仕事に響くから、とりあえず行ってみて駄目なら帰ろう…という事にした。

初めて行くのでナビで注意深く車道を確認する。
斜めに入ってく細道を見失うところだった。
なんか公園までの道がスゴく分かりづらい…
なんとか駐車場まで乗り付ける。

煙草を吸いながら掲示板を見てみる。
カナジョは上がってない。
爆サイは……上がってる。

「21:30くらい行ってみます(下着女装)」

えっと…あと10分位?
あっ、もう?
でも、爆サイ情報だしな…
書き込みしてみるか。

「駐車場にいます。」
と、プロフも記載してレスする。

「トでお願いします(下着)」
と、レスがつく。

どうしたら良いか勝手がわからないので、
「待ってます」
と、書き込む。

これは、トイレで待ってれば良いのか?
それとも、相手が来てから一緒に行くのか?

急だし、馴染みのない場所だけに焦る。
とりあえず、トイレに向かってみる。
ココだけは、明るい。
少し落ち着く。

しばらくすると、駐車場に車の入ってくる音が聞こえた。
あらかじめ、メール等でやり取りしてないので、ものすごくドキドキしてくる。

まぁ、とにかく話から入ろう。
今日は来てみたかっただけだし、相手と都合が良ければって感じで考えておこう。
うん。

トイレに近づく足音が聞こえる。
さぁ、どんな人だ。
ある程度なら平気だぞ。
来い。

しかし…
トイレに入ってきたのは、ただの男だった。
互いに目が合う。
ん?
なんか、前開きのコート着てるな。
ズボン履いてないな。
もしかして…

「あの…もしかして掲示板の…」
「あっ、はい。下着です」
「おーー〜…あ〜そうですか!」
「ごめんなさい、これじゃ〜まんま男ですよねw」
「あっ、いや〜そのね。」
「こうすれば…」
と、男はコートをはだけ下着姿になった。

白地にピンクの花柄のブラとパンティー、
着ている人は短髪細マッチョ。

大事な事だから、もう一度言う。

白地にピンクの花柄のブラとパンティー、
【着ている人は短髪細マッチョ】

「あの〜髪の毛は…」
「今日はウィッグ無いんです」
「なるほど〜」
「ダメっぽいっすか?」

嫌われてもしょうがない、正直に言おう。

「うん。俺は女装さんが好きだから。うん。ゴメンね」
「あー、わっかりましたー」
と、コートを着て車へと戻っていった。

そうかー、こうゆう事もあるかー…
ちゃんと下着女装って書いてあったしな。
俺も悪いよな。

俺も車に戻る。
短髪の彼もまだ車にいるみたいなので、講習会でもらったペットボトルのお茶を持って車に寄って行った。
彼は怪訝そうな顔で見てくる。
手を上げ、窓を開けてもらう。

「なんすか?」
「これ、開けてないから飲んで」
「いや、別にいいです」
「申し訳ないからとかじゃなくて、余ってるから貰ってよ」
「…はぁ。じゃあ。」
と、お茶を受け取ってくれた短髪。

気持ちは気不味いままだが、お茶というクッションを挟むことで「忘れる」というより「許す」方向に変換出来ればなと思った。

下着女装さんを好む人もいるだろう。
なんだったら、下着無しでもいい人もいる。
でも、多様性の中でも様々な違いがあるように、俺は俺で区切りは持っている。

俺が先に駐車場を出る。
軽くクラクションを鳴らして「じゃあな」と挨拶。
どうぞ、風邪には気をつけて。
コートだけでは、もう寒い。

おしまい



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